クローバーチャーム
この話は 実体験をもとにした いじめ小説 です。
ひどい内容は書いていませんが
読んでて不快だと思われる方はご注意ください。
人間は必ずどんなひとでも誰かとの関係を持っている。
友達って何?
学校っていったい・・・
信用できる??
鐘よ・・・ならないでくれ…
ならないでくれ…
キーンコーンカーンコーン…
無残にも鳴り響く授業の終わりを告げるチャイム。
私の地獄が始まる…
「胡桃。遊ぼうよ!!」
ついこのあいだまで親友だった花音が声を掛けてきた。
彼女のいう遊び。それは「胡桃いじめ」
つまり私へのいじめだった…
私は白鳥胡桃。中2の女子で最近まで平和に暮らしていた…。
花音は私の親友だった。
中1から仲が良く、なんでも相談していた。
そんな花音がある日突然私を避けるようになっていった。
私は最初、嘘だと思った。
まさか花音が私のことをいじめるなんて思ってもいなかったからだ。
花音のいじめはエスカレートし、
ついに私の体や心までずたずたに引き裂くようになった。
きっかけは特にない。
「暇だから。」
ただそれだけだった。
私は彼女の遊び道具の一部になっていた。
私には花音のほかに夕菜と五月という友達がいた。
夕菜ともそれなりに仲が良く、いっしょにいつも過ごしていた。
花音と夕菜と五月と私。
4人はいつも一緒だった。
一週間前までは…
「ほら胡桃!!いこうよ!!」
花音が声をかけてくる。
周りにはクラスメートと夕菜 そして五月がいた。
抵抗などできない。
する気もなかった。
私は花音たちと一緒に旧校舎へと向かった。
今日はいつもよりつらかった。
花音は用意していた冷水を私にかけてきた。
しにそうだった。つらかった。
こんなことなら死んだほうがましだった。
そして花音は私を掃除道具入れに閉じ込め
鍵をかけていってしまった・・・
寒くてくらくて・・・
「ここで死ぬのかな」
と思った。死なせてほしかった。
でも花音たちはそこまで甘くなかった。
先生に言いつけていたのだ。
「先生。白鳥さんがふざけて旧校舎へ行ってしまって・・・
掃除道具入れの中に・・・なんか鍵掛かっちゃって出られないんですよ…」
すべて私のせいになっていた。
先生はすべてを信じ私だけを叱り、
そのことを知らせた花音たちをほめた。
「胡桃さん。花音さんたちが知らせてくれたからよかったけど
気をつけるのよ。」
もう私は誰も信じられなくなっていた。
友達も、先生も・・・
先生はすべてを隠ぺいするつもりでいた。
知っているくせに…。
誰かに言おうとしたこともあった。
でも花音は私のはずかしかったこと 悩み すべてを知っていて、
仲が良かった時に手に入れた情報を利用して
私を脅迫した。
私は誰にも言えなかった。
いじめは日に日にエスカレートしていった。
最初は放課後だけだったものが
休み時間や朝 授業中にもやるようになっていった。
机がなかったり・・・手紙を回してくれなかったり。。。
宿題を出したのにだしてないことにされて
チェックされなかったり…
クラスメートは見て見ぬふりをした。
そして一緒になって私をいじめた。
誰も自分がターゲットになりたくないから・・・
私は誰にも助けてもらえなかった。
ある日五月と夕菜からメールが来た。
久しぶりだった。
五月と夕菜はあやまってきた。
「本当は胡桃のこといじめたくない。でも・・・花音が・・」
言い訳にすぎない。そう思った。
本当に申し訳ないと思っていたとしても、
私をいじめているのだから許せない。
私はメールの返事をしなかった。
学校からの帰り道・・・私は道で少女が集団に蹴ったり殴られているのを見た。
私と同じぐらいの年の子だった。
私は止めようか迷った。
私も一緒に暴行を受けてしまうかもしれない。
かかわらないほうがいい…
そう考えた。
でもそれでは夕菜や五月、クラスメートと一緒だ。
あいつらと同レベルなんかじゃない。
私は止めにはいった。
「やめなよ!」
集団はもめ事が起こるのが嫌だったのか、逃げて行ってしまった。
「大丈夫?」
私は少女に声をかけた。
「はい・・・ありがとう。」
少女は泣くのをこらえていたかのようだった。
少女は私のずたずたの制服などをみて違和感を感じたようだった。
「あなたは・・・?」
私は少女に自己紹介をすることにした。
私と同じような状況の子に見えたからだ。
「私は白鳥胡桃。桃ヶ丘中2年。」
「私は花岡薫。東川中2年。」
学校は違うが年は一緒だった。
はじめまして。
おたがいにあいさつを交わした。
その日はそこで別れた。
名前と学校。
それだけをお互いに知った。
どうやら私と薫は帰る時間帯が同じらしくよく会うようになった。
あいさつしかしないけれど
なんとなく私の心の支えのようなものになっていた。
ある日薫が声をかけてきた。
「あの・・・白鳥さん??」
