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「私のスマホめっちゃ喋るんだけど?」

2話目

最近本当にスマホが喋べる…なんて、凄いですよねぇ。外で使うのは恥ずかしいですが。

「スマホに聞いて下さい…ねぇ…」





梨花はスマホが使用できるのなら○ステを見れる!ワンセグで!という事に安堵したが、手紙だけでは正直言って不安だし、未だ聞きたいことを全く聴けていない状態である。

そして、それを見越していたかのように手紙の最後には「スマホに聞いて下さい」とご丁寧に一文添えられているのだ。

これはきくしかあるまい。




そして梨花はこの世界に来て初めて「魔法の言葉」を唱えるのである。




「OK○ーグル」





ピコン!





『ご用件は何でしょうか?ご主人様?』




梨花の放った魔法の言葉で、スマホの画面が青一色になった。

本来なら中央に「マイクの表記」が出るはずであるが、

出てきたのは「こちらに向かって頭を下げている巫女さんらしき人物」であった。





「(なーんかいつもと違う気がするけどまぁいいっか)聞きたいことがあるんだけど」





梨花自身もあれ?スマホはこんな丁寧で流暢に喋るだろうか?という違和感に気づいたようだがその事に触れない。

なんせ、○ステが観れるかどうかの瀬戸際なのだ。細かいことは気にしていられないのだ。先程時間を確認していた梨花も驚いていたが実は現在夕方19時、辺りはすっかり暗い。

本来ならもっと優先させるべきことが沢山あるが、梨花の中では今夜出る人気アイドルグループの新曲がききたいという事で頭がいっぱいだったのだ。







『なんなりと、お申し付け下さいませ』



「テレビが観たいんだけど。観れるの?」



『はい。テレビアプリをデスクトップに表示しておきました。いつでもテレビを閲覧していただけます。又、私に事前に見たい番組をお申し付け下さいましたら予約録画もさせていただきます』



「おぉ!マジか!すごい!じゃあ録画しといてくれる?あ、それと録画できるなら○スマもよろしく!!!」



『かしこまりました。もし録画したテレビをご覧になる際はお申し付け下さいませ』



「うん!ありがとう!」





梨花はこの時なんて気のきくスマホなんだ!マジ神!!!と、スマホがやたら気が利く事についての違和感よりも感謝の気持ちのが大きかった為、自然と会話をしていた。

梨花にとって懸念であった「テレビ番組」についての問題が解消された為、ようやく今の現状を見直す事が出来る余裕がでてきたのである。

そして、その現状を自覚した時、自分はこれからどうするべきなのかというどうしようもない感覚に襲われたのである。

だが、梨花にはその不安を打ち明け相談する相手が今、正に目の前に居るのである。





「ねぇ、スマホちゃん…私、いきなりなんか良くわかんない神様ってやつに連れてこられちゃったんだけど…どうしたらいいかな?暗くなってきたし、お腹すいたし…私もう帰れないのかな…うっ…」






梨花は今の気持ちを素直に目の前のスマホに愛称をつけて気持ちを溢し始めた。

梨花にとってこのスマホは両親が高校入学祝いに買ってくれた物で、友達との繋がりが入った物で、現代でもこのスマホは、常に一緒だった。

それに加え突然の異世界で一番初めに話しを聞いてくれた。希望を叶えてくた。

そんな存在に自分のどうしようもない感情をさらけ出すのも仕方の無いことかもしれない。




だが、そもそも梨花が出したその希望は異世界に来てまでそんなに執着するものなのか?それよりも大事なことがあるだろうと思うだろう。


だが考えても見て欲しい。


買い物からの帰宅途中に突然異世界に飛ばされる出来事に梨花はパニックに陥った、それを落ち着かせる為に無意識で、目の前で起こった非現実的な現実に目を背け、突然手の届かなくなったかもしれない日常を求めた。



梨花自身、苦し紛れの行動だったのだ。どうしたらいいのかという不安も悲しみもあって当然で、現実世界だったら当たり前に届いていた希望を叶えて初めて梨花は「17歳の少女」らしい感情を表せたのである。






『マスター』



目の前で泣きはじめてしまった梨花の耳に無機質だが、気遣いが感じられる声が届く。


その声掛けにマスターって私?というような疑問も含めて梨花はスマホに目を合わせる。

するとスマホの画面に映っている「巫女さんの様な絵が」こちらを心配そうに見上げている姿が目に入った。

きっと彼女が梨花風に言う所の「スマホちゃん」なのであろう。

梨花と視線があった事を確認した上で、「スマホちゃん」が先程の続きとでも言うように言葉を発し始めた。




『まずはマスターの身の安全が大事です。辺りも暗く、これ以上の移動は危険な為本日はここで野宿という形になります。マスターの所持しているリュックの中にマスター専用のお泊りセットが入っています。そちら出して下さい。』


