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ヴァリ・カヴァリエーレ〜色彩ノ騎士タチヘ〜  作者: 春風邪 日陰
第三話 鎧染!壮麗ナル銃撃と黒キ鎧
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PART3

閲覧感謝です!

貴重なお時間にお邪魔します……

「逃げろ翼!!走れ!!」


「ウソでしょ!?…」


「ケーーッ!!」


「翼ぁぁぁぁ!!」


魔獣の甲高い叫び声と共に風の刃を翼に向け放とうとした瞬間、1発の銃声が鳴り響き魔獣を地面へと撃ち落とした。


「ケケっ……」


「!?」


「ったく、せっかくのデートでお楽しみの最中だったってのに呼びつけやがって。やっぱり俺に気があるんだな」


小洒落た装飾が施された銃を片手に姿を現したのは涼鉄彈だった。


「翼この借りは俺とのデート一回で手を打ってやるよ」


彈は大木めがけて銃を乱射すると翼には一切当てず大木だけ打ち砕いた。


「バディ。いい加減彼女の事は諦めたらどう?同じような展開で何回断られてると思ってるんですの?」


「だったら何回でも誘うさ。1発でダメなら100発撃つだけだ。それに俺が一度たりとも狙った女を逃した事があったのかよ。レディ?」


「いいえ。私の記憶にそんな記録はありませんわ。バディ」


まるで瑛人とザンバのように銃と会話をする彈。


「だけどちょっと嫉妬ですわ。私という最高のパートナーがいるというのに残念ですわ……」


「安心しろ。俺の本命はいつだってお前だけだよ。レディ」


「流石はバディ。罪な男ですわ」


そんなやり取りをしながら彈は倒れている翼に手を伸ばす。  


「無事か?」


「お陰様でね」


「それなら良かった。翼、あとは任せな。下がってろ」


「もちろんそのつもり。だけどその前に、」


翼はアカキキシの方を指さす。


「先輩ならまずは後輩を救ってあげるのが先輩の仕事なんじゃなくって?」


「生憎だが俺は男に興味はない。アイツも俺と同じなら自分で何とかするべきだろ」


「なら私からのお願い。彼を助けてちょうだい」


「喜んで!」


翼からの頼みに180度態度を変えた弾はアカキキシの周りの大木をも一瞬で打ち砕いた。


「なんて威力だ…」


「しかも化け物じみた正確過ぎる弾のコントロール。只者じゃないな。それにあの銃オレと同じ気配がするぜ」


「やっぱりアイツは何者なんだ……」


「ケケーーッ!!」


撃ち落とされた魔獣は彈に敵意を向け威嚇する。


「さてと、見せ場は作ったしそろそろ終わらせるか。じゃないと待ってくれてるプリンセスが可哀想だ」


「なら始めましょう」


「そうだな。パーッと撃ってパーッと終わらせてパーッと帰るとしようか。……レディ?」


「オーケーバディ」


彈は銃の激鉄を起こし自らの頭に突きつける。


「アイツ何する気だ!?」


「鎧染」


その一言と共に躊躇なく引き金は引かれ弾は発射される。

その瞬間彈の体は黒き光に包まれ黒き鎧を身に纏う色者、クロキキシへと姿を変えたのであった。


「黒い、ヒーロー……!?」


「見てなさい瑛人。これがアンタの先輩色者よ」


「おい天狗。その伸び切った鼻を縮めてやるからかかってきな?」


挑発するクロキキシ。


「ケッ!…ケケーッ!!」


その挑発に乗った魔獣は最初から全力で羽団扇を扇ぐと物凄い数の風の刃がクロキキシ目掛けて四方八方から飛んでくる。


「無駄だ、レディ」


「ええ。位置は全て把握済みよ。安心して撃ってバディ」


「さっすがぁ!!」


無闇矢鱈に乱射するクロキキシだが全ての弾が風の刃に当たり相殺。放たれた風の刃は1発もクロキキシに当たる事はなく全て撃ち落とされた。


「ケッ……!!」


ならばと姿を消す魔獣。


