運命に従え
「ガーデンはわたしが作ったのではない、当初から日本にあった。最初は日本の高級娼婦も交じっていた、そして情報漏れを防ぐための目隠しと耳栓も最初から掟として存在した。
リンを特別待遇でそこに送り込んだのはわたしだ。
特別待遇。厳選した客にのみ、高額の報酬で供すること。
聴覚と視覚を奪われて彼女がそこにいるのはわたしにとって好都合だった。
わたしは欲深な男でね、彼女のわたしに対する、親切なチョウさんという評価もまた失いたくなかったのです」
穏やかな物言いで展開してみせるこの男の恋心とやらは、SYOUには到底理解できないものだった。SYOUは眉間に皺を寄せながら言った。
「俺にはわからない。あんたは幼いころから彼女に心を奪われていたと言った。それが本音なら、なぜわざわざ不特定多数の男にその体を抱かせるような真似ができるんだ」
「わたしはファン・ユェリンにふさわしい場を用意しただけですよ。
どのみち、地元では不特定多数の男に身をくれてやる気の知れない娘として大師の頭痛の種になっていた。わたしは大陸の片田舎から、彼女にふさわしいステージに彼女を格上げしてやったのです」チョウは熱に浮かされたような目をSYOUに向けた。
「そんなに広く平等に男を愛したいのなら、その場はわたしが提供してやろう。彼女にふさわしく花でかざりたてたガーデンで、美しい絹の衣装を着て、さまざまな立場でトップの位置にいる男たちに抱かれるがいい。博愛の美少女に似つかわしいその姿を想像するのはわたしは決して嫌いではない。
わたしは知っている、彼女が指の一本一本、髪の毛の一筋まで誰に置き換えて感じていたかということを。なぜならあの少女は誰にどれだけ憧れているか、微に入り細に渡ってわたしに、優しいチョウおじさんにいつも話してくれていたからね」
SYOUは思わず息をのんだ。こちらを見るチョウの目に刃のような光が増しているのがわかった。
「あの場なくしてどうしてわたしが彼女を手に入れられただろう。リンがわたしをわたしと知りながら受け入れるなど到底ないことだった。
目隠しをした彼女がわたしの前に裸身をさらして横たわっているのをみたとき、わたしは内心叫んだものです。ついにきたのだと。ついに、このときが。
わたしは彼女の何もかもを愛した。そして彼女は感じたのだ、悲鳴に似た歓喜の声を上げながら。わたしをだれに置き換えていたのであれ、その瞬間彼女はわたしとともに天国にいたのです。
だがあの忠実な男は彼女に漏らしたのだ、目隠しの向こうのわたしの正体がなんであるかを。あの男……ヤオがあそこにいる限りその時が来るのは承知していた」
チョウは俯くと、いまいましそうに口元に手をやった。
「次にあそこに行ったとき、彼女の反応が明らかに違っていた。まったく恩知らずな男です。リンのわたしへの憎しみと失望が、体を通して伝わってきた。わたしはそれに応えてやりましたよ、もはや目隠しも耳栓も取り払って、それまでのいつにもまして激しく彼女を愛した。
彼女はもう来ないでと言って、初めて泣いた」
SYOUは絶句したまま、眼前の男を見た。
リンの信頼を完全に裏切った痛みを欠片も感じていなさそうな、その動かない顔貌を。
