表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爺さんと俺  作者: 豚トロ
2/4

第二話



それから、爺さんは度々やって来た。


やれ猫に餌を恵んでやっただのやれ知り合いの爺が御陀仏しただの他愛の無い話をよく喋りやがった。


今日もまたその他愛の無い世間話に付き合っていると、ポツリと頬に冷たい感触がした。



…雨か。すると最初の頃の再現みたいに爺さんは唐突に話題を変えた。


「のぉ、若いの。雨は、好きかの?」



まぁ〜た変なスイッチが入りやがった。こういう時は四十五度で叩けばいいんだっけ…。

と、しょうもない事を考えながら俺は答えた。


『雨、ねぇ…。かなりガキの頃は好きだったが今は嫌いだね。』

「ほぉ、それは何故じゃ?」

『分かってて聞いてんじゃねぇだろうな?

俺なんかは雨宿りの場所を探さなくちゃなんねぇし、下手すると飯が大変な事になんだよ。』


……それに、嫌な思い出もあるしな。


「そうか。雨は嫌いか。若いのは、何故雨が降るんじゃと思う?」

『さぁな。そんな事はお偉い学者さんにでも聞いてくれ。』

「相変わらず、つれないのぅ。」


爺さんは楽しそうに、本当に楽しそうにくつくつと笑った。


「雨はの、地球が流しとる涙なんじゃよ。」


相変わらず変な薬をキメたみてぇな事を言いやがって……。


知らず知らずのうちに自分の口端が吊り上がっていく。




「そうじゃな、化学的に言えば空気中の水分が上に行って、雲になって、雨を降らせるんじゃよ。」

「では、その水分は何処から来るんじゃと思う?」


『はあ?そりゃあ……海とかじゃねえの?』

「海、か。確かにそれはそうじゃの。じゃがわしはの、涙じゃと思うんじゃよ。」


「生物と地球は親子なんじゃよ。わしらは地球が無かったのならば生まれてなかった。

そして親はの、子が悲しくて、辛かったのなら、自分もまた、悲しくて辛いのじゃよ。

だから、涙が流れれば、それだけ雨が降る。」



「人は、皆自分のエゴを通そうとする。他の人が悲しもうとな。」



そりゃそうだ。人間なんて自分勝手なもんだ。いちいち他人なんか気遣ってられねーよ。


「…少し、湿っぽくなってしまったの。ではわしは本降りになる前に帰るかの。」


ああ、確かに雨が強くなってきてるな。空は黒い雲で覆われていた。


『おい、爺―――。』


空から視線を戻したら、そこには誰もいなかった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