ヨブの骨
主よ。
貴方は鉱床を尽きさせ・・・
ああ、私達の鉱床は尽きかけ・・・
ウツの地の、
海の貝達にすら
永遠の豊穣を与える事はしない。
その海は死の鍋となり、
その中で哀れな患者達は
具材として叩きつけられ、
死と波浪と藻類達と共に攪拌される。
褐藻達は、
カサガイの骨により淘汰され、
潮間帯の
ヒュドゥラエ・クビクルムと呼ばれる地でのみ
繁栄するのだ。
HEU, DEPOSITA NOSTRA METALLI DEFICERE INCIPIUNT・・
ああ、私達の鉱床は尽きかけ・・・
私は知っている。
鉛に侵されたヨブの子供達。
キレートを運ぶ荷車。
命は常に攪拌される。
この地上で。
土壌を掘り起こし、
そこから出て来たものにより暴露し、
静かに病的になっていく土地を。
HEU, DEPOSITA NOSTRA METALLI EXHAUSTA SUNT・・
ああ、私達の鉱床は尽きかけ・・・
主よ!!
なぜ、私達をこんな目に遭わされるのですか?
海底のホンビノス達は、
病んだ泥を蓄積し、
漁師達を殺す。
歯の皮だけを持って逃げよ・・
肉体があるのなら!!
苦痛の攪拌を続けよ!!
その海は死の鍋であり、
その中で哀れな患者達は
具材として叩きつけられ、
困惑と無為と骨達と共に
厳格な契約の劇を演じる。
ECCE LUNA NEC SPLENDET
ET STELLAE NON SUNT PURAE IN CONSPECTU EIUS
QUANTO MAGIS HOMO PUTREDO
ET FILIUS HOMINIS VERMIS
ウツの地を見よ!!
月さえも輝かず、
星も神の目には清くない。
まして蛆に過ぎない人間や、
虫けらに過ぎない人の子は・・
EHEU, THESAURI NOSTRI METALLI EVANESCUNT・・
ああ、私達の鉱床は尽きかけ・・・
行商人の撒く毒によって、
カサガイは死に絶える。
その岩場に褐藻達は茂り、
ああ、鉱床は再び繁栄する。
死の初子がその肢体を喰い尽くし、
また肉は栄える。
災いがその傍らに再び立つ日まで。
ああ、それを望むのですか?
リバイヤサンに喰いつかれ、敗北し、
肉体を放線菌に蝕まれ、
農夫肺に罹患する。
牛の眼にはイエバエ達が集り、
ロデシア眼虫が泳ぐ・・
その白い目でウツの地を見るのですか?
それでも立ち上がり、何を信じて?
在る事、それ自体が信仰であり、意味なら、
それを悟り、過ぎる喪失を笑った時、
そんな海を漂う患者に、
リバイヤサンすら脅えるのだろうか?
勝利とは、
勝利を捨てた者だけが知るのならば・・
愛とは、失った先にあるのならば・・
VAE NOBIS, OPES NOSTRAE METALLI CORROSA EVANUERUNT・・
ああ、私達の鉱床は尽きかけ・・・
そして、ヨブの骨に花は咲き誇る・・
歪は豊潤であり、
生は契約である・・