「……わたしが憎いならその手にかけてもらってもよかったのだ、わたしは喜んで運命に殉じただろう。だがわたしの憐れな運命を喜ばなかったのか、あの女が邪魔をしてくれた」
「あの女?」
「きみも知っていることだろう、あの場を影から支配している女だ。そう、きみの映っている悲惨で色っぽいフィルムも彼女に見せてもらった」
「……」
「旧知の仲だったのに、悲しい話だ。今やわたしと彼女の関係は食うか食われるかでしかない」
しばらく沈黙した後、SYOUは思い切って切り出した。
「……名前を出していいかな。
その女。
……城島澪子とあなたは、本来どういう関係なんだ」
チョウはまず、静かな笑みで答えてきた。
「そこまで口に出したら簡単にはお帰り願えないが」
「最初から帰すつもりなんてないんだろう」
口の端を上げると、半ば愉しそうにチョウはいった。
「そこまで言うならいいでしょう。
澪子はもともと日本人ではない。王静蕾。中国人民解放軍〝総参謀部二部″の機関員です」
「……」
あるいは、もしかしたら、と頭の隅でかすかに考えていた仮定が、いきなり現実のものとなって立ち上がる衝撃に、SYOUは両手を握りしめてただ耐えていた。
「……総参謀部二部?」
「わかりやすく言えば中国の情報機関です。元機関員というべきか現役というべきか、さてわたしにも現在判断が難しいが、現役ならあちらから見てわたしこそが造反組だな。
本部は北京の西、西山の山中の人民解放軍中枢にある。中国国務院の支配下に置かれ、さまざまな企業や団体を裏から運営しながら中国に有利となる情報を集め、母国の国益となるよう、外交的な戦略を巡らし、諜報戦を世界中で繰り広げている組織です」
「……そこまでしゃべるということは、あなたは今そことは敵対関係ということですか」
「今は、ね」意味ありげに微笑むと、チョウは続けた。
「一番の計算違いは、リンがあのガーデンで、生身の柚木晶太に会うことになったことだ。
それがなければ、わたしももう少しは周りを見られたことだろう。
結局あの場は城島澪子、……静蕾のものだった。わたしにとっては招かざる客であるきみを受け入れて、抵抗するわたしを追いだした。それがリンの望みだからという、馬鹿げた理由でね。
わたしは国務院にいたときの地位をはく奪された。それこそ、あっという間です。ガーデンにかかわってから、仕事や役目を離れて何度訪日したか数えきれない。大半はもちろん仕事ではない。そこをたぶんあの女に密告された。従来の立場に戻れと説教もされたが、よく説教などできたものだ。その彼女のほうこそリンやきみを玩具にして適当に遊んでいたのに」
「じゃあ、霊燦会の中に身を置いて権田組との接触役を務め、ガーデンを監視しているのも……」
「つまり日本の恥部を操っているわけです。そういう意味では彼女の働きは大したものだ」
「……」
「諜報活動にもいろいろありましてね。彼女の担っているのは積極工作、つまり日本の有力者や企業を母国の利益となるように誘導し動かす仕事です」
SYOUは初めて聞く事実に驚愕しながらも、彼女の存在感を総合して考えれば、それはそれで収まりがいいと妙な形で納得していた。
……ということはつまり、自分たちはみな、澪子-静蕾の投げた網にかかった魚だったということか?