私はびっくりした。
「胡桃でいいよ。」
「あの・・・このあいだはありがとう」
わざわざ薫はもう一度お礼を言うために私に声をかけてきてくれたのだ。
新鮮だった。ここ数日ずっとまともな会話をしていなかったからだ。
「花岡さん」
「薫でいいよ」
同じ会話が繰り返され思わず笑った。
前に笑ったのはいつだろう・・・
ふとそんなことを思った。
「胡桃・・・あの、今度いっしょに遊びに行かない?」
「えっ・・・?」
遊びの誘いなんて・・・
うれしかった。
会ってまだ間もないしほとんどお互いを知らないのに・・・・・・・
「あっいやならいいんだけど、胡桃と行きたいところがあって…
私たち…友達になろう?」
わたしは行くことにした。
「薫…ありがとう。一緒にいこう!!」
その日私は遊ぶ約束をした。
薫のことは信用できた。
なぜだかわからない。
でも信じることができた。
週末薫と私は出かけた。
行き先はわからなくて、
「どこに行くの?」
と聞いてももうちょっとだから・・・といって教えてくれなかった。
ついたのはカフェだった。
「クローバー」
という看板が掛かっていた。
「ここのみせのひと私の友達なの。」
薫が言った。
お店はやさしい雰囲気であふれていた。
カフェなのにアクセサリーが1種類売っていた。
「「クローバーチャーム」幸せのお守り・・・」
幸せが手に入るならなんだって買う・・・
そう思っている自分がいた。
「ほしいの?」
聞かれてしまってこまった。
「あ・・・いや・・・でもお金ないので。」
「いいよ。あげる。」
その言葉にびっくりした。
「薫も持ってるからおそろい」
そういって渡された。
なんとなくほしくなりもらってしまった。
帰り道、楽しかった・・・という思いにふけっていたら・・・
花音に会ってしまった。とつぜんふるえが体を襲う。
「胡桃?」
薫が心配そうに聞いてくる。
「胡桃じゃん!!隣のこ誰?友達?」
何も言えない。
「どうだっていいじゃん!!」
突然薫が叫んだ。
「胡桃、いこっ!!」
薫は私の手を引いてその場から走り去った。
薫は花音が私とどういう関係なのかすぐ勘づいたらしい。
「ありがとう。」
私は薫にお礼を言った。
「どういたしまして^^」
薫はそう言った。
私はうれしくて、うれしくて・・・
泣きそうだった。
次の日私が学校へ行ったらみんなが今まで何事もなかったかのように
私に話しかけてきた。
「えっ・・・???」
突然の変わりように
驚きを隠せなかった。
でも教室へはいった瞬間、こうなった理由がすぐに分かった。
ターゲットが変わったのだ。
次のターゲットは五月だった。
衝撃だった。
五月が助けを求めてくる
「胡桃…」
私には助ける気など全くない。
今までやられたことをすべてしかえししたい。
そんな思いだった。
私の心は邪悪になっていた。
「胡桃!!」
花音が声をかけてくる。
「いっしょに五月いじめよ^^」
今までの行為が嘘だったかのようなふるまいだった。
夕菜は黙っている。
クラスメートも黙っている。
「うん」
私はそう返事をしてしまった。
カバンがきらりと光る。
薫とカフェに行った時にもらったクローバーチャームだった。
「クローバーチャームのおかげでいじめが終わって幸せが訪れたのかな…」
違う
何かが違う
幸せじゃない
何か重いものが心にのしかかっている
苦しい・・・
帰り道、私は薫に会った。
「胡桃?」
薫に声をかけられびくっとする。
「どうしたの?」
私は薫に言えなかった。
いじめが止まったこと、別の人を一緒になっていじめていること…
「ううん・・・なんでもない。」
そう返事してしまった。
罪悪感が心を襲う…
私はひとをいじめている。
花音たちと同レベルになっている・・・
「胡桃…なんかあったでしょ。」
薫が鋭い質問を投げかけてきた。
「実は…私、いじめられなくなって・・・」
「よかったじゃん!!ふつうに暮らせるようになったじゃん!!」
薫が言う。
うれしくない。
「でも・・・別の子がいじめられてる。」
「え・・・」
薫の顔が曇る
「もしかして胡桃…」
「そう。私はその子を一緒になっていじめている。
復讐、そして自分を守るため・・・」
サイテー
そう言われると思った。
でも帰ってきたのは意外な言葉だった。
「そっか。」
薫はぽつりとその一言をいった。そして
「でも、胡桃がいじめをしているということは
今まで胡桃をいじめてきたやつらと同レベルの子。
そう思っていいんだね?」
そういった。
つらい言葉だった。
「私がいじめられているところを救ってくれた胡桃はもういないの?」
何も言えない。薫は失望した様子で
「私はもうなにもいわない。この先は胡桃が考えること。」
そういった。そして薫はいってしまった。
私はただそこに立ち尽くしていた。
私は考えた。
これでいいんだろうか?
