PART1
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あらすじ
いつものように梓のカフェで初めて見る女性達とイチャつく彈の姿に不愉快な瑛人。しかし彼女曰く瑛人は彈の事を誤解しているらしく。
一方突如彈の元にやって来た女性アゲハが魔獣に攫われて…
「いや〜〜プリンセス。今日も君は美しい。最高だ!」
「そう〜?」
「ああ。前も良かったが今日の君が1番だ。そんな君とこうして俺は一緒にいられるんだから1番幸せなのは俺なのかもしれないな」
「もう…彈ったらー!!」
彈の分かりきった褒め言葉に満更でもない反応を示し照れる女。
「またやってる……しかもまた見たことない子だぞ」
「アイツモテるから。いいからほっときなさい」
そんな様子を少し遠くから見ている瑛人と翼。
「だけど流石に度が過ぎないか?会う度に女の子をコロコロ変えて女の子に悪いとは思わないのかよ!?」
「思ってないでしょうね。全く」
「……百歩譲って勝手に遊んでるのはいいとしてだ。だけどそれを実のお姉さんが営んでるカフェでやる必要はないだろ!!」
ド直球ストレート過ぎる瑛人の正論。
それに納得して何も言えない翼。
「全く……何考えてるんだアイツは?」
「アレでも一応彈は彈なりに色々と考えてるんじゃない?多分ね…」
「あっ、梓さん…」
「はいお待たせ〜」
翼が頼んだナポリタンを届けにきた梓。
「ありがとうございます」
翼は話を聞かれ気まずそうな瑛人を放っておいてナポリタンをがっつく。
「……いいんですか梓さんは。弟があんな事しててても?」
「んーー、まぁ、気にならないって言ったら嘘になるけど一緒にいる女の子達の顔を見てたらね…」
「え?」
「彈が連れてくる子達、みんな最初は暗い顔してるんだけどいつの間にか笑顔で笑ってるのよ」
「きっと騙されてるんですよあの男に」
「そう?私にはそんな風には見えないけど」
頑なに彈を信じしている梓。
弟だから信じたい。そう思う気持ちは分かるけどやっぱりあんなの間違ってる。
梓さんにだって、それにあの人にも……
「やっぱ俺納得出来ません!」
「え?」
「ちょっ、何するつもり?」
ナポリタンを頬張ったまま瑛人を止める翼。口に食べ物が入っていてよく聞こえないが意味は伝わった。
「ムカつく。文句言ってくる!!」
「は!?」
翼の静止をも振り切り瑛人はエプロン姿で彈達がいるテーブルに乗り込んだ。
「おい!!」
「?……どうした後輩。用があるなら後にしてくれないか?見ての通り今はデートの真っ最中なんだ」
必要以上に体をくっつけイチャイチャするその様子に頭にきた瑛人は彈達間に割り込み力づくで離れさせる。
「どうした?あ、まさか嫉妬か?」
「…悪いとは思わないのか?」
「何が?」
「今のそれだよ。嘘ついて女の子に好かれてそんなに楽しいのか!?」
「意味が分からないな。それに俺は何も嘘なんかついてない」
「こんな事して、その子にも梓さんにも悪いと思わないのかよ!」
「全く。俺は悪いことなんかしてないからな」
開き直り一向に非を認めない彈。それに瑛人は腹を立て言ってしまった。
「亡くなった彼女に今のお前の姿見せられるのかよ」
「!!…………」
常に平静な顔をしていた彈に曇りが見えてくる。
「おい、何とか言ったらどうなんだ?」
「……悪い、プリンセス。今日はここまでにしてくれないか?この埋め合わせは必ずするから」
「うん、分かった……」
彈は席を立つと瑛人に何も言い返えさないまま店を後にした。
「あーあ、言っちゃった。誰もそれだけは言わないようにしてたのに」
ナポリタンを完食した翼が哀れな目で瑛人を見る。
「な、何だよ、俺が悪いのか?」
「別に。そうは言ってない。だけどちょっと言い過ぎな気がしただけ」
「それは、そうかもしれないけど……だけどハッキリしておかないと!」
「あの……」
するとひとりぼっちになってしまった彼女が瑛人に詰め寄る。
「貴方は多分、彈の事を誤解してると思います」
「え?…」
「バディ……」
「ん?どうした?」
「いえ、なんでもないですわ」
「そうか。ならいいけど」
無心のまま町を歩く彈の前に見覚えのある容姿端麗な女性の姿が目に入る。
すると女性もこちらに気づいたのか手を振る。
「彈!!」
「なっ……!」
彈は驚く暇もないまま慌てて彼女の元へ駆け寄る。
「アゲハ…!なんでお前がここに!?この町には来るなって言ったはずだろ」
「どうしても話したいことがあって」
「だからって、用があるなら言ってくれれば俺が行ったのに。それにまだ準備が」
「準備?なんの?」
「あ、いや、なんでもない」
「そっ。…いつも私が彈に驚かされてばっかりだから偶には私が驚かせたかったの。ダメだった?…」
アザとい表情にあまりキツくも言えないまま彼女を説得する。
「…ダメじゃないけど、とにかくここはダメだ。俺も一緒に行くから早くこの町を出よう」