「昨日今日、養成され送り込まれた身ではない。長い長い時をかけて育てられ日本での名前と国籍を手に入れ、そして今の生活がある。そういう諜報部員もまた少なくない。
では話しを戻しましょう。わたしたちの元へ」
チョウは指の中で煙草を回しながら言った。
「さて、わたしときみはどちらもリンを愛している。そしてわたしもきみ同様、彼女の生存と幸せを望んでいる。だがその実現は実に困難だ。そうでしょう」
SYOUは身じろぎもせず、チョウの顔を見続けた。後半に関しては、否定はできない。
「愛する気持ちは同じでも、わたしときみには決定的に違うことがある。いいですか」チョウは手すりを離れ、異様な熱気の宿った目をSYOUに近づけた。
「わたしには力がある。
恋心などという、どこにでも転がっている石ころとは違う。
彼女が大人しくわたしだけのものになるなら、わたしは力のかぎりを尽して彼女を救うことができる。
彼女がわたしから逃げないと約束するなら、初恋に殉じる少年のように、今まで見せることのなかった真心をすべて捧げて女神のように彼女を扱い、この上なく大事にする自信がある」
「……欲にまかせて彼女をもて遊んだと自慢しておいて、その口で女神か」
「お気に召さないか。まあいい、重要なことは現実と向き合うことです」
チョウは薄笑いを浮かべると、指を焦がしそうになっていた煙草を歩道橋から投げ捨てた。
「綺麗ごとでは彼女を守れない。それぐらいきみにも分かるだろう。
彼女の敵は汚れた世界そのものだ。
そしてわたしは長いこと汚れた大国、中国の中枢部と蜜月関係を続けてきた。
あの国がどんな国か、国際的にどういう地位にあるかよく知っている。
文化大革命のあとの大粛清、天安門事件に見る民主化弾圧、チベット弾圧、そして陽善功の信者弾圧。国際的に大批判されてもおかしくないこれらの『非人道的』行為が、結局、友好国である正義のアメリカにも、良き隣人日本にも韓国にも大して問題にされていない。なぜか。
どの国も大なり小なり、同様な恥の歴史を抱えているからだ。どの国も結局、自国の国益になるかどうかという点でしかつながっていないからだ。
世界第二位の経済大国であるいまの中国を敵に回していいことはなにもないから、面倒なことには結局見て見ぬふりを決め込む。何千という人が殺されても見向きもしない諸国が、彼女一人の運命に向き合ったりなどしない。
わたしは中国人で、迫害に加担した側だからこそ、救う力を持っている。国での地位は失ったが、財力があればほとんどのことはかなう国だ。わたしが保護し、そして手の内に囲い込めば、彼女の生きる道は開かれる。清濁併せのむわたしだからこそ、毒とも向き合えるのです。いいように周りを動かしているつもりの静蕾も、わたしが本気を出せば長くはない」
沈黙するSYOUの胸に、詩織が語った警告の言葉が、今実感を伴ってひたひたと押し寄せていた。
……たとえあなたであっても、話が終わるころには、愛しい人の身柄を相手に預けようという気持ちにさせられているかもしれない。……
「きみの手元にガーデンの顧客の貴重なデータがあるということも聞き及んでいましてね」
いきなりこちらに向けられた刃物に、SYOUはびくりと体を震わせた。さあ、おいでなすったぞ。
「そちらが持っていてどうなるモノでもない。もちろん、それは日本の現政権の命運を握る爆弾だ。だが、どこのセクトに属する運動家でもないきみがそれを抱えていても、なにになるというのか。いたずらに命を狙われるだけでしょう。
わたしならそれをうまく使うこともできる。鼻息の荒い中国政府中枢の対日強硬派に、たとえば尖閣諸島問題を扱う上での外交カードとして渡すこともできるでしょう。交換条件はリンの身の安全だ。彼女の身柄など、死んだことにしておけば世間的にはどうってことはない。わたしが東南アジアあたりに彼女だけの庭を造り、閉じ込め、一生愛してやれば済むことです。
きみたちの身を危うくしているデータも、リンも、きみが腹をくくってこちらに引き渡せば、悲劇は回避されるのだ。
