マイナス1-01
リドニテス 0 マイナス~巨大変身ヒーロー(金属周期生物)と大砲の弾丸が当たってもビクともしない巨大生物“怪獣(第五周期生物)を遺伝子工学で造ってしまった○○サイエンティストのそれから~
無人島での核爆発の数年前。
玄希大学教授枠沢は
既にリドニテスを完成させていた。
モンローと袂をわかってから数年。
やっとの思いで完成させたのだ。
何せ大学教授との掛け持ち。
その片手間となると。
もちろん大学教授には愛着がある。
枠沢はまだ若かった。
希望に燃えていた。
ここは例の空洞内。
だいぶ深い。
しかも入り口はない。
地底の岩盤と岩盤のすき間といったところだろう。
リドニテスを完成させて後。
この場所に空洞を発見し
そこへ研究所内の機材を持ち込んだのだ。
というのもここ数か月
自宅や大学の研究室に不審な侵入者が
相次いでいたためだ。
秘密にしてある研究所も
このままではいつ見つかるかも知れない。
その為適当な場所を探していたのだ。
ここならばひとまず安心だった。
そして今、枠沢の研究は
新たなる段階を迎えようとしていた。
それはーーーーー。
銀河の星々へと放った
数十億の探査機が今まさに
情報を送って来つつあったのだ。
遺伝子工学により造り出された
生物探査機とも言えるそれは
重力推進能力、亜空間移動能力を持ち、
銀河の星々を隅々まで探査し
地球人類の生存可能惑星、
知的生命体の有無、
第三、第四、第五周期、
および金属周期生命体の
生存の可能性を探査する。
その探査機によってすでに枠沢は
数百の知的生命体の存在を確認していた。
もちろんその中には
人類よりはるかに優れた文明を持つモノもいた。
第五周期生命体も偶然発見した。
しかしそれはまだ小さなバクテリアていど。
さらに探査の範囲を拡大しなければ。
知的生命体についていえば。
それらの言語、生活環境、科学知識を調査し、
彼自身の研究に役立つモノを探す。
しかしーーーーーそういうモノはなかなかーーーーー。
言語の解析は意外と簡単だった。
彼らの幼児期の絵本などから
容易に解析出来る。
要は彼らの遺伝子を採取し、
それからクローンを作り送り込み、
それによって情報を収集すればよかった。
地球のように通信、
インターネット等の発達した惑星では
コンピューターの基本構成や
プログラムさえわかれば
後はもっと手軽に解析が可能だった。
その中の一つ。
ある惑星に枠沢は非常な興味を持った。
文明レベルは地球程度。
科学レベルも似ている。
しかもそこでは------
遺伝子工学によりリドニテスや
怪獣の研究がなされていた。
枠沢やモンローのように
個人で秘密の内に隠れてではなく。
大規模に日・の・当・た・る・場・所・で・である。
他の惑星にも怪獣やリドニテスの
出て来る映画があるのかって-----。
そういう惑星を捜したと言った方が
わかりやすいか。
「モンローもこの惑星で生まれていれば
あんな風に大学を追われるような事には
ならなかったか。
いやーーーーー。
奴はーーーーー」枠沢。
フト独り言を。
枠沢はーーーーー。
その惑星。
彼らは自分たちの事を“ラーグ人”と呼んでいる。
地球から五万二千光年ほど離れた、
いわば辺境の惑星だ。
地球と同じくG系列の恒星を持ち
十五の惑星がその周囲を回っている。
その五番目が惑星ラーグだった。
地球と同じくラーグ星は
数十の国に分裂しーーーーー。
枠沢はどうしても
その惑星に行ってみたくなった。
前年に長年連れ添った妻を
交通事故で亡くしたせいかも知れない。
リドニテスを完成させて
有頂天になっていたのかもしれない。
誰かにそれを伝えたかったのかも。
しかしーーーーー地球ではーーーーー。
それは不可能だった。
枠沢はラーグ星人の細胞を、遺伝子を。
それを解析しーーーーー。
言語はすでの勉強済み。
まだ言語の記憶をDNAレベルで
脳へ記憶させるところまでには
研究は進んでいない。
あともう一歩というところか。
枠沢はクスリを目の前に。
飲んだ。
数分後。
そこにはまぎれもなく
惑星ラーグの住人の姿があった。
「これで大丈夫だな。
どの国へ行くか」
枠沢の今の言語能力ではとてもーーーーー。
文明の発達した国の言語三つは、
何とか読めて書けて、
しゃべれる程度にはしたのだがーーーーー。
これではとてもーーーーー。
外国人という事で
その中の一つ、
ミルド国へと行く事にしていた。
これならカタ言のミルド語でも
言い訳ができる。
例えるなら日本にカタ言をしゃべる
外国人がいるようなものだ。
必要なモノは全てそろえた。
服、身分証明、その他。
金銭も。
生活習慣もほぼ調べた。
後はーーーーー。
まあいいか。
こういう事をするのは始めてだしーーーーー。
枠沢はリドニテスに変身。
惑星ラーグへむけ亜空間移動。
枠沢のリドニテスなら
たいして時間は。
惑星ラーグは枠沢の眼下にあった。
宇宙から眺めるその姿は。
美しい。
まあ、木々が陸地を覆い、
海があれば、
どの惑星も眺めはそんなものだ。
枠沢はミルド国へと亜空間移動。
ラーグ人の姿へと変身した。