第6話 山へ郷土館へ
夏休みが始まると、洋子はオカルト研究会の部員を率いて前に行っていた旅行計画を実践に移した。ただ観光をするのでは流石になんだか顧問も非協力的なので、副部長・照井光太郎の提案でその土地の歴史を調べるという事になった。オカルトを少しだけ織り交ぜて、オカルト研究会っぽくしてみれば誰も文句なんか言わないんじゃないか、ということになった。
「結局新入部員あつまんなかったな。くやしいぜ」
「もう誰もオカルトとか興味ねーんだって」
「バカ言え! まだブームは続いてらぁ」
「本当にそうかなぁ?」
なにはともあれ、二人は家を出た。ミーンミーン……じりじり、と蝉の声が響く青空に白い雲が流れているのを見て、「随分きれいな風景だなあ」と卓也は思った。
「なにしてんの、遅れるぞ」
「空きれいだった」
「よかったね」
そういえば、最近になって二葉は髪を伸ばし始めたのか、肩にかかる程度の髪が風に揺れている。時折それを触って、想像以上にサラサラしているから「すごい」と驚く。二葉はその度に「すごいだろ」と自慢げになってから、顔を赤くさせている。
「あっ、来た来た二人とも。遅いよ! 何してたの!」
「空を見てました。きれいでした」
「よかったね」
電車で亜水市から堀娘川市というところに移動する。堀娘川市には大昔から有名な心霊スポットがあり、姥捨山と呼ばれている。郷土の歴史を調べるにはうってつけの観光スポットである。
山のハイキング・コースを歩いてから、弁当を食い下山。そして、「なんか、普通に空気いい山だったな」「ねー。姥捨山とは思えなかったね」とか何とか言い合って郷土館というところに足を運ぶ。
「たしかにあの山って昔は口減らしの為に老人や子供が捨てられる山だったらしいね。ハイキング・コースから外れたところに慰霊碑っていうのがあるらしい。ほら、写真なんかもあるよ」
「心霊スポットっていうかただただ悲しい所だなぁ……」
なんにも感じなかったしなぁ、と洋子と光太郎の会話を聞きながら思う。二葉はどうしているかと言えば、ほか部員の三宅進一という奴と怪談話に熱中していたのでこわいのが苦手な卓也は混ざれない。
この進一というのが何を考えているのか、少し卓也に対して敵意のようなものを感じているらしく、あるいは嫉妬なのだろうか。二葉と話し込んでいてふと視線を感じそちらを見てみれば、進一がいて卓也を睨みつけている。二葉は容姿が容姿なので、男だろうが関係なく惚れている可能性もあるのだろうか。「人間関係上のストレス」を感じそう。
(俺はそういうんじゃないんだから許してほしいなぁ……)
どうせならみんなと仲良くしたいのが卓也である。そうやって二葉をめぐった啀み合いをするのは二葉としても悲しいだろうに、人はまた不理解を起こす。
「卓也!」
光太郎が卓也を呼ぶ。
「はい、なんでしょ」
「呼んだだけ」
「えぇ……?」
そして洋子と光太郎の三年生コンビは卓也を弟のように思っているのかたまに無意味に呼びつけて「最近肉ついてきたなあ」「倉瀬家の飯うまいよなぁ」「髪、小●旭みたいでカッコいいな」だとか褒めに褒めるので少し恥ずかしい。少しどころの話ではないかもしれない。