「また消えた!……」


「いや見えてる」


クロキキシの不意をつき後方に現れた魔獣をノールックで撃ち抜く。


「ケケッ!……」


「レディがな」


「魔獣の記憶は全て記憶しましたわ。金輪際ワタシの弾が外れる事はありません」


「だってさ」


続けて魔獣を撃ち抜き追撃するクロキキシ。


「なんて一方的な戦い方だ。あの魔獣がまるで相手になってない…」


「これが本当の色者のあるべき姿。アンタがなるべき未来の姿よ」


「ケーーッ!!」


傷を負いながら再び魔獣は姿を消すと空へと浮上。

大量の大木を一気に切り落としこちら目掛けて落としてくる。


「くそッ。なんて数だ……!」


アカキキシはそれに呆気を取られながら剣を構え臨戦態勢を取る。

俺はともかく、無防備な翼だけでも守らないと……。


「落ち着け後輩。焦る男はモテないぜ」


「んなこと言ってる場合か。何とかしないと!」


「安心しろ。翼に頼まれたからな。お前を助けて欲しいって。だから傷付けさせない。お前と翼、あと俺もな」


クロキキシが2回連続で激鉄を起こすと銃身が鮮やかに輝きはじめる。


「お前の美しさで全てを覆ってやれレディ」


「オーケーバディ。派手に目立ちますわ!」


クロキキシが引き金を引くと1発の銃弾がまるで花火の様に上空で爆発するとクロキキシ達の周りを鮮やかな炎の膜が彼らを覆う。

彼ら目掛けて降ってくる大木は全てその炎の膜で防がれ弾かれた。


「何だよこれ……すげぇ……」


「彼の持つ精霊武器レディは色者の想いに応えて放つ銃弾を自在にカスタマイズする事が出来るのよ」


「瞬時に銃弾を守りに使うとはあの男なんて応用力だ。…エイト!オレ達も負けてられないぞ反撃だ!!」


「分かってる!だけど奴は空の上だ。普通にやってちゃ攻撃すら届かない」


「それなら普通じゃない方を試せばいいだろ?」


ザンバの一言で瑛人の頭には1つの無茶苦茶な作戦が頭に浮かぶ。


「だけどこれは流石に……」


「オレを信じろ瑛人!相棒の想いに応えるのがオレの役目だからな!!」


「ザンバ…」


「ああ!」


「分かった。……じゃあ、飛んでけぇぇ!!」


「なっ!?」


槍投げの様に振りかぶると魔獣目掛けて宙へと投げ飛ばした。


「当たれぇぇ!!」


魔獣目掛けて真っ直ぐ飛んでいったザンバだったがやや右方向に曲がり魔獣横を通りすがる。


「ケケケケケッ!!」


アカキキシを指差して笑い転げる魔獣。


「いやまだだ」


「エイトの奴無茶苦茶しやがって。このオレがただで終わるわけないだろうが!!」


「ケケッ!?……」


ザンバが自らの意思で剣の起動を変えると背後から魔獣の体を貫いた。


「ヨシッ!狙い通り!!」


「なわけあるか!オレがコントロールしてなきゃ今頃オレはお星様だぞ」


「だから狙い通りなんだよ」


「どこがだ」


「俺はお前を信じた。お前ならきっと何とかしてくれるって。だから狙い通りだ」


「ったく……」


アカキキシの活躍を見て手を叩くクロキキシ。


「へぇー。あのコンビ中々面白い戦い方をするじゃないか」


「でも無茶苦茶ですわ。私ならとても耐えられない」


「まぁいいじゃないか。アレがアイツらの戦い方だ。好きにさせとけ」


「ケーーー……」


先程の一撃で完全に戦意を喪失し戦う事を放棄した魔獣はこっそりと飛び立つ。


「ならこれが私達なりの美しい戦い方ね」


逃げようとした魔獣を再び一撃で地面へと落とす。


「何処へ逃げたって同じだ。外さねぇって言ったろ」


「そろそろ決めましょうか」


「だなレディ」


今度は激鉄3回連続で起こすとと銃身が黒く輝き出す。


「…オーケーバディ。フィニッシュですわ!!」


――――FINAL☆MOVE――――


銃身が黒い光で点滅すると1番輝いた瞬間クロキキシは魔獣に狙いを定め引き金を引く。

