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第121話「チェンソー・ウーメン・アピアランス」

 昨日の夜はスプラッター映画でこわい気持ちになりました。

 そして今日は……リアルでホッケーマスク登場!

 配達に行った先に現れたマスク&チェンソー。

 ウォンウォンとチェンソーを空吹かし。

 わたし達、どうなっちゃうの!


 レッドとみどりは寝ちゃいました。

 ミコちゃんももういません。

 たまおちゃんとシロちゃんも先にお休み。

 居間にはわたしとコンちゃん、店長さんなの。

「わくわくなのじゃ!」

 もう、さっきからコンちゃん、目がランランとしてるの。

 わたしと店長さん、さっきから抱き合ってテレビを見てるんだけど……

 もう背中は冷や汗ダクダク。

 ホッケーマスクがチェンソー持って大暴れなの。

 盛大な血しぶき!

 吹き飛ぶ腕や足!

 ぶちまけるはらわた!

 店長さんと抱き合ってるのに……嫌な、こわい気持ちでいっぱいです。

「あわわ!」

 わたしと店長さん、抱き合って震えるの。


 朝です、まだ昨日のホラー映画が頭に残っちゃってますよ。

「そんなの、見なきゃいいじゃない」

「ミコちゃん、そうは言っても」

「何?」

「昨日はアニメをやってるはずだったんだよ」

「でも、ホラー映画だったんでしょ」

「どうしてでしょ?」

 わたしとミコちゃん、一緒になって昨日の新聞を引っ張り出すんです。

 テレビ欄を確認。

 むむ、やっぱり昨日の夜はアニメになってますよ。

「これってアニメですよね?」

「そうねぇ、アニメよね、ホラーアニメじゃなくて普通にほのぼの」

 ミコちゃんも首を傾げています。

 そこにあくびをしながらコンちゃん登場。

「ふわわ、おはようなのじゃ」

 そんなコンちゃんの手には1枚のDVD。

「ま、まさかそれは!」

「うむ、昨日のホラー映画なのじゃ」

「うえ……DVDだったの!」

「うむ、ちらっとネットで見て興味あったのじゃ」

「コンちゃん、そんなの一人で見てください」

「面白いと思ったのじゃが……」

「こわいだけですっ!」

「ポン、おぬし店長と抱き合っておったではないか、よかったではないか」

「こわかっただけですよ、まったくモウ」

 昨日はテレビのつもりがDVDを見せられていたみたいです。

 ついつい見ちゃったわたしもわたしですが……

 こわいの……ちょっとは……見たいかな?

 そんなのってありますよね。

「はい、今日の配達分よ」

 ミコちゃんバスケットを並べます。

 なんと6つ!

「ミコちゃん、ちょっと多くない?」

「うん……今日のはパンばっかりじゃないの」

「??」

 見ればパンは4つなの。

 のこり2つのバスケットは食材でした。

 むむ、プリンの素と小麦粉みたい。

「老人ホームで切らしたからってお願いされたの」

「そうなんだ」

 むむ……わたし、プリンの素を見てびっくり。

「ふわわ、プリンの素ってこんなに大きかったんだ」

「配達人さんにお願いして業務用をお願いしてるの」

「でもでも!」

「でもでも?」

「わたし、最近プリン食べてないよ」

「ご、ごめんなさい、こんなにたくさんあっても、冷蔵庫で冷やせる数は……」

「レッドやみどりが食べてるんですね?」

「千代ちゃんやポン太くんやポン吉くんも食べてるわね」

「わたしに回ってこないだけなんだ……トホホ」

「ふふ、今日は老人ホームでごちそうになるといいわよ」

「ふむ、これを作るんですね、食べられるかも」

 って、コンちゃんがムスっとした顔で、

「ミコ、荷物は6つあるのじゃ、ポンとわらわの両手で4つまでじゃ」

 すると店長さんが奥から出て来て、

「俺が一緒に行くよ、村長さんにも呼ばれたしね」

 そんなわけで3人で出発なの。

 ミコちゃん、店先まで出て来て、

「頑張ってきてね~」

 なにを頑張るというんでしょうね?


 なにを頑張る……か、老人ホームでわかりました。

 老人ホームの前にホッケーマスクのチェンソーがいるの!

