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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第5章】 転勤間近
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会えない1週間のはじまり

 8月に入り龍也くんは9月からの転勤に備えての下見ということで、今日8月4日~10日までの1週間千葉県に行くことになっている。そしてその次の日、11日~19日までの9日間が我が社の夏休み期間。


 今日は土曜日なので、本来なら見送りにいきたいところだが、ただでさえ忙しい月初。その上夏期休暇前ときたら、今日は楽しい休日出勤。夏期休暇中の社員ひとりひとりに対する、安否確認システムの設定(大震災以降、定期的に全社員対象にメールにて確認)やなんやらで、案外とご多忙な私。


 全社員12000人の安否を確認せねばならない。

 確認とは、出勤ができる状態にあるかどうかの確認で、全社員からの返信が届くまで何度も送信しなければならないというもの。お出かけやら旅行やらとなかなか連絡の取れない場合もあるので、結構大変なのだ。


 その連絡メールを、夏期休暇中に間違いなく送信できるように設定する。


 だからお見送りはできない。

 まあ、昨日の夜にちょっとだけ会う時間があったから、「気を付けて行ってらっしゃい」という挨拶はすませたのだけれど。


 今日は、先月のバーベキューメンバーでもあり、龍也くんと同じ部署の仲良しで先輩の智ちゃんこと大崎智貴さん、後輩の小川くんこと小川俊之さん、同じく後輩で今年の新入社員でイケメンの浩ちゃんこと和田浩一さんが新幹線のホームまで見送りに行くらしい。


 


* * *



 1日中バタバタとしていたので、スマホの確認もできなかった。

 夕方少し落ちついたので、ようやく電源をONにすると同時に着信音。



「あ、もしもし海彩みいちゃん? 今大丈夫?」


「うん、もうそろそろ帰ろうかと思ってたところ」


「そっか。無事ついたから、それだけ言いたくて」


「よかった」


「明日からちょっと忙しくなるから、毎日電話とかは無理かも」


「そんな、毎日なんていいよ。お仕事優先!」


「うん、挨拶回りとか新居の下見とかいろいろあるみたい」


「わかった。しっかり下見しておいでよ」


「了解。落ちついたらまた電話するよ」


「忙しいんでしょ? メールでもいいよ」


「オレが海彩ちゃんの声を聞きたいの!」


「はいはい」


 嬉しいことをサラッと言ってくれる。

 昨日会ったばっかりだし、今声を聞いているけれども、もう会いたい。

 でもそんなことは言わない。

 いいえ、言えない。



 

お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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