どうです、きみは馬鹿ではないはずだ。今のわたしにできることが、きみにできますか?」
そこでチョウは口を閉じた。
勝利を確信しているかのような沈黙があたりに満ちた。
霧雨を通してSYOUは、同じ女を愛する男をしみじみと見た。
おそらく今いちばん自分の魂から遠くに立っているこの男の、不思議に自分と似通った、ひととしてのかたち、その輪郭を。
「……なるほど」
一分余り続いた沈黙ののち、SYOUはぽつりと言った。
「あなたの言う通り、俺は無力だ。あなたのできる何ほどのことも、俺が心を込めたからと言って、なしえない。無知が罪なら、無力も罪だ」
上を向く。かすかにサイレンの音がする。雨粒になる前のかたちのない水滴が空気に満ちて、顔を撫でる。
すいと目線を落として、SYOUは語り始めた。
「……俺は昔猫を愛し、その猫が自由であることを望んだ」
「猫?」
「俺のものではなかったが、閉じ込めて安全でいさせるより、危険でも自由の中で生きることを猫に選ばせた。そうさせられるだけのささやかな力は、子どもの俺にもあったからだ」
サイレンの細い音は束になり、通りに沿ってこちらに向けて流れてこんできた。
「生き続けることだけが大事ならば俺のしたことは間違いだ。結果、車にはねられて猫は死んだのだから。
だが生の内容を考えるなら、望まない環境に閉じ込められて一生を終えることを最良とするのは間違いだ。それは命の持ち主が決めればいい。
猫は語れない、だが彼女は語れる。しかしあなたの母国もそして日本も、彼女を愛しているとほざく男どもも、今まで誰もリンの魂に価値を認め、その意志と苦痛を思いやることはなかった。
彼女はどうしたいと思っているのか、どう生きて誰の魂のそばにあることを幸せと思っているのか。
あなたがリンを愛しているというのなら、何故その一番大事なことを一切考えずにそれだけたくさんのことをペラペラしゃべれるのか、不思議でしょうがない」
「……」
チョウは意外なところを突かれたというような顔をして、ただ黙っていた。
「愛について、腹を割って話したいとあなたは言った。
だから大人しく聞いていたんだが、正直あなたはなにほどのことも語っていない。身勝手なエロ妄想にはち切れそうになってあそこを訪れる爺さんどもの脳味噌の集大成ってところだ。自分の欲望を満足させたい、一人占めしたい、その肉体に包まれた魂などどうでもいい。
違うのは、多分あそこの客の中で一番、ヤバい権力を持ってて夢見がちだということぐらいかな」
「命はすべてを包括します、それほど軽んじていいものではない。きみさえ聞き分けがよければ大事な彼女の命も長らえるというものだ」
「そう、命が消えればすべての可能性も消える。それは事実です。
……俺にあなたのような力がないというのは、何より罪深い事実だ」
チョウは横目を使って、階段近くにいる臼型ボディガードのほうを見た。視線の先で、男は手元に何かを隠し持ちながらこちらへ向かっている。早くも実力行使で来たか、とSYOUは少し両足の爪先をずらして身構えた。
だが男はSYOUを無視して中国語でチョウに何かを話しかけ、そして手の中の携帯の画面を見せた。
チョウは少し顔をしかめると、男の手から携帯を奪い、SYOUのほうを見た。
「あまりいい展開ではない。どうやらリンを取り逃がしたうえ、足取りを知る証人も失った。きみには多少なりとも考える時間をさし上げるつもりだったが、そうもいかなくなった。このまま一緒に来ていただきましょう」
「……証人?」SYOUは鸚鵡返しに聞いた。
「某キャンプ場まではリンとお連れの男を追跡できたんですがね。そこから飛び出したキャンピングカーを深追いしたのがまずかった。運転席に帽子の女がいる、と追跡側の頭に血を登らせたうえ、散々振り回して運転席から飛び降りた人影は、いかつい中年男の変装ときたもんだ。
キャンピングカーはタンクローリーに追突して爆発炎上。ほかに誰か乗っていたかどうか確認もできない状態らしいが、男が帽子で偽装していたということは、最初から彼女は乗っていなかったということだろう」