放たれた銃弾は星々の様に光を放ちながら散り散りに分裂すると魔獣の全身を貫いた。


「ケーーーーー!!!!」


「見たか後輩。これが俺達の戦い方だ」


魔獣は断末魔を上げながら消滅した。


「っ……(悔しいが圧倒的だった。アイツがいなきゃ今頃俺や翼は……)」



「まただ……またやられたぞ!!これで我らの同胞がやられたのは何回目だ!!」


その様子を遠くから見ていたマゾークの幹部達。この結果に最も納得していなかったのはマゾーク特効隊長ジョロキウスだった。


「落ち着けジョロキウス!そんなに怒ると治る傷も治らんぞ」


「五月蝿い!!もう俺様は我慢の限界だ!!」


「だから待てジョロキウス!」


「黙れバジェリー!これ以上我に指図をすれば容赦はせんぞ!その手を離せ!」


「くっ……」


ジョロキウスの暴動を何とか抑えようとしていたバジェリーだったが渋々手を離す。


「フンッ。お前はここで見ていろ。我が奴等に勝つ瞬間をな!」


そう言ってジョロキウスは姿を消した。


「…ジョロキウスの奴め。頭に血が登るといつもこうだ…。アイツらが早く来てればこんな事にもならなかったというのに。一体どこで道草を食ってるのやら……」


バジェリーは夜空を見上げ思いふけた。



「大丈夫か後輩?」


「この程度の傷、どうってことないさ……」


「そうか。じゃあ離すぞ」


「あ、ちょっと待って」


そう言いながらも彈に肩を借りながら店へと戻ってきた瑛人達。


「いらっしゃいませ〜って、瑛人君!どうしたのその傷!」


「いや、ちょっと近くで転んじゃって。すみません、戻るの遅くなって……」


「いいわよそんなの気にしないでも。そんな事より早く手当てしなきゃ!」


梓は慌てて救急箱を取りに行く。


「座れ後輩。俺の奢りだ」


「いい。アンタに借りは作りたくない……」


「新人のくせに一丁前にプライド傷付けられちゃって…よっぽど悔しかったのね」


瑛人を茶化しながら自分の席で彈が持ってきたコーヒーを嗜む翼。


「なるほどねー。それでさっきから俺に冷たいのか。でもあんまり思い詰めるなよ後輩」


「触るな…」


肩を叩く彈の手を跳ね除ける瑛人。


「あと、ずっと思ってたんだが勝手に厨房入るなよ。店員は俺だ。座るべきなのはアンタの方、ぐっ……」


立ちあがろうとするが傷口が開き力がうまく入らない。


「無理すんな座っとけって。ここは俺がやるからよ」


「……だから店員は俺だって、」


「あれー救急箱どこにしまったかしら〜?」


店内まで探しに来た梓。それを見かねて彈が一言。


「救急箱とかは引き出しの3番目だって前も言ったろ?姉さん」


「あらそうだったわね。直ぐに持ってくるわ!」


「あのヤロウ梓さんとも仲がいいなんて、ただじゃおかねぇ………って姉さん!?」


「そうよ。この女ったらしは梓さんの弟よ。あ、言ってなかったけ?」


「聞いてない!コイツが弟!?」


「ああ。ということで先輩としても上司の弟としてもこれからよろしくな。後輩!」


「マジかよ」


――――――――――


バディ。ようやく奴が再び動き出したようですわ。


つまり私達にとってもチャンスが巡ってきたってことですわね。そのツキ今度こそモノにいたしましょう!


次回 色者二重奏


だけど忘れないで。今の私達は1人じゃありませんわ。


ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


よろしければブックマーク、評価を頂けると、とても励みになります!



次回もお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

勝手に祈ってお待ちしております。

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