「ちょちょちょっ!」

「リアルかのっ!」

 わたし、店長さんにしがみつき。

 コンちゃん、昨日は喜々としてたのに今日はびびりまくりで店長さんに抱きついてますよ。

 店長さんはあきらめた笑みで震えてるの。

「待ってたわ~」

 って、声は村長さんなの。

「そ、村長さん?」

「そうよ、ポンちゃん」

 ホッケーマスクみたいに見えたのは、なんだかちょっと違うみたい。

「どうしたんですか、その格好っ!」

「ふふ、似合ってるかしら」

「似合ってるもなにも、どうしてそんな格好してるんですか!」

「何でって……この格好じゃないとね」

「だから、この格好って」

 わたし、震えながら、

「ままままさか、いまから老人ホームでスプラッター?」

「ポンちゃん、大丈夫?」

「だ、だって、昨日見たDVDでホッケーマスクが!」

「それ、安っぽいホラー映画じゃないの?」

「血がドバドバ出てましたよ」

「安直ね~」

 村長さん、マスクとゴーグルを外して、

「この格好はね、今から山に伐採に行くの」

「伐採?」

「そう、木を切るの、間引き、わかる?」

「間引き? まびき? ともかく木を切るんですね」

「そうね」

「でも、なんでそんな格好なんです?」

「だって、木を切ったら木屑なんかが飛び散って危ないのよ」

「だから武装してるんですか~」

「そうね」

 店長さん、ちょっとビビった笑みを浮かべながら、

「村長さんは山を持ってるんだよ」

「そうなんだ」

「この辺の山は全部村長さんの山なんだよ」

「村長さん、すごいんですね」

 でも……わたし、村長さんを上から下まで見て、

「でもでも村長さん」

「なに? ポンんちゃん?」

「伐採って、木を切るんですよね?」

「ええ、そうよ、そうね」

「なんで村長さんが切るんです?」

 村長さん、店長さん、コンちゃん、ポカンとしてます。

 でも、すぐに我に返ったのはコンちゃんで、

「そうじゃそうじゃ、何故で村長がそんな力仕事をするかの」

 店長さんも考える顔になって、

「そう言われると……なんで村長さん、ずっと自分で伐採に?」

 3人に言われて村長さん固まってます。

 悩む顔になって、頭から湯気出てますね。

 引きつった笑みを浮かべて、

「昭和生まれだから、体動かしてないと落ち着かないのよ」

 わたしと店長さん、あきれて笑っちゃうの。

 コンちゃんが、

「村長は大人しくしておれば上品なのじゃから、そんな力仕事はポンにでも任せればよいのじゃ」

 って、村長さんチェンソーを起動!

 激しく「ウォンウォン」唸らせると、

「いいでしょ、木を切るの、ちょっと楽しいのよっ!」

 うわ、こわいからチェンソー吹かすのやめてください。

 って、学校の方から子供達が来ましたよ。

 みんなこわばった笑みだったりしますね。

 あ、ちょうどいいところに千代ちゃん。

「ねぇねぇ、千代ちゃん、どうしたの?」

「うん、村長さんに言われてお手伝い」

「伐採のお手伝い?」

「うん」

 千代ちゃん、わたし達を見ながら、

「ポンちゃん達も手伝いに来たんだよね?」

「え? 配達なだけですよ」

 すると店長さんが、

「ポンちゃんポンちゃん、実は手伝いもあるんだよ」

「え? なんで?」

「ほら、パン屋さんには薪のオーブン、あるよね」

「ええ……裏の小屋は薪オーブンですよね」

 普段はガスオーブンでパンを作ってるの。

 でもでも、たまに「本格的」に薪オーブンでも焼くんですよ。

 薪オーブンのパン、ちょっと香りが違うと思うんです。

「伐採手伝って、薪をもらうって事になってるんだよ」

 あ、思い出しました。

 お店を出発する時ミコちゃんが「頑張って」って言ってたのはコレだったんだ!

 わたし達、村長さんの後に続いて山に入っていくの。

 一緒している千代ちゃんに、

「村長さんって、本当になんでもできるんだね」

「ポンちゃんもそう思うんだ」

「だって、チェンソーでも木を切るのって大変そうだし……」

「うん」

「千代ちゃんも勉強して知ってるよね?」

「うん?」

「きこりの仕事は男仕事では?」

「うーん、社会科のTVでそんなのあったかな? 男仕事かな?」

 わたし、他の生徒を見ながら、

「ねぇねぇ、他の子はちょっと様子が……」

「そう? ポンちゃんはそう思うの?」

「うーん、そのですね」

 千代ちゃん、わたしの顔をじっと見ます。

 わたし、子供達の顔を確かめながら、

「ほら、ドッチや体育の授業はすごい楽しそうにしてるよね」

「うん、みんな体動かすの、きっと好きなんだと思う」

「それなのに、みんなの顔、なんだか……」

「?」

「あんまり嬉しそうにない……って思うんだけど」

「……」

 千代ちゃん、みんなの顔を見て、

「うーん、私はどうでもいいかな、楽しいかな」

「千代ちゃんは楽しくても、みんなは違うと思うよ」

 千代ちゃん、ちょっと視線が泳いだかと思ったら、

「きっとみんなは『遊び』じゃないからだと思うよ」

「そうなんだ、学校出れるから楽しいって思ったのに」

「学校出れると楽しいの?」

「だって勉強しないでいいよね」

「勉強好きだったら?」

「えー、普通子供は勉強嫌いでは?」

「ポンちゃん……すごい単純な……」

「いや、絶対それが普通と思う!」

 千代ちゃん笑ってます。

 うーん、絶対わたしの考えが正しいと思う!

