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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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遠距離恋愛って……

 龍也たつやくんの指定した時間通りにかけたモーニングコール。

 何度もかけてやっとでた電話の向こう。

 無音、無言のまま途切れた画面を見つめるも、もう私も家を出る時間だ。


 気にしながらも会社へと向かう。




 お昼休みにやっと連絡がとれた。


「会社、遅刻しなかった?」


『おう、楽勝!』


「モーニングコールしてっていうから、何度もかけたんだよ」


『ありがとう、おかげで助かったよ』


 ん? 確か電話ではしゃべっていないはず。


「電話、すぐ切れたけど?」


『あ、ごめんごめん。でたときに手から滑り落ちちゃって。そのまま切れたけど、ちゃんと起きられたし、ま、いっかと思ってさ。時間もなかったことだし』


 なにおー!

 また、龍也ワールドかぁ?


「もう! 心配してたんだからね」


『嬉しいこと言ってくれるね。サンキュ』


 全然悪びれないところが、腹立たしくも憎めない。

 そこが彼の得な性格。そしてズルいところ。そして可愛いところ。

 思わず笑みをこぼしてしまう。



 なんでも、昨日の夜もあの電話を切ったあと、お隣の1年先輩の南さんに誘われて、南さんの部屋で遅くまでお酒を飲んでいたらしい。

 私からのモーニングコールで起きられると、高をくくっていたみたい。


 ちゃんと起きられたから安心したって。

 はあ、心配して損しちゃった。

 でも、ちゃんと起きられてよかった、とホッと胸をなで下ろす。


『そんでさぁ、今日、職場で歓迎会してくれるらしいから、夜は電話できないけど』


「うん、解った」



 それから、次の日も、その次の日も、結局その週はそれきり龍也くんからの電話はなかった。

 夕方に、今日は誰々と飲み会に行く、今日はどこどこで食事会ってメールが入るだけ。

 彼のことだから、きっとみんなに歓迎されて、こっちでもそうだったように、人気者になっているのだろう。

 楽しそうでいいんだけど。でも……。


 たとえひと言ふた言でも、声が聞きたいのに。

 文字が見たいんじゃない。

 話がしたい。会話がしたいの!


 一方通行じゃいやなのよ!

 文字だけじゃいやなの!


 って言えるはずもなく、『気を付けてね』『楽しんで』『飲み過ぎないように』なんて返信する。


 彼が今何をしていて、何を考えて、どう思っているのかが全く掴めない。

 文字だけ、顔が見えない会話。


 これが遠距離恋愛というものか、とそのときはじめて実感した。



お読み下さりありがとうございました。


次話「お昼休みの有効活用!」もよろしくお願いします!


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