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UNIVERSE  作者: 蟹谷梅次
9/11

第9話 旅館へ

 旅館につく。


「いまオカルト研究会の人たちと旅行に来てるんですよ」

「へぇ~、青春だね」

「たしかあんたも高校生でしょ。そういうのないの?」

「おっと! そこまでだ」


 旅館のエントランスで八重と話し込む。そうしていると、「卓也」と声がかかる。光太郎である。そのすぐ後ろにはほかの面々もいた。


「そちらは?」

「さっきそこで知り合って、迷子になるとならないからと付き添ってくれたんです。菊池八重っていいます」

「たっくん左折っつってんのに右折するからだいぶストレス溜まる」

「「わかる……」」


 卓也の方向音痴は重度らしい。


「でもなんだか手のかかる弟って感じだね。ね、たっくん」

「なんで俺がその評価に甘んじると思ってんですか」

「ふふふ」


 二葉はその様子を見て「やけに親密だな」と思った。


「どういう関係?」

「どういう関係って……さっきも説明したじゃない」

「そこに至るまでのさ。なんか……あるじゃない」

「別に変なことは何もないよ。なんだい二葉、君やけに突っかかるじゃないか。俺に女性のケがあるのが嫌かい?」

「嫉妬なわ」

「君、顔いいんだから彼女くらいできるだろ」

「そういう問題じゃなくってさぁ。なんて言えばいいんだろう、お前ってなんかそういうところがあるよな。自分の範囲のなかにない感情は全部固定観念で決めつけがち。俺の何が分かってんの」

「俺はあんまり人がわかんない……」

「だろうぜ」


 八重が言う。


「じゃ、またね! たっくん!」

「ああ、はい、また」


 部屋に戻る中で、謎の弁解タイムが挟まる。


「あの時出かけた先で出会ったんだよ。倉瀬家に来るまで同じ町内に住んでたから気が合ったんだ」

「同じ町内ってどこ」

「流川の三丁目」

「どこ?」

「わかんないのか……というかそもそも、君はどうしてそこまで、俺にこだわってんだ。俺にだって女性のケくらいあるだろ。将来俺が結婚するってなった時、君の情緒はどうなっちまうんた」

「そりゃもう狂って全員皆殺しかもしれない」

「こわすぎるだろ」

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