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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第1章】 お互いの気持ち
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そもそも

 転勤か……。


 特に若手有望社員は、早い段階に「経験」として1年~3年間の期間付き転勤がある。

 もちろん長くても3年後にはまた本社に戻ってくるのだが。


 付き合いだして1ヶ月。3年間も遠距離恋愛って……待てる?


 印刷室の椅子に腰かけたまま、またあの頃に想いを馳せるのだった。



* * *



 2ヶ月前、係長に頼まれた書類を人事部に届けるべく、勢いよく私が所属する総務部のオフィスを飛び出したとき。

 そのとき偶然にもほどがある再会を果たしてからも特に進展はなく、また、特に気にとめることもなく平凡な日々を淡々と続けていた。


 なぜなら、その時私には他に付き合っていると言える人がいたから。でもその人のことを好きなのかと聞かれると……正直解らなかった。


 そもそもその人と付き合いだしたのだって、友人の結婚式の2次会で高校時代の知人にたまたま再会して、それから頻繁に電話がかかってくるようになり、食事に誘われたりして。ただの知人というだけでほとんど話したこともなかったから、その人に対して別に何の感情もなかったし、共通の友人がその人のことを中学生時代からずっと想い続けていることを知っていたから、ずっと断り続けていた。


 でもあんまりしつこい誘いに、一度食事にでも行けば気が済むのかな、なんて思って出かけた。

 すると交際を申し込まれ、ずっとずっと断ったのにそれでもまだ、『友達として』でもいいからって。


 結局『友達』として付き合うことに。でも、友人の気持ちを考えるととても恋人として付き合う気にはなれなかったし、そのことを友人に内緒にしておくのは嫌だったから、正直に話しすことにした。


 すると友人には、その人のことは今でも好きだけど、その人も友人の気持ちを知っていても今まで交際には発展しなかったのだから、2人を応援すると言う。

 恋人になるつもりはなかったから、応援すると言われても少し複雑な気持ちではあったが、友人との関係はその後も良好に続いているので、正直に話してよかったとは思う。


 結局『友達』として付き合っていても、会う回数が増えるごとに『友達』ではない付き合いをしてほしいと言われるようになり、はっきりとした返事をしないままの状態で過ごしていた。

 実際2人で食事をしたり出かけたりしているのだから、その人は付き合っていると思っていたのかもしれない。

 今考えると、もっと早い段階でキッパリと言うべきだったのかな、なんて思ったりする。



 そんな優柔不断な友達関係を続けている間に、他にも何人か交際を申し込まれたりもしたけれど、心ときめく人には未だ出会えていなかった。


 みんな私の「見た目」を褒めてくれる。

『栗色でストレートのロングヘアが素敵だ』とか、『クリッとした大きな瞳がかわいい』とか。


 見た目より性格重視と言いながらも、まず第一印象である程度は決まってしまうところがあるのだろうか。でも、その人の本質は、じっくりと話してみないと解らない。

 第一印象が全てではないのだろうと、今になって思うこともある。



 私は少々奥手で、もし好きな人ができても自分から告白することは絶対にない。例え片想いのまま終わることになったとしてもだ。もちろんバレンタインデーに本命チョコを渡すこともないし、もし渡すとしても『告白』というカタチではなく、あくまでも『友チョコ』として。



 だからというわけではないが、やはりこの『友達』との付き合いには違和感がある。


 私は、3ヶ月以上も続くその『友達』関係に、そろそろ終止符ピリオドを打ちたかった。


 そんなある日……。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
境界線を引かなくてもいいのでは?と当時の私はしばらないように、と。でも、そのあいまいさが、混乱させてしまいました。がんばって!
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