表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

PART2

閲覧感謝です!

貴重なお時間にお邪魔します……

「翼。アイツの調子はどうだ?」


「さぁ…知らないわ」


瑛人の様子を見に来た彈を空返事で対応する翼。


「そっ。じゃあそっちは?」


「ギリギリ。正直運が良かったくらいよ」


「必ず治してやってくれ。今のアイツには相棒が必要だ」


「言われなくてもそのつもりよ」


翼の答えに安堵する彈。


「それにしても自力で精霊武器のリミッターを解除しようとするとは、本当にアイツはバカげてるよな」


「バカじゃなきゃ出来ないわよ」


「なら俺は無理だな」


「安心しなさい。アンタじゃなくてもあんなマネ普通は無理だから」


「まるでアイツら2人が特別だって言いたいみたいだな」


その一言に翼は手を止める。


「そうじゃない。ただ、彼は精霊との相性が良すぎるのよ。異常なくらい」


「精霊に愛された男か……妬けるね」


「あら、私は愛してますわよバディ。それとも何か不満でも?」


嫉妬する声が聞こえて慌ててレディを取り出す。


「不満なんかあるわけないだろ。俺の最愛のパートナーはお前だ。それ以外はあり得ない」


レディにソッと口づけをする。


「バディ…」


心なしか黒い銃身が赤く染まったような。


「あのさ、悪いんだけどイチャつくなら他所でやってくれる?」


「翼も混ざるか?」


「結構よ」


その時町に魔獣警報が鳴り響いた。


「……やっぱり来たか」


「きっとアイツらね。今度は気配を隠さず素直に現れたってことは」


「どうやら本気みたいだな……」


「どうする?…」


迷う程選択肢なんか無い。今戦えるのは俺だけなんだから。


「アイツの相棒。後どのくらいで戦えるようになる」


「30分あればなんとかかな……」


「しゃあない。なら先輩らしく後輩の為に時間稼ぎますか」


「でもザンバが治ったって肝心の瑛人が来るとは……それに今のままじゃアイツらには勝てないわ」


「来るさ」


なんでかな……。アイツと会ってまだほんの少しだっていうのにアイツの成長を期待してる自分がいる。直感的にアイツならなんとかするって不思議に思えしてまうから怖い。


「アイツは俺を仲間だと言った。なら信じてやるってのが仲間のすべきことだろ」


「そうね。だけど男の為にアンタが一肌脱ぐなんて珍しいじゃない」


「俺も偶には先輩らしくカッコつけたくなったのさ。行くぞレディ」


「なら私もバディに負けぬよう盛大に輝くと参りましょう!」


「キャーーーーー!!」

「うわぁぁぁぁ!!」


シロガネ達の猛威から必死に逃げ惑う人間達。


「ハハハッ!もっとよもっと泣き叫びなさい!そうじゃなきゃ意味がない!」


「…そこら辺にしておけシロガネ」


人魔らしく町を襲い悲鳴を集めるシロガネを冷静に宥めるコガネ。


「どうして止めるのよ?アニキ」


「忘れるな。今の俺達の目的は色者共を倒すことだけだ。人間の悲鳴は他の魔獣に任せておけばいい」


「別にいいじゃない。どうせやるなら一緒なんだからさ。それとも忘れたの?……。あの時の事を」


「忘れるか…忘れるわけがない」


「だったらいいじゃん。人間を恐怖に陥れるのは私達の目的でもあるんだから」


「…………」


パッとしないコガネの様子に不満気な様子のシロガネ。


「そこまでだ2人とも」


2人の目の前に彈が現れ一時的に攻撃を止める。


「待ってたわよ。中々来ないからこんなに町を壊しちゃったわ」


「生憎俺は人気者でな。中々プリンセス達が手を離してくれないんだ」


「ほんと口が減らない男ね。ムカつく」


「1人なのか。アイツはどうした?」


「安心しろ。アイツなら必ず来る。それまでは俺が2人の相手をしてやるからそれで我慢しとけ」 


銃を構える彈。


「…舐められたものだな。お前1人で俺達を相手できるとでも?」


「倒せるなんて思っちゃない。だけど時間稼ぎ位なら余裕だろ」


「……そこまで言うならやってみなさいよ。アンタから先にやってあげるから!」


「いいね。注目されるのは大好きだ。……鎧染!」


引き金を引きクロキキシへと姿を変えた彈。鎧染と同時に勝負の幕は切って落とされた。



「君名前は?」


「弥咲瑛人です。よろしくお願いします!」


中岩の提案で稽古を付けてもらう事になった瑛人。


「じゃあさまずは決めポーズしてみてよ」


「え?」


「俺に憧れてるって事はヒーローになりたいんだろ?だったら自分が思うオリジナルでいいから決めポーズを見せてよ」


「いや、戦いの最中にポーズとかは別に」


「戦いの前に決められない奴がいい戦いなんか出来るわけないだろ」


「それは……」


でも妙に腑に落ちてしまった。今までの俺は戦いに集中するばかりでそれ以外に気を使う事ができなかった。

戦う前から戦いは既に始まってるってことか。


