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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第2章】 はじまり
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留守番電話

 大きな鼓動が私の中に鳴り響いた。

 今頃……。


 留守番電話のメッセージを聞いて驚愕した。


 午後7時、家人は揃って外食に出かけている真っ暗なリビング。

 サイドボードの上の赤いランプだけが、不気味に点滅している。

 リビングの電気をつけてボタンを押してみる。


 ドキン

 

 大きな鼓動が私の中に鳴り響いた。


 今頃……。


 留守番電話のメッセージを聞いて驚愕した。


 その声の主は、『友達アイツ』だ。


『今度の火曜日、会社の帰りに待ってるから。絶対に来いよ』


 ツーツー


 ……日曜日、1件です。


 どうしよう。どうしよう。どうしよう。


 今更なんの用があるのだろう。

 胸の奥が波打っている。ああ、何も考えられない。

 またあの声を聞くなんて、今となってはもう恐怖でしかない。



 そうだ、家人が聞くと心配するだろう。留守電の録音は消去しておこう。


 洗面所に向かい手を洗っていると、自然と涙が零れてきた。

 悲しいわけではない。切ないわけでも。


 理由なんかない。ただ涙が零れてくるのだ。



 どうすればいいかも考えられない。とりあえずお風呂のスイッチを入れよう。

 自動で浴槽にお湯がはられるまで20分、私は黙々とブラウスのシミを取っていた。


 お湯張り完了の合図が鳴り響き、ハッと我に返る。


 ブラウスを洗濯機に放り込みスイッチを入れる。

 それからゆっくりと入浴。


 シャワーを浴び、丁寧に泡を洗い流してゆく。



 湯船につかり多少平常心に戻り、よく考えてみた。



 無視しよう。


友達アイツ』の一方的な要望に応えられるわけもないし、応える義務もない。

 そう思うと急に心が落ちついて……。


 下手に相手をするとまた連絡が入る。こういうときは放っておくのが得策だ。

 これくらいのことで一瞬たじろいだ自分が情けない。

 不意を突かれるって、心の準備ができていないときの出来事って、案外動揺してしまうものなのだな。


 我ながらまだまだ未熟だという自分を再発見。そういう意味では『友達アイツ』に感謝しなきゃな、なんて思うわけないけど。


 冷静になってよく考えてみると、私のスマホではなく、どうして家の留守電にメッセージを残したのだろう。誰が聞くかも解らない家の電話に。しかも挨拶の言葉もなく。

 失礼極まりない。


 そう思うとだんだん腹が立ってきたけど、暫くして気がついた。


 ふう。


 大きくため息をついてみる。

 もう、あんなヤツに振り回されるのはゴメンだ。こんなことでいちいちクヨクヨしているだけ、時間の無駄というものだ。

 さあ、明日から月曜日、また今週も忙しい。

 週の始まりは気持ちよく迎えたいものだ。今日は早めに休むとしよう。


 そう思い、少し気持ちを切り替えてお風呂場を後にした。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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