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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第3章】 動揺
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7月8日(日) お星さまが見えた(2)

お店の中を流れる川。それはちょうど橋の真ん中あたりにさしかかったときだった。いきなりの轟音。いや雷鳴とともに川の上に雨が降る。


え、え、どうなってるの!?


 それはそのお店の演出で、稲光とともに轟音が鳴り響き川の上に雨が降る……。

 屋外での出来事でも驚くが、ここは屋内。ましてやレストラン。

 急に雷が鳴って雨が降り出すなんて考えもつかない。

 いきなりのことにビックリして思わず龍也たつやくんにしがみついた私。もう、それならそうと前もって言ってくれればいいのに!


「先に言ったら面白くないでしょ」


 そう言いながらニヤニヤしている彼。


 まあ、そうだけど。


「めちゃくちゃびっくりした! でも、すごい演出だね」


「でしょー」


「おもしろい!」



 うきうきしながら席に着き、2人でメニューを覗き込む。


「適当に頼んじゃっていい?」


 初ジンギスカンで、何をどう頼めばいいのか解らなかったので、彼に任せておけば安心。


「楽しみー」 



 まずは飲み物が運ばれてきて、喉を潤しながら話に花を咲かせていると、いつの間にか雨が止んでいて、辺りはオレンジ色に染まり、空には綺麗な夕焼けが……。


 あれ?


 さっきは雷が鳴り響いていたあの空が今は様子を変えている。……お洒落だ。


「このお店、素敵ね」


「気に入った?」


「もちろん!」



 それからはまたいつものようにいつもの如く、まるで夫婦漫才めおとまんざいのような掛け合いで楽しいひとときを過ごした。

 食事も終わり、そろそろお店を出ようかな、なんて思っていると……。


 店内が暗くなり、辺り一面にお星さまが。


 天井には天の川が煌めいていて、なんて素敵なの!


「わあ、綺麗!」


「これを見せたかったんだ」


「うん、お星さまが見えたね」


 しばらくその素敵な世界に浸ってからお店を出ると、外の世界はもう宵の口だ。

 食後の運動と称して少しその辺を散歩することに。


 食事前には家族連れで賑わっていた場所も、今はカップルが目立つ。

 みんな楽しそうに笑い合い、微笑み合っている。


 少し歩くと小さな川が流れていて、その脇のベンチで休むことに。

 この辺りは静かで水の流れる音が心地良く響いている。


 なんだか妙にドキドキしているのは私だけかな?


 見上げると星月夜ほしづくよ


「やっぱり本物のお星さまは綺麗だね」


 天の川も見えるような星月夜にうっとりと見惚れている私。


「そうだね」



「あ、さっきのお星さまも、もちろん素敵だったよ!」


 慌てて彼の方を向いてそう言ったの。


「サンキュ」


 笑いながらそういう龍也くんと目が合って。


 龍也くんと目が合って……。


 そのまま見つめ合って。


 しばらく……即ち、さほど長くはないが、すぐともいえないようなそんな時間。


 見つめ合って。



 見つめ合って……目を閉じた。


 体中の力が抜けていくようなそんな時間。


 一瞬のようにも、永遠のようにも思えた。そんな時間。

 

 『あなたのことが……好き』


 心の中で呟いた。



お読み下さりありがとうございました。


回想は今話までです。

次話「7月11日(水)それはまさしく突然にやってきた。」から現在に追いつき、繋がります。

いよいよあの第1話、最初のシーンです!


今夜更新します。

よろしくお願いします!


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