2. 三つの選択肢
このまま突っ込んで行っても、現実で喧嘩で勝てる気しない。120パー有り得ない。
バトルがダメなら話し合いってか? 無理だ、結果は変わらない。
俺までボコられて終いだ。
俺の桜色の脳細胞は、超高速で最適手を求める。
助けを求めても、そこらにいるのは酔っぱらいだけ。アテにできるわけがない。
ここはふつうにお巡りさん呼んでくる……いや時間が掛かりすぎる。
テルオさんのダメージが致命的にならないか心配だ。
たった今、なんとかしよう。
やはりこちらに気を惹かせといて、逃げて追わせる手しかあるまい。
逃げるんなら、うまいこと挑発しなきゃだ。とことん地獄の果てまで追いかけさせて……とまでは言わんけどな。
そんでもって、「ハングリーママ」にまで引っ張り込めれば、それでよし。
どうしてもダメだったときは、アッチに連れ込んじまえば、それでサクッと片が付く。
俺も時間ないから、そんな感じでサクサクサクッと終わらせたい。
さて、具体的にはどうするか?
フィジカルはポンコツでもメンタルはイケてる俺さまの、そこそこイケてるアイデア……と思われる何かが、瞬時に三つ降りてきた。
【選択肢1:後ろから殴る】
不意打ち食らわせて、クズの怒りの矛先を俺に向けてから逃げる。
――却下。
殴ったら接近しすぎ。相手二人いるんだし、捕まる可能性大。
【選択肢2:助けを呼ぶ】
お廻りさ~~~ん、こっちです~~! って叫んでみる。
――微妙。
相手の出方が読めん。俺が逃げても、追いかけてくれるか分からん。
【選択肢3:撮影で煽る】
スマホでフラッシュ撮影して、煽って怒らせる。で、即行逃げる。
――イケそう。
何より手軽だ。距離取れるから、逃げやすいってのが素晴らしい。