おまけ それは生活のほんの一部でしかない
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「行ってきまーす」娘の夢亜が元気よく飛び出した。
そろそろ準備でもするか。私が寝ぼけながら支度を始めた。
朝のニュースでは香織アナウンサーを見ることがなくなった。今は、夕方のニュースやバラエティーで活躍しているらしい。
最近は夢亜の声で準備を始めている。
「さっさとしなさい」京子が私に向かって言ってきた。
「おはようございます」外から夢亜の声がした。
「おはよう」挨拶を返したのは社会人の仲間入りをした光太だった。
少なくとも賢太郎のいる会社ではないらしい。アナウンサーでもないということも聞いた。
何の仕事をしているのかは京子もおそらく知らないだろう。
「それでは、ここ宇宙科学研究所に入ってみたいと思います。」
真和は自分の仕事場に、しかも目の前に香織アナウンサーがいることが信じられなかった。
「真和さんはUFOを目撃したことがあるそうで」
マイクを向けられた真和は、昔の話ですよと照れ隠しに頬を掻いた。
私が食堂でお昼を食べていると横から声がした。
「ここ、空いてますか」
振り向くと部下の美奈がいた。私の返事を待たずに美奈は座った。
「あ、だめですよ美奈さん。部長は妻子持ちですから。もしかして、もうそういう関係ですか」美奈の後ろに続いて部下の桃が一緒だった。
「何、一人で盛り上がってるのよ」
「あ、また部長ラーメンですか」美奈の言葉を無視して、私に向かって言ってきた。
私はラーメンをすする音で聞こえないふりをした。