3連休なクリスマス(2)
今日は12月23日。
クリスマス・イヴは明日だけれど、明日の夜には彼は千葉県に戻っているので、一緒には過ごせない。クリスマス・イヴに独りなんて寂しいけれど、お仕事なんだから仕方がない。
って、割り切ってはいるけれど、本音を言えばやっぱ寂しい。
でも、日にちなんて私たちには関係ない。
クリスマスっていうイベント。それをどう楽しむかってこと。
だから、私たちにとっては、思いっきり楽しめる『今日』がクリスマスなのだ。
いつものように自室の窓から、公園横にSUVが停車しているのを確認して家を出る。
「行ってきま~す」
心も弾み、心なしか小走りで向かう。
いつものように運転席側のサイドミラー越しに手を振り、助手席側に回り、車に乗り込む。
「お待たせ」
「おう」
昨夜、龍也くんは友人たちとの飲み会で、かなり楽しんだようで。
ちょっぴり眠そうな目をこすりながらのお出迎え。
もうお昼もすぎているというのに。
「今日はどこ行こっか」
「今日はねー、まあ、着いてからのお楽しみってことで」
おおう、久々の着いてからのお楽しみ攻撃!
そう言うと、車はゆっくりと走り出す。
今日はどこに連れて行ってくれるのかな。楽しみ。
車は走る走る走る。
って、思うようには動かない。
今日は祝日。郊外に出かけるならまだしも、車は街に向かっている。
この地域では、いや全国でも屈指の大きな都市だ。
クリスマスのこの時期、デコレーションされた街並みがだんだんと近づくにつれ、車の速度が落ちてゆく。
「なんか渋滞してるね」
「仕方ないよ」
「どこに行くのか知らないけど、他のところでもいいよ」
「たまにはいいじゃん」
まあ、そうだけど。
貴重な時間を渋滞でつぶしてしまいたくないという思い、彼にはないのかな?
気分転換に音楽でも聴こうかと、カーオーディオのスイッチを入れた。
あ、この曲。
私の好きな曲だ。
♪ 溢れるほどのこの想い
言葉にするには照れくさいけど
このまま何も言わないまま
時間が過ぎてしまうのが
とても切ないから ♪
大好きな曲。
「この曲好きなんだよな」
「知ってる」
♪ 沈む夕陽に照らされながら
ふたり佇たたずみ見つめ合う
瞳とひとみ震わせながら
お互いのこころ揺さぶりながら ♪
「海彩ちゃんも好きだって言ってたね」
覚えてくれてたんだ。
♪ 未来のふたりを描く太陽道
空と海が溶け合う場所へ
真っ直ぐに そう真っ直ぐに
ふたりの未来が重なるように ♪
そうしてしばらく大好きな曲を聴いていると、車は大きなビルの駐車場へと入って行った。
ここって確か……。
お読み下さりありがとうございました。
龍也はいったいどこに連れて行ってくれたのでしょうか。
次話「3連休なクリスマス(3)」もよろしくお願いします!
*作品中の『♪』でくくられた歌詞は、作者によるオリジナルです。




