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5:逮捕されました。



 ――アズ・ラエルによる華々しい成功の数々。それを面白く思わない者は当然いた。

 彼らは一堂に集い、あの男をどうするか議論する。


「ぐぅ、あの若造め……また生命保険なる意味の分からん商売で稼ぎおって……!」


 忌々しげにそう呟いたのは街の商会長だった。

 通常、商売を始めるには商会長に挨拶をして商会に入るのが基本だ。

 もちろんそうしなくとも勝手に始めていいのだが、組合に入れば一定の売上額を上納するのと引き換えに街中で宣伝してくれるメリットがある。

 ゆえに、露天商や小売店以外の大手商人は全員商会に入っているのだが、アズ・ラエルはそれを無視していた。


 ――実際はマヨネーズなんてそこそこ稼げたくらいで終わるだろうと思って商会に入らなかったのと、爆発的なヒットを叩き出してしまった今ではわざわざ宣伝してもらう必要もないという酷く合理的な理由からなのだが、暗黙の了解を守らない彼を商会長は嫌っていた。


 そこに、強面の男が口を挟む。


「まぁ落ち着きなって商会長。オレとしても一発かましてやりたいところなんだが、あの野郎……貧民街の連中を味方につけやがった……!」


 そう言ったのは街の半分を拳で支配している暴力団のリーダーだ。

 ただしアズ・ラエルが結託したマフィアのボスとは違い、商会長が気に入らないと思った輩の店を金をもらって襲撃するなど、あくどい仕事でしのぎを得ていた。

 とても恐ろしい男であったが、アズ・ラエルが(偶然で)早々にチンピラたちを味方に付けてしまったため、手を出せずにこまねいていた。


 そんな二人に対し――この街の支配者にして辺り一帯の領主、ローザ・リヨリティカが上品に笑った。


「フフッ、アズ・ラエル……本当に厄介な男よねぇ」


 淑女然とした落ち着きぶりを見せるローザ。ただしその心中は怒りによって燃え滾っていた。

 マヨネーズが流行り始めた当初、彼女は『これは儲かる』と思いその製造法を一億ゴールドで購入してくるよう部下に求めたのだ。

 しかし結果はお断り。そこらの田舎者だというアズ・ラエルは、貴族であるローザからの慈悲深い提案をピシャリと跳ね除けたのである。これには怒り心頭だった。


 ――実際は『何億も稼げそうな勢いがあるのに一億はちょっとないっすね……』という至極真っ当な理由からなのだが、ローザはとにかく気に食わない。

 だが一旦は怒り収め、ならば十億ゴールドで買ってやろうと思っていたのだが――すでにその頃にはアズ・ラエルは数十億の稼ぎを得ていた。

 これでは首を縦に振るわけがないとローザは決めつける。


「金ではどうにもならず、チャチな暴力でもどうにかならない。――ならばもはや、『法』の力でどうにかするしかないわよねぇ……!」


「法ですとっ!?」


「領主殿、アンタまさかっ!?」


 冷や汗をかく商会長と暴力団のリーダーに、領主ローザは高らかに言い放つ――!


「そう! アズ・ラエルに対して国家反逆罪の冤罪をかけ、騎士団を派遣してヤツを抹殺してもらうのよッ! ちょうどチンピラどもとつるんでるって話だし、反逆組織を作っていると話せば王家も動いてくれるわー!」


 そして、あとは死んだ彼の私物などからマヨネーズ製造法をゆっくりと見つけていけばいいという話だ。

 相当溜め込んでいるであろう資金を奪ってしまうのもいいかもしれない。


 そんな邪悪な思いを胸に、ローザ・リヨリティカは妖しく笑うのだった。



 ◆ ◇ ◆



「あー、誰かマヨネーズの製造法とか販売権を買い取ってくれないかなー。もう百万ゴールドくらいでいいわ」


 ベッドでゴロゴロ転がりながら俺はそんなことを考えていた。

 いやだってさぁ、マヨネーズの作り方なんて思いついたら簡単じゃん? なんか卵とか油とか酢とかをクチャクチャするだけじゃん。根気は結構いるけどさ。

 いくらこの世界が焼くか煮るかしか調理法がない料理レベル独身男性ワールドとはいえ、真っ当に研究し続けたらもうとっくに正解に辿り着いているやつがいると思うんだってばよ。


 だから海賊版を出される前に売っちゃおうと思ってるんだけど、なぜか誰も買い取りに来てくれないんだよねー。

 前に領主様の使いが一億で買い取ろうとしてきたのを断っちゃったせいかなぁ?


 あのときは爆発的に売り上げてる最中だったから仕方ないけど、今はもう売り上げも落ち着いてきたしレシピを明かす頃合いだと思ってるんだよね。

 また領主様の使い来てくれないかなー。


 ――そんなことを考えていた時だ。宿屋の前が急にワーワーと騒がしくなった。

 何やら俺の警護を(勝手に)しているチンピラたちが誰かと揉めている。


 一体誰と争ってるんだと、窓から顔を覗かせると――、


「むっ、出たなアズ・ラエルッ! 私は領主様からの使いである! これより貴様を、国家反逆の罪で連行するーッ!」


 ……望んでいたはずの領主様の使いが、罪状を手にしてそう言い放ってきたのだった……!


 ってファーッ!? なんでマヨネーズを作ってるだけで国家反逆になるんだよーーーッ!?

 どうしてそうなったーーーーーー!






・主人公が捕まったところで新作投稿!

『顔が怖いせいで不良だと恐れられている俺、残念な美少女たちから「ヤクザ」と崇拝されるようになりました……!』

https://ncode.syosetu.com/n3149gp/


↑こちらもぜひ読んでください! 一話で警察に連行されます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] マヨネーズの次はマヨラック。思わずアヒルが脳裏に浮かんできました....簡単に食べられるマヨナルドとポテトもお願いいたします! ということで続き待ってます
[良い点] 続きが読みたいです。
[一言] ( ; ゜Д゜)つ★★★★★
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