7月8日(日) お星さまが見えた(2)
お店の中を流れる川。それはちょうど橋の真ん中あたりにさしかかったときだった。いきなりの轟音。いや雷鳴とともに川の上に雨が降る。
え、え、どうなってるの!?
それはそのお店の演出で、稲光とともに轟音が鳴り響き川の上に雨が降る……。
屋外での出来事でも驚くが、ここは屋内。ましてやレストラン。
急に雷が鳴って雨が降り出すなんて考えもつかない。
いきなりのことにビックリして思わず龍也くんにしがみついた私。もう、それならそうと前もって言ってくれればいいのに!
「先に言ったら面白くないでしょ」
そう言いながらニヤニヤしている彼。
まあ、そうだけど。
「めちゃくちゃびっくりした! でも、すごい演出だね」
「でしょー」
「おもしろい!」
うきうきしながら席に着き、2人でメニューを覗き込む。
「適当に頼んじゃっていい?」
初ジンギスカンで、何をどう頼めばいいのか解らなかったので、彼に任せておけば安心。
「楽しみー」
まずは飲み物が運ばれてきて、喉を潤しながら話に花を咲かせていると、いつの間にか雨が止んでいて、辺りはオレンジ色に染まり、空には綺麗な夕焼けが……。
あれ?
さっきは雷が鳴り響いていたあの空が今は様子を変えている。……お洒落だ。
「このお店、素敵ね」
「気に入った?」
「もちろん!」
それからはまたいつものようにいつもの如く、まるで夫婦漫才のような掛け合いで楽しいひとときを過ごした。
食事も終わり、そろそろお店を出ようかな、なんて思っていると……。
店内が暗くなり、辺り一面にお星さまが。
天井には天の川が煌めいていて、なんて素敵なの!
「わあ、綺麗!」
「これを見せたかったんだ」
「うん、お星さまが見えたね」
しばらくその素敵な世界に浸ってからお店を出ると、外の世界はもう宵の口だ。
食後の運動と称して少しその辺を散歩することに。
食事前には家族連れで賑わっていた場所も、今はカップルが目立つ。
みんな楽しそうに笑い合い、微笑み合っている。
少し歩くと小さな川が流れていて、その脇のベンチで休むことに。
この辺りは静かで水の流れる音が心地良く響いている。
なんだか妙にドキドキしているのは私だけかな?
見上げると星月夜。
「やっぱり本物のお星さまは綺麗だね」
天の川も見えるような星月夜にうっとりと見惚れている私。
「そうだね」
「あ、さっきのお星さまも、もちろん素敵だったよ!」
慌てて彼の方を向いてそう言ったの。
「サンキュ」
笑いながらそういう龍也くんと目が合って。
龍也くんと目が合って……。
そのまま見つめ合って。
しばらく……即ち、さほど長くはないが、すぐともいえないようなそんな時間。
見つめ合って。
見つめ合って……目を閉じた。
体中の力が抜けていくようなそんな時間。
一瞬のようにも、永遠のようにも思えた。そんな時間。
『あなたのことが……好き』
心の中で呟いた。
お読み下さりありがとうございました。
回想は今話までです。
次話「7月11日(水)それはまさしく突然にやってきた。」から現在に追いつき、繋がります。
いよいよあの第1話、最初のシーンです!
今夜更新します。
よろしくお願いします!




