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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第5章】 転勤間近
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会えない1週間の終わり

 火曜日の帰りに偶然浩こうちゃんと会って、龍也たつやくん了解のもと2人で食事に行ったけど、思いの外楽しかった。浩ちゃんはそんなに多くは語らないタイプだが、根は優しいっていうのはよくわかる。

 次の日も、その次の日も『偶然にも?』バス停で浩ちゃんに会い、「お腹すいたぁ~」の言葉とともに「今日はなに食べよっか」となって、食事をして帰った。


 言葉の端々からうかがえるのは、私が龍也くんと会えなくて寂しいだろうから、って励ましてくれているということ。

 だから「お腹すいた~」って、いかにも自分のことを言っているような言い回しをしながら食事に誘ってくれていたのも、本当は私を気づかってくれてのことなんだな、ということが伝わってきて彼の優しさに感謝したい。


 龍也くんは職場でいい友達に出逢えたんだなぁ、ってつくづく思った。



 そして今日、8月10日金曜日。

 今日はいよいよ龍也くんが、来月からの転勤先である千葉県での下見を終え帰ってくる日だ。


 私は夏期休暇前の追い込みも無事終了し、なんとか定時退社にこじつけた。新幹線で帰ってくるとのことなので、ホームまで迎えに行く約束をしている。


 夜の新幹線のホームにひとり向かうのは寂しいな、と思って仕事終わりに本社前のバス停までとぼとぼと歩いていると、軽快なクラクションの音とともに1台の車が止まる。


 助手席側のウィンドウが静かに降りてゆく。


 な、なに?

 誰?


海彩みいちゃん、今帰り? 」


「あ、浩ちゃん、今日は車なの?」


「今日は村上さんが帰って来る日だよね。迎えに行くんでしょ? さあ、乗って」


「え、でも」


「村上さんとは話がついてるから。荷物もあるようだし、車で海彩ちゃんと一緒に迎えに行くって」


「そうなんだぁ」


 むむ、そんなこと私聞いてないなぁ。私のことでもあるのにふたりで勝手に決めちゃうなんて!


 男の人ってそのへんデリカシーないよなぁ。悪気はないんだろうけど。

 いや、むしろ君のことを思って気を使ってしたことだ、くらいに思っているのかしら。


 男女の考え方の違いのそういう些細なところが気になってしまうのは、私だけだろうか。

 いや、でも、さっきまで夜の新幹線のホームにひとり向かうのは寂しいと思っていたので、気遣いに感謝すべきだろう。




 折角よかれと思ってしてくれていることなので、厚意に甘えることにした。


 ホームで新幹線の到着を待つ間も退屈せずにはすんだけど、『1週間ぶりに会える』という緊張感もドキドキ感も味わうことなく、車内から降りてくる龍也くんとの対面を果たした。


 その後は3人で楽しく食事をして自宅近くまで送ってもらったけど、なんだか考えていたものと少し違う。

 男同士の方が楽しいのかな?


 それとも……。


 ちょっぴり寂しい気持ちが芽生えた夏の夜だった。



やっぱり男女間でものの見方、考え方、捉え方、感じ方……。

いろいろと違うのでしょうね。


解り合うって難しいのかしら……。


次話もよろしくお願いします!


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