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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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3連休(3)

 今日は日曜日。

 龍也たつやくんの転勤に伴い遠距離恋愛が始まって、1ヶ月とちょっと。

 早いもので、付き合い始めてからもう4ヶ月も経とうとしているなんて。


 久々のデートだけど、特別にプランは立てていない。

 特に行きたいところなんてないから。


 どこかに出かけていくのが目的ではなく、ふたりで過ごす、同じ時間ときを綴ることができれば。


 ……ただそれだけでいい。





 いつもと同じように迎えにきてくれた龍也くんのSUVの助手席に乗り込み、いざ出発!


「どっか行きたいとこある?」


「特にない」


「そうだよな。オレは海彩みいちゃんと一緒なら、どこに行っても楽しいから」


 少し照れながら嬉しいことを言ってくれる。


「うん。どこに行くかっていうことより、誰と行くかっていうことの方が大事だよね」


 だから私も素直に言ってみたのだけど。


「うわあ! 海彩ちゃん、今日はどした?」


「え?」


「そんな嬉しいこと言ってくれるなんて」


「ふふ。久々のデートだから、ちょっとしたリップサービス」


 ホントは本心からだけど、ちょっぴり照れくさい。


「ぐふふ。ぐふふふ」


「どうしたの?」


 笑いをかみ殺しているようだけど、声が漏れ出している。


「いや、なんでもない」


 平静を装っている感は否めないけど?

 もう少しサービスしてみようか?


「逢えて嬉しいよ」


「……」


「あれ? 龍也くん?」


「……」


「もう! そんな無反応なら、もう二度と言わない!」


「本当に嬉しい時って、言葉がすぐには出ないものなんだな」


「え?」


「ううっ、ありがとう。海彩ちゃんがそんなこと言ってくれるなんて、思ってもいなかったから」


「たまにはね」


 そう、たまにはね。


「いつも言ってくれてもいいんだよ」


「調子にのるな!」


「じゃあ、お猪口ちょこならいいわけ?」


「お猪口ちょこにも、お銚子ちょうしにも乗っちゃダメ!」


 いつものように笑いに包まれる車内。

 こういう時間がなによりも楽しい。

 



 初秋ということもあり、朝から天気もよく絶好のドライブ日和だ。

 気の向くまま、想いのままにと車を走らせる彼。


 途中、飲み物やおやつなんかを買い込んで、コーヒー片手におやつをつまみつつ、朝の日差しを背に車は進む。

 車高の高い彼のSUVは見通しもよく、窓からの景色の移り変わりもまた楽しい。


 って、この風景、この感じ。

 ああ、そうだ。

 龍也くんとの初デートの時を想い出す。


 梅雨入り前の、今日のような晴天の日。


 窓からは爽やかな風が吹き込み、颯爽さっそうと走る車の助手席で1人ドラマのヒロインを気取っていた私。


 今日もなんとなく爽やかな秋風を感じたくて、パワーウインドウのスイッチに指をのせた。

 あの時と同じ海が左手に見える。キラキラと輝いたコバルトブルーのなんと綺麗なことか。


「海彩ちゃん」


「ん、なに?」


「お昼何が食べたい?」


 は? ぬぁんだとぉ! 

 セリフまであの時と同じだとは。

 トホホ、恐るべし龍也ワールド!


「なんかおかしいこと言った?」

 

 なんだか、嬉しくなった。

 あの頃と変わらない彼に。


「ううん、別に」


「何食べる?」


「海だからシーフードとか?」


 前にも同じこと言ったって、覚えているかな。


「初デートのときと同じでいい?」


「うん!」


 やっぱり龍也くんは覚えていてくれた。嬉しい。



 そうして海浜公園で少し休憩してから、シーフードレストランに向かうことにした。

 水族館や観覧車などがある海浜公園は、カップルや家族連れで賑わっている。


 私達はあの日と同じように、とりあえず砂浜を歩いてみることにした。


 夏も終わり、もう人もまばらな浜辺。 



 今日紡いでゆく想い出が、これからの遠距離恋愛の支えになってくれる気がする。



お読み下さりありがとうございました。


次話「3連休(4)」もよろしくお願いします。

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