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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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ほいほい

 夜遅く、龍也たつやくんから電話が入った。


『もしもし、海彩みいちゃん。連絡遅くなってごめん』


「ううん、龍也くんも疲れたでしょ? ムリしなくていいよ。忘れずに今日中に電話してくれただけで嬉しいよ」


『そう言ってくれると、オレも嬉しいよ。明日は荷物が入るから、片付けでバタバタしそうだしな』


「近かったら手伝いに行けるのにね」


『いや、海彩みいちゃんが来たら手より口の方が動いてそうだし』


「え、バレてる」


 なんかこうやって笑い合うのっていいな。楽しいひととき。


『来週はこっちでの初出勤だよ。あー、なんか緊張する』


「龍也くんでも緊張するんだぁ」


『どういう意味だよ』


 笑いながらそう答える彼。


「そのまんまの意味ですけどぉ」


 ちょっと冗談っぽく言ってみた。


『やっぱりさ、最初が肝心だからな。なめられないようにガツンと一発かましてくるよ』


「やっる~。第一印象って大事だよね。今後の仕事に関わってくるし。なめられるとヘンな用事ばっか回ってくる」


『海彩ちゃんも言うねぇ』


「それと、歓迎会やらなんやらで飲み過ぎないように!」


『はい、気を付けます』


「それから、飲み会に誘われても何回かに1回は断ること」


『え、どうして?』


「知ってる? あんまり毎回毎回、誘われる度に参加してる人のこと、陰でなんて言われてるか」


『知らないなぁ』


「ほいほい」


『なんじゃそれ』


「いつでもどこでも誘えば『ほいほい』ついてくるっていう意味だって」


『へぇ、上手いこというなぁ。初めて聞いた』


「男子の陰口の方が陰湿なのかな。ウチの部署にも絶対に断らない人がいるんだけどさ、陰では『人数合わせにほいほい呼ぼうか』とか、『あいつはよっぽどヒマなんだろう。可哀相だから呼んでやろうか』なんて言われてるんだよ」


『そりゃひどいな』


「本人はそんなの知らないから、好かれてて誘われてると思ってる。そんで、そういう悪口は男性同士じゃなく、男性社員がわざわざ女子社員に言いに来るのよ」


『え、それもキツいな』


「でしょ! だからほいほいついて行っちゃだめだよ。何回かに1回は断ってね」


『はいはい』


 あー、心配して言ってるのに、話半分に聞いてるな。


「解ってるの?」


『ほいほい』


 絶対に人の話聞いてないよね!



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] セリフ1つ1つは短い事が多いですが1つ1つに意味がありかつ行間から感情の揺れなどが伝わってきて、転勤になるまでの段々と寂しさが増していく雰囲気などが良く出ていると思います。
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