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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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良き友人

 駅前のロータリーで朝10時に待ち合わせをしている。

 いくら龍也たつやくん公認といっても、流石に家の近くまで迎えに来てもらうわけにはいかない。

 待ち合わせ時間より少し早めに着いたが、浩ちゃんは既に待ってくれていた。


 運転席の浩ちゃんに軽く挨拶をすると、「さあ、乗って」と言われ助手席側にまわり車に乗り込む。

 それから近くのショッピングモールに併設されている映画館で映画鑑賞。その後食事をしたわけだが。

 楽しく過ぎてゆく時間もそれまで。映画鑑賞とは別の、彼にとっての本題があったのだ。


 なんとも出だしは歯切れが悪く、言いにくそうにしていたが、意を決した様子で話し出した。


 それは私には寝耳に水というか、あまりに突然のことで返す言葉もみつからなかった。

 いや、もしかしたら心の隅にはあったのかもしれないが、それが真ん中にこないように、気づかないようにと端っこに追いやっていたのかもしれない。だから、こんなにど真ん中に投げられたボールを受け止めることも投げ返すこともできなかったのだろう。


 しかし、時間の経過とともに少しずつ飲み込んでいけた。




 龍也くんのところに頻繁に連絡が入るらしい。

 元カノの存在。


 龍也くんは、キッパリと決別の言葉を述べたはず。そう言っていた。

 私はそれを信じている。


 でも元カノには届かなかった龍也くんの思い。


 これ以上どう説明すれば解ってもらえるのかと、悩んでいるという。

 浩ちゃんは彼が私には言いだせず、苦しい思いをしていると、とても心配して、その『言いにくいこと』を伝えてくれたのだ。


 ああ、それで。


 ショックな内容の話ではあったが、先日の電話で龍也くんの様子がおかしかった説明がつく。

 そう思うと少しホッとした自分もいた。


 どうしてだろう、元カノに対する嫉妬心は湧かない。

 龍也くんに対しても、『よりを戻したらどうしよう』という不安な気持ちも芽生えなかった。

 今までの私とは少し違う。


 信頼している。


 その言葉が相応しい。彼を信頼している。だからだろう。


 心配そうに見つめる浩ちゃんに、ひと言告げた。


「知らせてくれてありがとう。彼は大丈夫よ」


「そうだな。余計なこと言っちゃったかな」


 バツが悪そうにしている浩ちゃんも、本当に心配してくれてのこと。

 良き友人に囲まれて、龍也くんは幸せだな。そう思う。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!


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