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10話 広報活動

すみません。

誠に勝手な話ではあるのですが、作者が投稿しているもう一作の方に専念したいと考えました。


なのでこちらの投稿は、芽が出なかったという事もありますが、しばらくお休みさせていただきます。再開時期は向こうの作品を完結させた辺りになると思います。


 翌日。


 

 朝日が顔を見せると同時に、俺たちの朝は始まった。


 やはり光があると活動しやすい。

 

 そんな訳で早速起きた俺たちは朝食を取ることにした。


「何が食べたい?」

「……じゃあ、屋台にでも」


 一晩明かして少し警戒心が取れてきたように思う。

 良い兆候だ。


「串肉にするか。良い匂いだな」


 朝食は稼ぎ時だ。


 朝早くからご苦労にも自身の店を開いている連中にとって、俺たちみたいなのは絶好のカモなのだろう。


「「いらっしゃ〜い!」」


 これ見よがしに声を張り上げ、屋台のおっちゃんどもがせっせとこちらに向けて団扇を煽ぐ。するとやはり良い匂いが漂ってきて、俺達の腹がぐぅ〜っと鳴った。


「ははっ、どれも美味しそうだな」


 俺は自分の腹の訴えに笑いを浮かべるが、メルは少し恥ずかしそうにしている。

 殺し合った仲なのに今更だ。


「あそこが一番安そうだな……お前はちょっとそこで待っとけよ? へい、おっちゃん! 串焼き二つ!」


 屋台を決めて、店主のおっちゃんに声をかける。


 一本百二十ペギー。一ペギーは大体一円なので、このボリュームから見ると大分良い店に思える。


「お客さん、おっちゃんは止めてくれ。羊肉で良いよな?」

「おう。で、ついでにまけてくれ。こちとら金がなくてな」

「お前さん……ここら一帯での最安値をやってるウチに安くしてうれと言ってきた奴は初めてだぜ」


 そうは言ってもうちの財布は常に閑古鳥がないているのだ。


「へへ、どうも」

「褒めてねぇよ。てか、見ねぇ顔だな。新しくこの街にきたのか?」

「おう、昨日な。俺はアルスっていうんだ。俺ぁ、Gランクのスキル持ちで有名なアルス様だぜ? サイン書いてやるから安くしてくれ」


 ゲヘヘ、と三下みたいな顔をしながら言う。

 やはりというべきか、おっちゃんは目を顰めた。


「Gランク? 何だそりゃ、んなもん存在すんのか?」

「おうよ。これがギルドカードだ。南の方では有名だぜ? なんせ俺を見るだけで皆んながヒソヒソと視線を向けるほどの有名人だったからなぁ。で、どうだ? 一本百ペギーにまけてくれねぇか?」

「そりゃ侮蔑の視線だろ。良いから金払え貧乏人」

「うるせぇ! お前、こちとら客だぞゴラァ! 神様のように扱えや! クソ、こうなりゃ腕っぷしで……!」


 大袈裟な芝居をしながら、俺は腕をまくる。


「あ゛?」

「あ、すいませんでした俺のようなGランクのクソ雑魚がクソ無様にも調子に乗って気が大きくなってしまいましたなのでどうかそのぶっとい腕を仕舞ってください……!」


 すると相手も腕を捲り、そこから筋骨悠々の腕が飛び出してきたので、俺は一瞬の判断のもと後ろに飛びながら土下座をして許しを乞う。


「素直に払えば良いんだよ」

「でででですよね……! あはは」


 そうした一芝居を打った後、俺は一本百二十ペギーを素直に払いながら退散する。

 周りからの冷ややかな視線を浴びながら、メルの下に戻った俺はドヤ顔で述べた。


「どうだ?」

「何だったんです、今の……」


 変人のように思われている。

 ちゃんと昨日俺の能力は説明したのに……!


「俺の能力の為だ。見たところ、この街だとまだまだ知名度が低いからな。即興で思いついた演技にしては中々冴えてただろ?」

「……あのおじさんは、一見あんまりゴツくなかった筈です。見抜いていたんですか?」

「勿論だ。というか、ゴツいと分かったからああいう演技をしたんだ」


 じゃなきゃ、あんなに態とらしく腕を捲って喧嘩を売ったりなどしない。

 

「あのレベルの演技を、一瞬でですか……? 貴方、頭がおかしいですよ。……いい意味で」

「それはどうも」


 褒められた。

 いや、若干貶されているけど。


  

 会話を交わしながら、俺たちは腹を満たす。


 案外すぐなくなってしまったのでもう一本買えば良かったか、と後悔した。まあ昼にガッツリ食べれば良いだろう。


「にしても大きな街だな。今までで一番大きい」

「ここがですか? ……貴方、どんな田舎から来たんです?」


 ここ、バルカーブはガーネット国の中で言っても中規模くらいの大きさの街だ。


 だがガーネット国でも更にど田舎である南の方から来た俺にとっては、王都近くの街というだけで人口が五千人を超えるここはかつてない規模感であった。


「南からな。けど、ここなら結構力を貯めれそうだ」


 満足気に思っていると、俺はキッと強い視線を浴びた。

 メルが、俺を睨みながら言う。


「それで……いつ教えてくれるんです? 魔族の居場所は」


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