マイナス1-08
ここミルド国の首都ワードでは。
人々がルーゼル(リドニテス)化。
巨大化し。
大変な状況に。
政府は一応
巨大化は控えるようにと放送しているが-----。
全く。
これは他の国も同じ。
さらに怪獣が。
人々は。
急に。
一夜にしてルーゼル化し
強大な力を持ったことで-----。
日頃の鬱積した気分からか。
恨みからか
殺人、強盗事件が多発。
全人口に占める割合からいえば
当初は数パーセントに満たなかったのだろうが。
何せルーゼル化した者たちのやること。
その被害たるや。
次第にそれは数を増しているようだ。
さらに刑務所等でも囚人が脱走。
看守を殺害。
ルーゼルにとり刑務所の檻など
ないも同然。
混乱はさらに広がりつつあった。
「それに我々の調査したところ怪獣も」
「はい。
ルーゼルの力を使えば簡単でしたので-----。
我国だけでも数百から数千体。
世界中では数万はいるかと。
それが-----地中に存在していると。
判明-----しました」
「判明しただけです。
地下深くにいるモノについては-----」
「やはり先生の心配していた通りに」
「人々の理性を信頼した我々が-----」ボーレムも真っ青。
「これではまさかの時に用意しておいた
ルーゼルを逆にヒトに戻す
逆DNA注入生物も-----
使ってよいモノかどうか」アーザ参謀総長。
「ルーゼルによる暴動が治まっても
今度は万を超す怪獣により我々は」ナード。
「やはり君の心配していた通りに。
もっと慎重にすべきだった」ボーレム。
枠沢はどうしようもない。
「それで」枠沢。
「すぐにでも解き放つつもりです」ナード。
「しかし怪獣が」ボーレム。
「それは-----イーレス(枠沢)先生とも
相談していたのですが-----。
一部の者のみを宇宙へでも避難させておき
その上で散布すれば。
逆DNA注入生物の寿命はひと月足らず。
その間どこかに。
そうすれば」ナード参謀。
「なるほど。
しかしその間-----怪獣は-----。
どうするね」ボーレム。
「それは-----」
「どうしようもないわけか」
「とにかく今は。
それしか」
「しかし軍の内部でも
警察内でも暴動が。
そのような状況でどうやって。
避難する人々の人選はどうするね」ボーレム教授。
「それは-----。
暴動や殺人を犯すような輩なら、
我々の命令はもう聞かないでしょう。
イーレス先生とも相談したのですが。
先生は乗り気ではないご様子でしたが。
我々のシュミレーションでは
それで十分だと」ナード。
仲の悪かった国同士などは
既に戦争?状態。
巨大化したルーゼル同士がBB線で。
ラーグ星のルーゼル(リドニテス)は
防御力より攻撃力が優っている。
ルーゼルのBB線を受けたルーゼルは-----。
ひとたまりもない。
中には地中に潜む怪獣めがけ
上空からBB線を撃ち込み
怪獣狩りを楽しむ輩も多数。
周囲の被害もお構いなしに。
「仕方ありませんか」ボーレム。
「こんなに早く-----事態が推移するとは」枠沢も。
少なくとも数週は大丈夫だと踏んでいたのだが-----。
「はい。我々も-----。
これでは手の打ちようも」
逆DNA注入生物の入った容器に
時限開閉装置をセットする。
それを市内数か所に。
一か所では不安もある。
「行きましょう」
枠沢たちは一時宇宙へ。
大統領に従い
宇宙へと避難したものはごくわずかだった。
彼らは逆DNA注入生物の事は一切知らない。
教えられてはいないはず。
他の者たちはタガが完全に外れてしまっていた。
宇宙から枠沢はその様子を。
核ミサイルも発射された。
「こんな事が」大統領。
「あれではDNA注入生物も、
逆DNA注入生物も」ボーレム。
DNA注入生物はあくまで第二周期。
第五周期や金属周期にすれば
どこへでも入り込んで
シェルターなど意味がなくなるため
そうしたのだ。
逆DNA注入生物は金属周期だ。
しかし核には耐えられないだろう。
あまり強くは造っていない。
あまり強く造り過ぎると
生き残った場合。
それを懸念したためだ。
「それが狙いでしょう」枠沢。
逆DNA注入生物を持っているのはミルド国のみ。
他国に持たせると-----。
その情報は他国には知られてはいないはず-----
なのだが-----。
何せこの国の情報管理は。
「それともルーゼルになる前に
相手国の人口を減らしておくという-----
考えか」参謀総長。
「どうして」ボーレム。
「そうすれば後々戦いを有利に」
「何のために」ボーレム。
「もちろん。
世界征服ですか」
ミルド国へも核ミサイルが次々と。
その報復に相手国へも。
それも一か国へではなく
複数の国へ。
「クソー。
あいつら。
-----」兵士たちも。
「あそこは私の生まれ育った街だ」
家族もそこに居るのだろう。
核の炎は-----ラーグ星全体を。
「ルーゼル化していれば
何とかなるが」兵士たち。
その時。
BB線が枠沢たちを襲った。
兵士たちが白熱化。
溶け崩れる。
そこにはズーグン国の兵士たち数千が。
「貴様ら-----」アーザ参謀総長。
ミルド兵たちもBB線を。
宇宙でも戦闘は拡大していった。
枠沢は、ボーレムはその状況を。
「どうしてこんな事に」ボーレム。
枠沢も真っ青。
「やはり-----人を急にルーゼル化するのは-----。
やはりルーゼルは。
ルーゼルとして生まれ、
育ったものしかダメなのか」ボーレム。
すでに惑星ラーグは核の炎に。
ルーゼル同士の戦いにより。
すでにルーゼル化していた者たちは
逃げ惑い、
あるいは戦い-----。
まだ人であった者たちは-----。
あの状況では。
逆DNA注入生物もあの核の炎の中では
全滅してしまっているだろう。
その時。
BB線が枠沢たちを襲った。
ボーレムが溶け崩れる。
「ボーレム教授」
枠沢にもどうしようもなかった。
枠沢は-----の内に。
一人地球へと戻った。
完