最終話
爺さんと別れてからもう三日。あの日から俺は公園を離れていない。
もし俺が居ない間に来たらと思うとここを動けないのだ。
ここ三日、口にしたのは水だけ。なんつーサバイバル。
まあ、冗談か言える内はまだ大丈夫か…。
今日もまた、爺さんを待つ。
とうとう惚けたか?いや、あの爺さんは既に惚けてるようなもんだ。
飽きたか?
…どうなんだろうな。
人間なんて自分勝手なもんだと俺は思う。でも、思いたくない。
死んだか?
――まさかな。あの爺さんは殺して死なないタイプだ。
考えても仕方ねぇ。
寝るか。
『……てください。』
あん?
『起き……ださい!』
ああ?爺さんか?ったく待たせすぎだっつーの。
目を開けたら、そこには中年の男がいた。
…誰だ?こいつ?
『…何か用か?』
「あの、佐々木さんを知ってますか?」
それは一度だけ聞いた爺さんの名字だった。
『あ、ああ…。』
「そうですか!いやぁ見つかって良かった。
あのですね―――。」
ああ
何処かで見た服装かと思ったら
あいつの、葬式で見た服装じゃないか。
その後なんだかんだ言われて呆然としてる間に何か立派な所に来た。
いや、分かってる。
爺さんは、死んだんだ。
葬式にはそれなりに人がいた。皆、沈んだ表情だ。
爺さんに花をやる。
ああ、人間なんて自分勝手だ。
俺が泣いてんのに、目も開けない。
俺が初めて名字で呼んでんのに返事もしない。
ハンカチ返せって言ってたのに、俺の手からハンカチを取らない。
―――ああ、人間なんて、自分勝手な、もんだ。
ふと、写真を見る。
ムカツク程笑ってた。
悲しくなる程笑ってた。
諦めがつく程笑ってた。
もうこれ以上居るとさらに泣きそうだから、逃げる様に会場から出る。
入口で婆さんに会う。
いきなり俺の顔を触りだす。
触るな!!
声にならない。
いきなり爺さんについて語りだす。
うるさい!!
それは爺さんの口からじゃなきゃ意味が無いんだ!!
走る。走る。走る。走る。走る。
砕いた方の足がもつれて転ぶ。
ふと、仰向けになって空を見てみる。
それは、もう太陽なんて出ないんじゃないかって思うような曇り。
また、雨が降る。