この町の秘密を知らない無関係の彼女を巻き込む訳にはいかないからな。
魔獣の事を知ったら色々と面倒だ。
「え、なんで?せっかく来たんだからここでいいじゃん」
「俺がイヤなんだ。それにこの町じゃアゲハが納得するワインを出すバーも無いしな。いいから行くぞ!」
「きゃーーー!!」
無理矢理にもアゲハを引っ張ろうとしていると、近くから女性の叫び声が聞こえる。
「なに!?」
「……(なんでよりもよってこのタイミングで!……)きっと気のせいだ、いいから行こう!」
「いや無理でしょ。気になるって!」
「お、おい!」
叫び声が聞こえた方に走っていくアゲハを慌てて追いかけて行った彈。
「きゃーー!助けてぇーー!」
「くそッ!美幸を離せ化け物!!」
「誰が離すものか〜!俺の目的はお前達人間から大切な者を奪うことなんだからな〜!!」
カップルを襲った牛の様な姿をした魔獣は手に持った空っぽの牛乳瓶に女性を閉じ込めてしまう。
「美幸ぃ!!」
「悔しいか?悲しいか?それとも怒ってる?どれでもいいぞー負の感情は俺の大好物だからなーー!」
彼女を目の前で攫われた男は魔獣に怒りをぶつける。そして既にカップルの片方を攫われた大勢の人間達は涙を浮かべ悲しみ、自分のやるせなさに悔し涙を浮かべる者ばかり。
ここら一体は愛する者を奪われた者達の負の感情で覆い尽くされていた。
「何これ……それになんなのよあの化け物!!どうなってんの!?」
「っ……(しかも面倒そうな奴かよ……)とにかく説明は後だ。逃げるぞ!」
「う、うん!」
「おっ、あんな所にもカップルが!逃すものか〜!!」
急いで逃げようとする彈達だったが魔獣に目をつけられ退路を塞がれる。
「チッ!」
大きな舌打ちをする彈。そんな珍しい様子を見せる彈に驚くアゲハ。
「こうなったら仕方ないか…レディ!」
「ここでは無理ですわ。バディ」
彈はレディを取り出し鎧染しようとするが、レディが彈の脳内に語りかけそれを拒否する。
「なんでだ」
「忘れたの?魔獣の姿だけならともかくバディの真の姿までも無関係の彼女に見せてしまったら、彼女は……」
最後まで言うのを思わず躊躇ってしまう。
「ッ、だがそんなこと言ってる場合じゃ…」
「さあ、お前もこの瓶に詰め入れてやるぅ!!」
珍しく判断が遅れた彈を狙って魔獣が襲いかかってくる。
「彈っ!!」
それを庇ったアゲハが魔獣の攻撃によって牛乳瓶に囚われてしまった。
「アゲハ!!」
「あら、狙った奴とは違う奴が入ってしまった。女ばかりで少々飽きていたのだがまぁいいか。さぁ残された男よ。泣くか怒るか、それとも喚くか?」
「どっちもしねぇよ」
彈は躊躇なく銃を突きつける。
「なっ!」
「今度こそいいよなレディ?」
「オーケーバディ。彼女が見てない今なら思いっきりやれますわ!」
「その銃、まさかお前色者か!?」
「ブルだよ。牛だけにな」
激鉄を起こし引き金を引に鎧染しようとすると、
「待て!コイツらがどうなってもいいのか!?」
「あぁ?…」
「取引をしないか?」
「取引?」
「そうだ。自分で言うのもなんだが俺はそんなに強くない。だから出来ることならお前とは戦いたくない」
「だったらさっさとお前が攫った子達全員返してもらおうか」
「だけど功績を残して我が上司ジョロキウス様に認められたいのもまた事実」
流暢に話を進める魔獣。警戒しながらも魔獣のペースへと呑まれていく。
「知るか。ここでお前を倒せば全部解決だ」
「それはどうかな?。今ここで俺を倒せば囚われた人間達も共に消滅するぞ!!」
「なに!?」
「人間達を捕らえているこの瓶は我が身同然!我が身が消滅すればその中身も共に消えるのは当たり前のこと」
「バディ。確かに言う通り奴の肉体とあの瓶には繋がりのようなものが感じられますわ」
つまり、アゲハ達囚われた人々を助けるためには奴を倒す前になんとかして救出しなきゃならないってことか。
「さぁ、どうする?この取り引き乗るか?反るか?」
「ッ……分かった。言う通り乗ってやるよ」
彈は渋々納得するとレディをしまい戦闘の意思が無い事をアピールする。
「それでいい」
「で、お前は何を望む?」
「そうだなー、ん?」
「先輩ッ!!」
魔獣の出現を聞き駆けつけた瑛人が遅れてやってくる。
「どうやら邪魔者が来たようだな。話はまた後だ。追って連絡する!」
「おい待てっ!!」
そして魔獣は姿を消した。
「くそッ、遅かったか……」
「遅えんだよ…!それにタイミング悪すぎ。お陰で大事な事を聞きそびれた!」
瑛人の胸ぐらを掴み八つ当たりする。
「悪い……」
「ッ。いや、もういい……奴との決着は俺がつける」
少しすると冷静さを取り戻したのか瑛人を突き放しこの場を去った。
「彈……」
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