 勉強ってきっとつまらないもん。

「さぁ、みんな頑張ってー!」

 村長さんが言うと、男の子達はなにか足に着けてますね。

 それからロープを木に巡らせて……登り始めましたよ。

 上手にあがっていくの。

「ふわわ、すごーい」

「男子達は枝打ち担当だから、慣れてると思う」

「女子はなにをするの?」

「枝を集めたり」

「女子つまらなさそう」

「上級生になったら枝打ちさせてもらえるみたい」

「千代ちゃんやりたい?」

「私は枝打ちはいい……高いし」

 ですね、すごい上の方まで登っちゃうんだもん。

 すごいすごい。

 でも、低学年さんは枝を集めてばっかりでつまらなさそう。

 上級生も道具がない人は下で待機でつまらなさそうなの。

 枝はどんどん落ちてくるから集めるだけなんだけど……

「千代ちゃんは真面目にやりますね」

「だ、だって他にする事ないし」

 千代ちゃん、村長さんをチラ見して、

「ポンちゃん……実は」

「?」

「今日は伐採の日じゃなかったと思う」

「そうなんだ……どうして今日なんでしょ?」

「そこなんだけど……」

 千代ちゃん、眉をひそめて、

「今日の村長さん、やけに空吹かしが多いような」

「空吹かし?」

「ウォンウォン言わせるの」

 そう言われると、たまに吹かしてますね。

 わたし、初めてリアルチェンソー見たから、あれが当たり前と思ってました。

「あれは普通じゃないの?」

「うーん、今日の村長さん、なんだかちょっと変」

「聞いてみましょう」

 わたし、ダイレクトに聞いちゃうの。

「村長さん村長さん」

「何? ポンちゃん?」

「村長さん、なんだか今日は変ですよ」

「え……」

 って、村長さん、ちょっと汗あせなの。

「どうしたんです?」

「えっとね……」

 村長さんちょっと苦笑いしながら、

「天気がよかったのが一番なんだけど……」

「はぁ」

 そこにノコノコ配達人が登場なの。

 って、トラックなんですけどね。

「ちわー、綱取興業っす」

「配達人さん、どうしたんです?」

「そりゃ、伐採した木、どーやって運ぶの?」

「え?」

 わたし、木を見上げます。

「大きいよね、だからトラックで運ぶの」

「なるほど」

 って、わたし達が話していると村長さんが微笑しながら、

「ちょっと気になるスプラッター映画があって、配達人さんにレンタル借りてくるの頼んだのよ~」

「あ、村長さん、あんなコワイの見るんだ」

「ネットでちらっと見ちゃって、懐かしいかなって」

「でも、ホッケーマスクなスプラッターなんて……」

 わたし、途端に昨日の事を思い出しちゃいます。

「ねぇねぇ、配達人さん」

「何、ポンちゃん?」

「ホッケーマスクのホラー映画、他の人にも貸しませんでしたか?」

「うん、1・2巻あったから、1巻は村長さんで2巻はたまたま居合わせたコンちゃん」

 村長さんとコンちゃん、一緒になって盛り上がってますよ。

「わらわ、久しぶりにゾクゾクしたのじゃ」

「ホラーもたまにはいいわよね」

 わたし、二人の気持ち、さっぱりわかりません。

 ドバドバ血が出て、肉片ぶちまけるの、どこがいいんですかっ!

 わたし、配達人をゆすりまくりなの。

「こらこらー!」

「うわっ! なにっ! どうしてっ!」

「昨日の夜はこわかったんだからモウっ!」

「お、俺のせいなの?」

 って、わたしたちがそんな話をしていると、子供達はその辺の切株に座ってのんびりしてます。

 枝打ちもやめちゃったみたい。

 村長さんの目がキラン!

 唸るチェンソー!

「働かない子はスプラッター!」

 子供達、青くなって仕事にとりかかるの。

 わたし、配達人の袖を引っ張りまくりで、

『どう思いますかっ!』

『そ、村長さん、影響されやすいんだね……』

 って、村長さん、不意にわたし達の方に振り向いて、

「ポンちゃん、配達人さん、今、なにか悪口言ったわね?」

 チェンソーを「ウォンウォン」あおりながら言わないでくださいっ!

 村長さんこわいっ!


「……な事があったんですよ」

「レッドがお湯をかぶると泣くでありますね」

「うん」

「ポンちゃんはお姉さんですから、泣かせてはいけないのでは?」

「シロちゃんはどうしてるの」


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