私は薫をきずつけた。
五月も・・・
でも・・・
怖い。逆らいたくない。平和でいたい。
そんな思いが私の中にあった。
私は五月をたすけられない。
薫に言われたことはわかる。
でも・・・無理だ。
私はいじめを止めることができなかった。
私は薫に逢わないように変える時間をずらし道順も変えてしまった。
どんどん月日が過ぎていく。
五月はいじめられている。
でも見て見ぬふり。
いじめはエスカレートする…
あるひ私も
「ちょっとひどい」
って思うようなことを花音がやっていた。
五月をトイレに閉じ込めてびしょびしょにして
出てこれないようにしてしまったのだ。
誰かが気づいて助けてくれるまで五月は出られない。
みんな自分がやられるのは嫌だから助けない。
先生には
「五月はさぼりでーす。」
と言われる。
五月はしばらく出てこれなかった。
私は心が苦しくなった。
やっぱりつらい。
私がされてきたこともつらかった。
いま五月がされたことと似ている。
でもひどい・・・
でも助けられない。
「でも、胡桃がいじめをしているということは
今まで胡桃をいじめてきたやつらと同レベルの子。
そう思っていいんだね?」
薫の言葉がよみがえる。
ふとクローバーチャームを見る。
カフェ「クローバー」を思い出す。
やさしい雰囲気・・・
これじゃいけない。
クラスを変えなくては。
そう思った。
今の私にできるかは分からない。
でもクラス皆を味方につければ、
花音なんて・・・・
「クラスメートを信用できるの?」
こころの中で誰かがそういった。
わからない。
また裏切られるかもしれない。
そうしたら前と同じだ。
それはいやだ。でも・・・
「かわらないと。」
声に出して言ってみる。
なんだか勇気がわいてくるような感じがした。
次の日学校で私はみんなを集めた。
花音をのぞいて・・・
「私に協力…してくれない?」
クラスメートの間でどよめきがおこる。
「何を?」
夕菜だった。
「花音のこと?」
「うん・・・」
クラスメートたちが静かになる。
「このなかで花音に不満がある人。」
聞いてみる。
クラスメート全員が手を挙げた。
「いじめをなくそうよ。担任なんてあてにならない。
私たちだけで解決しないと。みんなが固まれば花音は反撃できないと思う。」
「確かにそうかも…」
夕菜がつぶやいた。
でもクラスの人はこういった。
「私はあまりかかわりたくない。」
最初の私と同じ…
「でもさ、みんなつらくない?」
こういってみた。
「そりゃぁまぁ・・・」
誰かがそういう。
重々しい空気の中で夕菜が口を開きこういった。
「私たちはずっと見て見ぬふりをし花音に協力してきた。でも
もうそんなことはやめようよ。
花音は嫌な奴だと思う。でも私たちは花音のクラスメート。
花音画やっていることをやめさせられるのは今しかないと思う。
たとえ花音が受け入れなかったとしても
クラス全員対花音じゃ勝ち目ないんだから。こわくないよ!!!」
「そうだよね・・・そうだよ!!」
みんなが口々にそういった。
「私たちも立派な加害者だったんだ・・」
そう言って泣き出す子もいた。
みんな分かってくれた。
いってよかった。行動を起こしてよかった。
そう思った。
帰り道薫とすれ違うように道順を変えた。
このまえまでならら声をかけなかったであろう自分が
「薫!!」
そう声をかけていた。
薫が振り向く。
「私、行動を起こした。」
薫はなにもいわない。
「あのあと私、考えた。」
「私みんなにいえた。みんなわかってくれた。」
「胡桃。」
薫が言葉を口にした。
「私も行動を起こした。みんなに訴えた。
そして私へのいじめ、世の中のいじめを止めようと思った。」
「薫…」
二人で泣いた。泣いて泣いて・・・
2年後…
私と薫は同じ高校に入学した。
本物の親友になっていた。
二人とも前より強くなっていた。
ずっと・・・ずっと・・・
「もういじめなんて絶対に起こさない。
いじめがあったらすぐに止めよう。」
これが二人の間に結ばれた
約束だった。
このさきまたいじめられるかもしれない。
そういう不安はある。
でもわたしたちは固いきずなで結ばれている。
そのきずながある限り私たちは一人じゃない。
世の中にはきっと自分と同じことを思っている人がいる。
その人を見つけるのは大変かもしれない。
でも・・・・・・・・・・・
見つけたら絶対幸せは訪れる。
今日も2人のカバンについている
クローバーチャームは日に当たって輝いていた。
終わり
初投稿なので下手なはなしになってしまいました・・・
実体験をもとにしています。
こんな話でも何か感じていただけたらうれしいです。
今少し編集中です…