37 暴露
「姉さんは9年前、大きな火事に巻き込まれて死んだ。それが真実だよ」
リックはふぅっと息を吐いて、ベッドに座りこんだ。たった数分のこの時間でどっと疲れがたまった。
黙りこくったメリーを覗ってみるも、メリーはなんの感情も見せなかった。
「そう、そうだったのね」
リックは怖かった。
メリーに何を言われるのか、メリーがどんな気持ちでいるのか、それが見えないことが恐かった。
「ありがとう、チロ。すっきりしたわ」
そう言って、メリーはふふ、と小さく笑った。
メリーにとって自分が死んだ原因を知れたことは、ただ毒キノコとそうでないキノコの見分け方を教えてもらったことと違いなかった。ただ、そこにある真実を知っただけ。そこに何の感情もいらなかった。
ただ、どうしてリオが自分を無視していたのか、どうしてチロが自分より年上になっているのか、そんなことの理由が知れたことがうれしくて、微笑みが出た。
「でもねぇ、チロ。
あなたがまだ知らない真実をあたしは知ってるわ」
メリーはリックと同じ色の瞳を妖しげに揺らしてリックの青ざめた顔を見つめる。
メリーの吸いこまれそうに深い瞳に見つめられたリックは背筋がゾクリと冷えるのを感じた。
「姉さんの秘密、
教えてあげましょうか」
メリーはぺろりと唇をなめて、楽しげにふふふ、と笑みをこぼす。
「リオ姉さんの、ひみつ・・・?」
「そう、姉さんがあなたに隠したくて隠したくて仕方がない、秘密」
メリーは今にも倒れそうなリックを見て、そっと口を開いた。
「そうねぇ、何から話しましょうか」