「うん、わかった…」





梨花は若干戸惑いながらもスマホの指示に従い自らの背負うリュックを開けると信じられない光景が広がっていた。




「スマホちゃん…私のリュックの中真っ暗で何にも見えないんだけど」



『中が無限空間になっておりますので、マスターは何が欲しいのかを念じながら中に手を入れてみてください』



「う、うん!わかった!」




梨花のリュックは外見は一緒なのだが、中身が以前と姿を変え、そのまま吸い込まれてしまうのではないかというどこまでも続く闇が広がっているのだ。

神からの手紙にもあった通り、中に何でも入る仕様となっているのだが、梨花自身手紙を読んだだけではいまいちぴんとこなかったのだろう。

梨花は一瞬戸惑いながらもスマホに促されるままに手を中に入れた。

勇気ある行動である。

梨花が(泊りセット~お泊りセット~)と、頭の中で念じながら探していると、ふいに手にしっくりとはまる何かがあった。

梨花がそのまま手にあるそれをリュックから出すと本格的なテントセットが「組み立てられた状態で」ドンッっと出てきたのだ。




「おおぉお!!!すごい!!!でかい!!!」




『喜んでいただけて何よりです。では、早速中に入ってみて下さい』




スマホちゃんの声に従い、素直にテントの中に入る梨花。

するとなんということでしょう。中は普通のテントではなかった。

普通のテントならば中に入ると、テントの形をそのまま切り抜いた殺風景な光景が広がるのだが、梨花の出したテントは中に入ると照明、簡易的なベッドやミニテーブル、テレビ、調理台や調理器具等があり、天井もそこそこ高く、6畳程の広さが広がっていた。そう、どうみてもテントの外見と中の空間の広さが合っていないのである。


普通ならばこのテント突っ込みどころが満載なのであるが




「すごい広い!スマホちゃんどうもありがとう!」





素直に喜んでいるだけである。梨花はギャルはギャルでもどこまでも純粋なのだ。

いや、今現在の環境が彼女を必要以上に素直な人間にしているのかもしれないが。




梨花は早速テントの中に荷物を置き、簡易ベッドに横になろうとした所で…


ぐぅ~~~~


「あ、あははは/////」




『マスター、調理台の近くにある箱を開けて下さい』




「箱…これかな?」





スマホちゃんにそう言われた梨花は該当の物を見つけ箱の蓋をを空ける。するとそこには現代でお世話になったであろうインスタントラーメンや保存の利くお米や調味料などが所狭しとはいっていた。



「おぉ~~~あぁ…お腹がすいたぁ~~~あ!これコンビニで見て気になってた新作のカップラーメンだぁあぁ…」





目の前の食料に先程まで泣きべそかきながら不安をぶちまけてお腹を鳴らし照れていた事など忘れ、ただ目の前の食材に歓喜する梨花。新作のカップラーメンはシェルラー御用達有名店とタイアップした新作の貝出汁カップラーメンである。

他にも新作の季節限定菓子パンなどがあり、梨花は早速コンロでお湯を沸かし始めた。





現代にあるカップラーメンは複雑な物が多く手順を間違えたら取り返しのつかない…とまでは大袈裟かもしれないが、味を損なうものもあるので丁寧に順番通りに封をあけ、お湯を注ぎ、時間が経つのを待つ、ほのかに香る湯気からかすかに潮の香りを感じ梨花はその時が来るのを待つ。





『マスター』



「ね、スマホちゃん。そのマスターってのやめてくれない?なんかむず痒くってさ…梨花って呼んで欲しいな。」


『かしこまりました。梨花様』


「様…まぁいいか!ちょっとお嬢様になったみたいだし…」




『では梨花様先程、これからどうしたらいいのだろう。というご質問ですが、まずはこの世界の人間と接触を試みるのがいいかと思われます。この近くに人の住む街が御座います。明日はそちらへ行ってみましょう』




「あれ、質問って訳じゃなかったんだけどね…わかったよ。スマホちゃん色々考えてくれてありがとう…」




梨花はカップラーメンが出来る間自身への呼び方について話し合っていた。

色々一息ついて落ち着いたからだろう。頭の隅で引っ掛かっていた呼ばれ方に違和感を覚えていたようだ。呼ばれなれないマスターに対し、名前に様付けで呼ばれた事に関しては照れくさかったがまるで自分が特別な存在になったかのような高揚感があったので、様付けで呼ばれる事に話がついた様だった。

カップラーメンの規定の時間になった為、梨花は最後の仕上げの調味料を開け、食べ始めた。その暖かさと、現代の懐かしい香りに梨花は異世界に飛ばされて早1日目で物凄い郷愁にかられ、一瞬視界が歪んだが、梨花はそれを貝出汁のスープと共に飲み込んだ。




(さっき散々泣いたんだ…スマホちゃんもついてる!神様だかなんだか知らないけど私は負けない!!!)




梨花は貝出汁のラーメンと菓子パンを食べ終えると、満たされたのかんねじ巻き式のおもちゃが徐々にその力を失っていくが如く緩慢な動作で簡易ベッドに入り、そのまま眠りについた。




梨花の動向を静かに見守っていたスマホは梨花が眠りについた事を確認すると、静かにこう呟いた




『____テレビ録画を開始します_____』










ちなみに作者はシェルラーメン食べたことないです。いつか食べたい。

何だか全然話が進んでいませんが、今しばらくお待ち下さい。

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