SYOUは動揺を隠すことも忘れ、しがみつくように聞いていた。
「飛び降りた男のほうは、それで……」
「リンの行先を話す気になるまで丁重におもてなしするつもりだったが、気の短い男のようでね。
さきほど、仲間がお連れした先で隠し持っていた薬をあおりました。……残念です」
瞬時に凍りついたSYOUの顔の先に、チョウは携帯の画面を翳した。
血が飛び散った灰色の布の上に横たわり、横を向いて薄く目を閉じた若宮宗司の、あざだらけの顔がそこにあった。いつも着ていた蝶の柄の派手なピンクのシャツに、点々と血が飛び散っている。
どす黒い驚愕と、わけのわからない感情が血流となって顔に集まり、SYOUは視線ごとからだを釘で打ちつけられたように動けなくなった。目を閉じているのが自分でなく若宮だというのが、ただ信じられない。
そっと手を上げ、指先で画面に触れる。その指に血はつかず、肌の感触もない。それでも、指の先にある画面は真実なのだ。
その顔にかぶせて、あの長いメールの中の一節が脳裏から語りかけてきた。
……そもそも彼女に近づいた男たちがどうなったか考えて見たまえ。
彼女がきみに二度と来るなと言ったのは、きみにこれからも生きてほしかったからじゃないのか。
きみは今まで客としてしか彼女に会っていない。だが手中に彼女をおさめた今、きみは男たちを死へといざなう彼女の宿命と丸ごと対峙することになる……
SYOUの目の前で携帯を閉じると、チョウは懐から新しい煙草を取り出した。
「彼の名前は日本では結構有名だったと聞く。きみとも親交があったとか。貴重な才能を奪うつもりはなかったのだが、残念です。
……結局、彼女に積極的にかかわった男はこうなる運命にあるらしい。おそらく、柚木晶太もヤン・チョウもだ」
「その煙草くれるか」
唐突に話しかけられ、チョウは火をつけようとした手を止めて、指の中の煙草をそのままSYOUに渡した。
SYOUは形のいい唇に細い煙草をくわえ、チョウは銀のライターでその先に火をつけた。そのまま深く煙を吸うと、上を向いて紫煙を吐き出す。霧雨の中に薄い煙が溶けてゆく。
「弔いですか」
チョウは静かに尋ねた。
「おっさん昔煙草好きだったから。どうせ一服やる間も与えずに殺されたんだろうし」
また息を深く吸い込む。先端の火がちりちりと赤く燃える。
「彼は性的倒錯者であったと聞く。きみもいい思い出ばかりではあるまい」
「それでもあざだらけになって血反吐はかされるほどの罪じゃない」
そして二回、三回と吸っては吐き、を繰り返すSYOUの顔には、やはり何の表情も浮かんではいなかった。
連なる消防車のサイレンはいよいよ近く、やがて歩道橋の上からも、並んだ赤色灯が霧雨を通してちらちらと見え始めた。
「心中はお察しする。だがなにしろ、彼は自分から薬をあおったのだ。吸い終わったらお付き合い願おう」
SYOUは手すりに寄ると、短くなった煙草の先を見つめ、ひょいと道路に投げ捨てた。
次の瞬間、バレエダンサーがターンを切るように優雅な姿勢でくるりと振り向くと、目にもとまらぬ速さでSYOUの拳はチョウの顔面中央にヒットした。
歪んだ顔が後ろにのけぞり、その後ろでボディガードが懐から銃を取り出す。
そのままチョウのネクタイを鷲掴みにすると体を反転させ、SYOUは背負い投げの要領でその重量級の身体を自分の背に重ねながら身をよじった。ボディガードが標的を見失って銃身をうろうろさせる。弧を描いて飛び散る鼻血で赤く染まる視界は、ただ身を乗り出した先の暗い道路だった。チョウはネクタイの端を持って首を締め上げられながら、SYOUの背で言葉にならない叫び声をあげた。その耳元にSYOUの低い声が囁く。
「つべこべ言わずに運命に従おうぜ」
ねじりあげたネクタイを掴んだままSYOUは渾身の力で地面を蹴った。ぱんぱんと背後で乾いた銃声が響く。サイレンの音が足元に濁流のように押し寄せる。
二つの身体はもつれ合いながら手すりを越え、空中でトンボを切ると、そのままともに赤色灯の群れの中に落下していった。