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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第5章】 転勤間近
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心の中

 もっと可愛い女性を演じられたらいいのかな?

 でもそんなの私じゃない。

 自分を作ってまで龍也くんと一緒にいることはできない。

 ホントの私を知って、良いところも悪いところも受け止めてほしい。

 私も彼にはそうしたい。大切に想っているから。


 素直になれない私。

 自分で自分が情けないよ。


 もっと素直になりたい!

 でもなれない。

 そのせいで不安な気持ちが募っていくことなんて、解っているのに。


 頭の中で気持ちが行ったり来たりしている。

 こんなもやもやな状態で過ごすのはしんどい。


 私としてはキッパリと断ってほしい。でも、これは龍也たつやくんと元カノの問題。

 しつこく誘われて、はっきりと断りの言葉を投げるかどうかは龍也たつやくん次第だし。

 まあ、龍也たつやくんが断っているのに何度も連絡してくる元カノも元カノだしな。諦めが悪いというか、よほど龍也たつやくんに未練があるのか。


 私にできることは、龍也たつやくんを信じて待つこと。


 

 


 それから今日まで、龍也くんからの連絡はこない。

 もちろん私からも連絡をすることはない。というより、連絡しづらい。

 何と言えばいいのか、言葉が見つからない。


 ごめん。


 心の中で何度も繰り返す言葉。

 でも彼には伝わるはずもなく。


 もやもやしながら毎日過ごしていくのは、精神的にかなり堪える。

 自業自得?

 そうかもしれない。


 でも、彼だってメールのひとつでも送ってきてもいいと思うけど。

 友人とお出かけしたって確かに楽しいし、はしゃぐことだってある。

 だけどいつも頭にあるのは、気まずくなった彼のことばかり。


 いよいよ明日で夏期休暇も終わる。

 転勤までの貴重な時間、一緒に過ごせるかけがえのない時間(とき)を、無駄に過ごしてしまったのだろうか。


 彼から連絡がないことで、余計に不安が募る。悪い方に考えてしまう。

 頭に浮かんだことを打ち消そうと、首を何度も横に振ってみても消えるものじゃない。


 あまりにそのことばかり考えすぎて、胃が痛くなってくるほどだ。



 この3日間、私なりにいろいろ考えてみた。

 今まではただ『好き』な気持ちだけで、よく見えていなかったことがあるのじゃないかって。

 私は、自分のことに精一杯で彼のことを考えていなかったのじゃないか。


 もちろん考えてはいる。でも、自分の都合のいいように脳内変換していたのかもしれない。


 思いやりの心。


 いつも大切にしようと心がけていたこと。

 なのに忘れかけていたのかもしれない心。




 そんなもやもやを胸に自室のベッドに腰かけて、いろいろと想いを巡らせていたとき。

 

 1件のメールが届いた。


 誰からだろう。


 恐る恐るスマホを確認すると……。



人にはいろいろ言えても、自分のことになったら案外見えないことってあるのかな、なんて。


お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!


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