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第96話:海と陽キャと高級リゾートと その20

「やった……! ギフトカードだ……!」


 賞品の福島屋ギフトカードを手に入れた藤本さんが、笑顔を浮かべて天高く掲げる。


 マリモカート大会の最終順位は一位が藤本さん、次いで二位が松永さん、三位が山野さんと上位は女子が独占する形となった。


「では、優勝した藤本選手に今の気持ちを伺いたいと思います!」


 実況からインタビュワーへと転身した光が見えないマイクを手に、優勝した藤本さんへとインタビューを試みる。


「……うれしい!」

「嬉しい! シンプルで力強い喜びの言葉をいただきました! では、賞品の使い道は? もしかして、彼氏とちょっと高いレストランで食事デートとか……?」


 女子用スク水を着せられて真っ白に燃え尽きている修を労る方向へと光が誘導しようとするが――


「え? ううん。新しいシューズを買う足しにするつもり」


 その目論見はあっさりと否定されてしまった。


 なんだか気の毒を通り越して、修が哀れに思えてきた……。


 しかし、当の本人は『いいんだよ……春菜を守れたら俺はそれで……』と今にも消え入りそうな声で述べていた。


 そんなこんなで賞品の授与も終え、マリモカート大会はこれにて本当に幕を下ろした。


 しかし、ゲームの時間はその後も続き、皆で様々なタイトルを遊び倒した。


 パーティゲーに、カジュアルなバトロワに、友情崩壊協力ゲームなどなど……。


 どれも見ているだけで楽しく、自分一人では体験できない良い時間だった。


 そうして、夜が更にふけてきた頃――


「みんなみんな~! 見て見て~! カラオケの機械あったよ~!」


 高崎さんがどこからともなくカラオケのデンモクを持ってきた。


「カラオケ! いいね!」

「んじゃ、ゲームの待ち時間にこっちでカラオケ大会も開催すっか!」

「さんせ~! 私、あれ歌いた~い!」

「ねえ、みやみや~! これも使っていいやつだよね? ん? みやみや……?」


 使っていいものなのかを桜宮さんに確認しようとした高崎さんが、何か異変に気づいたように首を傾げた。


「えっ……? 何か言った……?」


 高崎さんの質問に、桜宮さんは数拍の間を空けて答える。


「カラオケの機械、使ってもいいのかなって聞いたんだけど……みやみや、大丈夫……? やっぱり、調子良くないの……?」


 明らかに応答が遅かった桜宮さんに、高崎さんが心配そうに言う。


 確かにいつもは女子の中心にいるはずの彼女が、今日は微妙に存在感が薄い。


 バーベキューの時も食べてる姿をほとんど見てないし、今もゲームに全く参加せずに隅の席でずっとぼんやりとしていた。


 昼間も平気だと言ってたけれど、やっぱりどこか体調を崩してるのかもしれない。


 でも、女子には男子の触れづらい体調の変化があるので、ここは仲の良い高崎さんに任せるべきかと見守っていると――


「だから……昼にも言ったけど何もないって……」

「でも……」

「いいから……! ほっといて……!」


 声を荒げた桜宮さんに、これまで賑やかだった室内が気まずい静寂に包まれた。


 ゲームのBGMだけが響く中で、皆の視線が彼女の方へと注がれる。


「怒鳴ってごめん……でも、ほんとに平気だから……」

「みやみやがそう言うなら……私こそ、しつこくてごめん……」

「ん……それ、ここにあるものは好きに使っていいから……」


 桜宮さんはばつが悪そうにそう言うと、皆の視線から逃れるように上体を逆側に向けた。


「じゃ、準備すっか……で、これどうやって使うんだ?」


 まだ少し気まずさは残っているものの、気を取り直して皆でカラオケの準備をしていく。


「本体はテレビの方にもう接続されてるんじゃないの?」

「だったら……おっ、できたできた。何歌うかなー」


 夜が更けても皆、まだまだ遊び足りていないのか誰も寝ようとはしない。


 それからもゲームにカラオケにと、遊びに遊び尽くした。


 ちなみに光は歌もプロかと思うくらいに上手かった。


 そうして更に時間が経ち、夜の11時を過ぎようとした頃――


「あれ? 小宮は?」


 ふと、男子の一人が周囲を見渡しながらそう言った。


 彼に倣って俺も周囲を見渡すが、確かに修の姿は見えない。


「さあ、便所でも言ったんじゃね?」

「それか外の空気でも吸いにいったとか?」


 皆、心当たりがないのかゲームに熱中したまま生返事をしている。


「影山は? 小宮どこ行ったか知らね?」

「い、いや……知らない、かな……」


 思わずそう答えてしまったが、実は俺だけが彼の行方に心当たりがあった。


「そっか……まあ、別に何かあるわけじゃねーからいいけど……」


 再びゲームの画面に戻っていった彼を横目に、カラオケ中の女子グループの方に目を向ける。


 演歌を熱唱している松永さんを皆で盛り上げているが、そこに藤本さんの姿はなかった。


『俺、今夜キメようと思ってるんだよ……春菜と……』


 思い出したあの時のやり取りに、心臓がドクンと大きく跳ねる。


『なんなら朝日さんの方も待ってるかもよ?』

『お互い悔いのない最高の夏に出来るように頑張ろうぜ!』

『その代わり、夜は期待しといて』


 遂に、その時が来てしまったらしい。

書籍版『光属性美少女の朝日さんがなぜか毎週末俺の部屋に入り浸るようになった件』の発売から早くも三日が経ちました。

既に買っていただいた方も多くいるようで、各所から様々なご好評の声を頂いていて作者としても感謝の至りです!! 本当にありがとうございます!!


紙の本の正式な発売日は昨日の15日ということなんで、今日16日には遠方の各店舗にも入荷されているんじゃないかなーと思います。

ご購入がまだの方は是非お近くの書店を確認していただければ幸いです!!


内容は本当にかなり好評を得ているようなので、後は多くの人の目に入って売上さえついてきてくれれば……という感じです。


もうここから作者の私にできることは少ないので、再三のお願いになりますが、どうか皆さんのお力を貸してください! よろしくお願いします!

(もし、二巻三巻と続刊できるようであればWeb版では出来なかったあれとかこれとかを盛り込んで作品としても面白くして、朝日さんを更に最強のボスへとパワーアップさせることをお約束します!!)

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書籍第一巻は10月13日発売!!

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