表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

1話 プロローグ

よろしくお願いします!


「聞こえなかったのか、アルス? お前はクビだ」


 幾度と聞いてきた言葉。

 その言葉に俺はわなわなと震えながら、絶望から膝から崩れ落ちた。


 それは酒場の席での事。


 俺はこのEランクパーティー、『鷹の爪』というパーティーを、突然追放されると言われたのだった。


「う、嘘だろ。ま、待ってくれよ!! どうしてそんな、急に!」

「当然だろう! 元々お前みたいな役立たずの荷物持ちを雇ってやっていた上! しかもお前、ウチのパーティーの金に手を付けやがったじゃねえか!」


 パーティーのリーダーで強面の男であるダンツが俺を糾弾する。


 近年、酷い言いがかりで無能をパーティーから追放する、というのが話題だ。だが今回に関して言えば、彼の言い分は全くもって妥当だった。


 面白がっているのか、酒場の連中はみな安酒をチビチビと飲みながら俺たちのやり取りに聞き耳を立てているらしかった。


「ご、誤解だ! 俺はパーティーの資金を有効活用しようとだな!」

「それって、どういう風によ?」

「聞く必要もありませんよ。こいつ、とっとと追い出しましょう」


 俺の弁解に、他のパーティーメンバーである女子二人は聞く耳を持ってくれやしない。

 この二人にはかなり嫌われている自覚があるので、仕方ないっちゃ仕方ないのだが。


「で、何をしたら六万ペギーも溶かせるんだ?」


 細身の男、ウチの魔術師であるトルーに聞かれる。

 俺は待ってましたと言わんばかりに、喜色を浮かべて説明した。


「いや、マジで惜しかったんだよ! 後少しであの六万ペギーが十二万になってたんだ! そしたら皆んなに酒を奢るつもりだったんだぜ!? これは嘘じゃねぇ!」

「はぁ、ギャンブルですか……」

「もう良いわよこんなクズ。てか私から盗んだ下着返しなさい。この女の敵!」


 パーティーメンバーの、カンナという赤髪の女に胸ぐらを掴まれながら詰められ、俺はその気迫に怖気付きながら言葉を絞り出す。


「ちょっ、落ち着け。あ、あれはオークションで売ったぞ。まあそばかす女の私物だって話した所為で二千っぽっちにしかならなかったけど」

「ふざけんじゃないわよ!?」


 顔を真っ赤にしてキレたパーティーメンバーに、俺は顎に綺麗な一発を貰った。


 綺麗なアーチを描きながら吹っ飛んだ俺は、「カハッ」と豪快に後頭部を地面に叩きつける。


「うっそだろ、カンナは魔術師だぞ……? うわ、こいつ伸びてやがる……」

「はっはっは。マジで弱いのな、『Gランク』のアルスって」

「悪い意味で有名だよな。世界唯一の『Gランク』の才能スキルで、しかも毎月の如くパーティーを追放されてる。ま、でもコイツのおかげで俺は今日も酒が美味いし……ほんと、ツマミ要らずでありがたいぜ……ガッハッハ!」



 酒場が笑いに包まれる。

 誰も俺を『認めている』奴はいない。


 今日、俺はパーティーを追放された。


 けれど俺は内心でほくそ笑んでいる。

 幾星霜の時を待ち侘びた甲斐が実って、ようやくパーティーから抜けられたから。


 俺は『道化師ピエロ』だ。


 これで良い。

 もっと蔑んで、侮蔑の視線を向けられる程俺は強くなる。



ーーさあ皆んな、もっと俺を笑ってくれ!




読みやすいよう一話二千文字程度にまとめる予定です!


使役師になった俺、使徒含めヒロイン達の独占欲が高すぎて怖い〜ハーレム気質の主人公は今日も修羅場のようです〜『旧題:貴方に傅いて』

https://ncode.syosetu.com/n8004jx/

他にはこんな作品連載してます。この作品が面白いと思った方は、是非こちらも読みに来てください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