「恥ずかしがる必要なんかない。戦う時は君で合って君じゃないんだ。思いっきりカッコつけないでどうする?こういう風にさ!」


「戦う時は俺であって俺じゃない、か……」


すると中岩は自身が演じてきた歴代ヒーローの決めポーズをどんどんと決めていく。


「ほら、一緒に!」


「あ、ハイ!」


俺は真似するように中岩と共に無限にポーズを取り続けた。

これが強くなれる近道だと信じて。



「チッ…」


「どうしたのよキザ男!さっきまでの威勢はハッタリかしら?」


クロキキシの攻撃をものともせず自分のペースで攻め立てていくシロガネ。


「いやいや、余りにも君が可愛いもんだからちょっと見惚れたただけさ」


「ならもっと釘付けにしてあげるわ!」


大鎌から放たれる斬撃を紙一重で避けるクロキキシ。


「(やっぱりあの女ヤベェな……。しかも今回は、)」


「俺を忘れるな」


「忘れてねぇよ!」


背後から襲うコガネの攻撃もギリギリで避けるが、兄妹のコンビネーションプレイに圧倒されていく。


「あっちは2人とも生身でこっちはほぼ本気。やっぱり舐められてんのはこっちか……」


「バディ。それでも10分は経ちましたわ」


「まだ10分。いや、もう10分か!」


「ええ。その調子ですわ」


諦める事なくクロキキシは戦い続けた。信じた仲間のために。



「ヨシ。なら次だ!今度は俺にぶつかって来い」


「ハイ!」


決めポーズの特訓を終えた瑛人は木刀を持ち中岩と模擬戦をする事になった。


「いつでもいいぞ。好きなようにかかってこい!」


「ならお言葉に甘えて!」


瑛人は一気に前へ出て体ごとぶつかっていく。

中岩もそれを避ける事なく受け止める。


「筋は悪くない。だけどそれじゃつまらないぞ」


「まだです!」


力の限り剣を振りぶつかる瑛人。それを全て受け止める中岩。


「終わりか?だったら今度は俺の番だ!」


「なっ!…」


次の瞬間中岩は木刀を宙に放り投げると目の前で手を叩き猫騙しで瑛人の目を眩ます。


「!!」


その隙に宙に放り投げた木刀を手に取り瑛人の首元に突きつける。


「勝負ありだ」


「……参りました」


「瑛人。君の戦いも悪くなかった。筋はいいし体力も申し分ない。だけど君の戦い方はアクションというよりはまるで実戦だった」


この一度の戦いで瑛人の基礎を見抜いた中岩。


「でも今の君には余裕が無い。力だけに縋って力を頼る事しかしていないからだ」


「じゃあどうすれば」


「簡単さ。君のやれる事ををすればいい。できる特技を自分流に生かすんだ」


「俺の得技……分かりません。今の俺に得技な事なんか…」


その瞬間、俺の顔面を殴ってきた拳を思わず手で受け止めてしまう。


「な、何するんですか!」


「それでいいんじゃないのか?」


「え、」


「考える前に先に体が反応する。直感で動けるのは十分な特技だと俺は思うけど」


勝手に体が動く……。


「もっと物事は柔軟に考えればいい。例えば、見えないモノを見ようと努力するんじゃなくて、見えなくても戦える努力をするとかね」


見えないなら見えなくてもいい方法を探せってことか。


「アンタが無茶したせいでサンバの全力にもう刀身が耐えられない」


「あっ!……」


その時瑛人の頭に浮かんだ翼の一言が中岩の言葉と重なり1つの方法を思いついた。


「これならなんとかなるかもしれない」


微かな希望が瑛人に自信をつけた。


「その顔、どうやら自分の中で答えが出たみたいだね」


「ハイ!」


「いい返事だ。きっと君はいいヒーローになれるよ」


「ありがとうございます!」


レジェンドとも呼ばれる中岩に太鼓判を押された瑛人。

テレビの中のヒーローが本物どうかなんてどうでも良かった。その気持ちは子供の頃も今も変わってない。

だっていつも目の前には確かに存在したんだ、こうやって今もヒーローが。


そんな時だった。町にはコガネ達が現れ魔獣警報が鳴り響いた。


「な、なんだ!?この音は。地震か何か?」


「来たか……中岩さん達は一刻も早くこの町から逃げてください!」


「え、よく分からないけど分かった…。でも君はどうするつもりだ?どうせ逃げるなら一緒に」


「いや、俺には行かなきゃ行けないところがあるんで。失礼します!」


「ちょっと、こんな時にどこに行くつもりだ!!」


駆け出す瑛人は足を止めて振り返った。


「大丈夫です。俺ヒーローなんで」


瑛人は中岩に頭を下げ感謝を伝えると駆け足で去っていった。


「ヒーローか……」


中岩は笑顔で瑛人を見送った。


ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


よろしければブックマーク、評価を頂けると、とても励みになります!



次回もお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

勝手に祈ってお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