マイナス 2-01
リドニテス 0 マイナス 2
玄希大学教授枠沢は
絶望感と自責の念に駆られていた。
「まさかあのような結果になろうとは」
もちろん惑星ラーグの件だ。
惑星ラーグは枠沢が持ち込んだ
リドニテスのために。
もちろん枠沢自身、
意図しての事ではない。
善意?からしたことだった。
惑星ラーグ。
地球から五万二千光年離れた
その美しい惑星の
全住民をリドニテス化しようと試み。
いや、リドニテス化は大成功だった。
枠沢の持ち込んだリドニテスのDNAを
直接ラーグ星人へ注入する
DNA注入生物により
ラーグ星人たちは次々にリドニテスへと
変わっていった。
もちろんリドニテスへの変化も
ラーグ星人自身が望んだ事。
しかしその後が-----。
その直後に。
ラーグ星人同士の争いが。
国家間はもとより、
あらゆるレベルでの争いが噴き出したのだ。
リドニテスになれば何でもできる。
怖いものなしだ。
そういう思いが普段押し殺していた感情を。
理性のタガを吹き飛ばしたのだろう。
そして核戦争。
リドニテス同士の殺し合い。
彼ら自らの手で-----行った。
やはり人というモノは
急に巨大な力を持つと-----。
何をしでかすかわからない生き物なのか。
このままでは地球も。
銀河内に散在する知的生命体を捜索し、
その中から最も理性的と思われるラーグ星人。
この人たちならば大丈夫だろうと思い
リドニテス化したのだが。
彼らでさえああなったのだから-----。
地球人をリドニテス化などすれば-----
結果は火を見るよりも明らかだろう。
ラーグ星人には申し訳ないが。
ラーグ星人のリドニテス化の結果を踏まえて
それを元に
地球人へと応用しようと考えていたのだが。
甘かった。
もっと穏やかな形で
何とかうまく落ち着くだろうと
考えていたのだが。
いくら考えても-----だ。
枠沢の目的は。
地球人全てのリドニテス化。
どうして地球人全てを
リドニテスにしなければならないのか。
そう聞かれても
答えようもないのだが。
何か漠然とした思いが
枠沢を動かしている。
どうしてだかは枠沢自身
わからない。
子供の頃に観たアニメでは
必ずそのようにしなければならない
となっていたため
枠沢もそのように考えたのかもしれない。
人の考え方とはそんなものだろう。
とにかく枠沢は
今また新しい計画を考えていた。
しかし-----銀河にいる知的生命体を
実験に使うというのは。
二度としないと誓っていた。
それに人というモノは
急に強大な-----である。
ラーグ星の惨状を見て
なんとかできる-----かと言われれば。
自信はなかった。
ここは-----。
「クローンを使うしかないか」独り言のように。
「しかしどうすればうまくいくかだ。
それにその結果を踏まえて
地球人に応用するには。
失敗は許されないし-----。
そのような危険な実験を
地球人自身に行っていいものか
という問題もある。
クローンや他の惑星でうまくいっても-----。
それを地球で行っていいのか。
という問題も」
そう思う事もある。
まあとにかく-----。
「段階を踏んで進めて-----。
それから考えればいいか。
しかしどのようにすればうまくいくか。
マンガやモノの本で
よく言われている事には。
頭が良くなれば。
他には-----。
まあとにかく全部やってみるか。
知的生命のいない適当な惑星を
いくつか選んで-----」
すでに記憶や知識をクローンに
植え付ける事には成功していた。
問題は善良な人々と言われる者たちの
善良さがどこから来るかだが。
「主人公気取りの者が
犯罪を犯すか。
まあとにかく一応。
あまりやりたくはないが
DNA内に行動を抑制するような因子を
いれなければならないかも。
しかしどのような行動を抑制するか。
あまりやり過ぎると
ロボットのようになるし。
しかし-----しなければ-----エライことに。
本当は何もせずにうまくいけばいいのだが。
第一世代は致し方なしか。
その子供たちからはそのような事はないように。
遺伝はしないように組み込んでおけばいいか。
それに破壊されない刑務所も必要か。
ラーグ星ではイタイ目に。
クローンリドニテスのカテゴリーを”1“として
彼らに壊せない特殊金属の製造方法を
DNA内に組み込んでおけばいいか」
あれやこれやと枠沢は。
コンピュターのディスプレイを前にブツブツと。
分子合成装置に入力するためのモノだ。
「IQは。
知能指数はどのくらいにするかだが-----」
すでに知能指数を幾分ではあるが
あげる事にも成功していた。
要は脳内のニューロンの演算処理能力を-----。
ちなみに今の枠沢のIQは-----。
「ヒトは一応百だから
千程度でいいか。
あまり上げ過ぎると
勝手にリドニテスや怪獣などを作られてはかなわんし。
もしもの時に対応できなくなるかも。
そういう事は出来なくしておくか。
天才だが〇〇というのは始末に負えんし」