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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第8章】 目まぐるしい日々
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あこがれの先輩? (1)

挿絵(By みてみん)


東野雪華さまがタイトルロゴを作ってプレゼントして下さいました。

ご本人の許可を得て掲載しております。



 年末年始の大型連休を前に、会社は大忙し。

 今年中に済ませておかなければいけないことって、結構ある。


 だけどだけど時間が足りなくて。

 本当は残業もしたくないけど、必要に迫られてせざるを得ない。

 そんな日々を過ごしていた。


 そのくせ忘年会だといっては定時で退社するようにとのお達しが。

 

 忘年会も新年会も社会人にはつきものだが、正直面倒くさい。

 気の合った仲間同士で行くのならまだしも、会社の人と気を使いながらって。

 

 そもそもどうして今頃忘年会なんて開くかな。

 もっと早い時期にやっちゃうでしょう?

 12月の初めとかに。


 明日から冬期休暇だというのに、最終日に忘年会だなんて。

 おかげで朝から大忙し。今年の仕事は今年のうちに済ませたい。


 こんな年末の押し迫った28日金曜日。

 やっとのことで今年度の仕事を終え、忘年会の会場に向かうのだけど。

 やっぱ気が進まない。


 明日は龍也たつやくんが千葉から帰って来る日。

 睡眠不足はお肌に悪いし、せっかくのデートに欠伸あくびばかりをしているわけにもいかない。

 1次会で早々に切り上げて、今日は早く帰ろう。



* * *



 駅前の居酒屋で宴もたけなわ。

 でも、もうそろそろ帰ろうと近くに座っている数名に目立たぬように挨拶をし、お店を後にしたときのこと。


「葉月さん」


 後から呼び止められて、なにか忘れ物でもしたのかと振り返る。


「あ、先輩」


「送って行くよ」


 そこには我が部署随一のキレモノ、将来出世間違いなしと女子社員たちが密かに狙っている3歳年上の山下利也としや先輩のお姿。


「いえ、駅も近いですし、明るいので大丈夫です」


 急なことで、せっかくの厚意を即答で断ってしまった。


「いや、ちょっと話しがしたいなと思って。迷惑かな?」


 いえいえ、迷惑だなんてとんでもないことでございます。


「迷惑だなんて、そんなことないです」


「じゃあ、行こうか」


 こんなところを他の女子社員に見られたら……と思うと、ヘンな意味で緊張する。

 もちろん、みんなの憧れの先輩とふたりで歩いてるっていうだけでも、かなり手に汗握る状態だが。


「でも先輩、まだ1次会の途中なのにいいんですか?」


「いいのいいの。俺ひとりいなくたって誰も気にしちゃいないよ」


 いやいやいや。

 女子社員はあなたの隣に座りたくて、陰で熾烈しれつな争いを……。


「そういえば、はじめてですね。ふたりでお話するのって」


 なぜだか私も内心ドキドキしたりなんかして……。

 滅多にないよ、こんなこと。

 龍也くん、許せ!


「だからいい機会だと思って。ちょっとお茶でも飲んで行かない?」


「え、でも」


「俺とじゃつまんない?」


「いえ、そんなことないです」


「じゃ、行こう」


 と、さりげなく腕を引かれて……。


 え、急にこんなに大接近なんて。

 私、彼いるんですがって言うのも、なんか意識してるみたいで恥ずかしいし。

 普通にお茶が飲みたいだけって場合もあるし。


 先輩! どういう意図か教えて下さ~い。



お読み下さりありがとうございました。


先輩の意図とはなんなのでしょう。

そもそも意図はあるのか。


次話「あこがれの先輩? (2)」もよろしくお願いします!

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