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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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定時退社指定日

 気がつけばもう9月も下旬になっている。

 龍也くんが転勤で千葉県に行ってしまった時は、泣いて、泣いて、泣いた。

 そして寂しかった最初の1週間。

 お昼休みの有効活用を始めた2週間目……。

 仕事に追われてあまり連絡が取れなくなった今週。

 と、だんだんと逢えない生活も、日常へと変化していった。


 実際、仕事が忙しくってあまり考え込む時間もなかったのが、結果的にはよかったのかなと思う。

 時間をもてあましていると、あれやこれやと、つい考えなくてもいい余計なことに意識がいってしまう。


 まだまだ先は長い。

 遠距離恋愛は始まったばかりなのだから。






 今日は今月最後の定時退社指定日だ。来週は月末の上に、上半期最終日ということで、いくら金曜日でも残業は免れない。

 帰れるときに早く帰ろうと、17時になると机上を片付け着替えに行く。

 ロッカールームで少しおしゃべりをして、17時30分には会社を出ることができた。


 本社前のバス停でバスを待っていると、後から肩をツンツンとされた。


海彩みいちゃん」


 振り返るとそこには、爽やかな笑顔でたたずむ例のイケメンくん。


「ああ、浩ちゃん」


 と一見カップルのような挨拶を交わし、話しながらバスを待つ。


「この間はありがとう。美味しかったよ」


 先日、お昼休みに本社工場の敷地内にある、ちょっとした庭園のベンチに座って、後輩、つまり今年の新入社員の女子とふたりでおしゃべりをしていた時のこと。

 たまたま遠目に私を見かけたと、浩ちゃんが走り寄ってきて、ポケットの中から「はい、これあげる」とあめ玉をふたつ差し出す。

 男子があめ玉をくれるなんて、ちょっとビックリしたが、微笑ましくもあり、「ありがとう」と受け取った。すると、ニコッと微笑んで浩ちゃんはクルッと背を向け走り去っていったのだ。

 そのためだけにわざわざ走ってきてくれたの? 

 ちょっぴり笑える。可愛いと思った。


「残業続きで疲れてるんじゃないかと思って。甘いものを食べると疲れが取れるっていうでしょ?」


「うん。お陰で疲れがとれたよ。ありがとね」




 その後バスに乗って駅前に着いた時、いつものように夕食に誘われた。どうしようかとも思ったが、龍也たつやくん公認ということで軽く食事をして帰ることにした。


 その時、思いもよらぬことを言い出されて、少し戸惑ってしまったのだけれど。

 まあ、それもいいのかな、とオーケーしてしまった。



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