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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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逢いたい

 軽く夕飯を食べてひと息ついたところで、浩ちゃんからあるお誘いを受けた。 

 でも、隠しごとをするのも嫌だし、なにもやましいところはないのだから、帰宅後、龍也たつやくんに電話をした。


『久し振り。どう? 調子は』


「うん、調子よくやってる。龍也くんは?」


『仕事の方は大分慣れてきたかな。あと、この辺の地理も解ってきた』


「そう。よかったね。……あの」


『明日、和田と映画に行くんだって?』


「うん。って、え?」


『さっき連絡あったよ。ひとりで行くのもなんだし、海彩みいちゃんお借りしますって。楽しんでこいよ』


 そうなんだ。浩ちゃん、案外きっちりしてるんだな。よかった。


「龍也くんが相手にしてくれないから、可哀相に思われたのかもね」


 ちょっと意地悪が言ってみたくなった。私の悪いところ。


『……ごめん』


 ……え。

 いつもなら笑い飛ばすようなところなのに、そんなに落ち込んだ声を出されると困ってしまう。

 顔が見えないっていうことは、こういうことなんだ。

 よく考えて言葉にしないと、こちらが意図しない言葉で相手を傷つけたりすることもある。


「そんな、謝らなくていいよ。冗談なんだから。龍也くんはお仕事頑張ってるんだから。ちゃんと解ってるから。……こっちこそごめん」


『3週間』


「え?」


『付き合いだして3ヶ月なのに、逢えなくなってもう3週間も経つんだなと思って』


「そうだね」


『逢いたいよ』


 どうしたんだろう。いつもの龍也くんらしくない。なにかあったのだろうか。

 仕事も順調そうだし、人間関係も、彼の持ち前の明るさで良好そうだし。


「なんかあった?」


『逢いたいよ』


「どうしたの?」


『海彩ちゃんに逢いたいって言ってんだよ』


「うん」


『海彩ちゃんはどうなの? オレとは逢えなくても平気なの?』


 平気なわけがない。でも、こんなに抑えたトーンでこんなことを何度も言うなんて、流石に彼らしくない。

 少し心配になってきた。


「逢いたいよ。逢いたいに決まってるじゃん」


『よかった』


「なんかあった?」


『いや、10月に逢えるのを楽しみに仕事頑張るよ』 


 その後、何度聞いても「何もない」としか答えは返ってこなかった。

 凄く気になるけど、彼が話してくれるまで待つほかはないのかな。


 10月の連休を楽しみに、私も月末まで仕事を頑張ろう。



なんだか気になるけど……。


お読み下さりありがとうございました。

次話もよろしくお願いします!

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