PART3
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そして翌日。
「ザンバ。調子はどうだ?」
「バッチシだぜ相棒!」
見た目こそ変わっていないザンバの姿に少し不安も抱いたがザンバの声を聞いて俺は信じることにした。
「……色者としての使命を選び死にに来たか」
「本当人間ってバカだよね。ここに来なきゃもう少しは長く生きれたっていうのにさー」
「負けたままじゃ終われないんでね」
鼻で笑うシロガネ達を睨みつけ威圧する瑛人。
「……人間のくせにやる気とか。生意気!本当に私達に勝てるとでも?」
「勝てるさ。…必ず勝つ!」
「なら見せてみろ。そして俺に証明してみせろ。お前の本気と強さを!」
「鎧染」
瑛人はザンバを引き抜きアカキキシへと姿を変えると真っ向からコガネに勝負を仕掛けに行く。
「誰が一対一なんて言ったのかしらね。そんな簡単にアニキに届くとでも?」
その瞬間、大鎌を構えたシロガネを1発の銃弾が撃ち抜く。
「それはこっちのセリフだよお転婆シスター。俺を忘れられちゃ困る」
視線の先にはシロガネに銃を向けるクロキキシの姿が。
「いたのね。私勝手にアンタは来ないと思ってた」
「正直言うと俺も最初はそのつもりだったんだ。君とやるのはまだちょっと早い気がする」
「ならなんで来たわけ?」
「後輩が必死になって頑張ろうとしてんだ。先輩の俺が背中を見せる訳にはいかないだろ。…だからさ俺とデートしようぜ。お嬢さん」
「ふーん…キモ」
クロキキシはシロガネを惹きつけアカキキシとの分断に成功する。
その隙にアカキキシがコガネの間合いに入るが、簡単に大剣で防がれてしまう。
しかし、前回と違うのは大剣相手でも力負けしていないということ。互角、いや、力ではこちらが勝るほどだ。
「成程。たった1日だが、多少はやるようになったみたいだな」
「今度こそ…お前を倒す!」
「やれるものならな」
互いに剣を重ねぶつけ合う。剣が防がれれば足で。足も防がれれば拳で。己の体を武器に格上のコガネ相手に果敢に挑んでいく。
今までよりも体が軽い。それに頭より先に体が勝手に動くこの感じ。これなら!
「このまま突っ込めエイト!」
リミッター解除の甲斐もあってか次第にコガネを追い詰めて行くアカキキシ。
「……」
「うおおおおっ!!」
反撃の隙をも与えぬ連続攻撃が功を奏したのか、アカキキシ渾身の一振りはコガネの頬に一筋血を流させた。
「フフッ……ハハハハハッ!!」
「!?」
「……いいな。久しぶりだこんなに笑ったのは。お前名前は」
「……瑛人。弥咲瑛人だ」
「ならばエイト。お前は俺に傷をつけたんだ。その意味が分かるな?」
すると突然コガネの圧力が変わる。
ようやく慣れてきたと思ったのにまた鳥肌が立つ。
こっから先が奴の本気……。
「こっからは手加減なしだ。簡単にやられてくれるなよ?」
振り上げた大剣がギラギラと光り輝く。
「鎧煌」
掛け声を合図にコガネの体は一瞬で黄金色の鎧に包まれた。
「なに……!」
黄金の鎧は眩い輝きを放ちながら妖しい魔の香りを漂わせる。
鎧を纏ったコガネは目にも止まらぬ速さででアカキキシを翻弄する。
「なんてスピードだ…ザンバ捉えられるか?」
「ギリギリだな。こうなったら必死で喰らい付け!」
「くそッ!」
ザンバのサポートを頼り瑛人の直感を駆使しても全ての攻撃を捌き切るのは至難の業。
反撃する隙すら与えず一方的に攻め立てていく。
大剣の破壊力と尋常じゃないスピードがジワジワとアカキキシの体力を奪っていく。
「おい、さっきまでの威勢はどうした」
「ッ……!」
「そんな剣捌きでこの俺を倒すつもりだったのか?」
「このヤロウ……!」
力の差を見せつけるように技術で圧倒するコガネを目の前に力尽くで強引に勝負を決めようとするアカキキシ。
「エイト落ち着け!力任せで敵う相手じゃない!」
「だからってこのままでいられるかよ!」
ザンバの忠告も空返事のままひたすら剣を振り続ける。
「未熟だな」
「何を!……」
「それも分からぬから未熟だと言っている。戦術を忘れ技術を捨て力任せで挑むなど愚の骨頂」
コガネの圧倒的な一撃がアカキキシを地面へと叩きつける。
「これが俺とお前の差だ」
これじゃまるでさっきまでの戦いが遊びみたいじゃないか。いや、アイツにとっては今も変わってない。
「ッッ!」
首元に突きつけられた刃を振り払い直ぐに反撃を試みるが簡単に防がれる。
「もう諦めろ。お前の刃が2度と俺に届く事はない」
「ふざけるなぁぁ!!」
ダメだ。落ち着かないと。落ち着かないと勝てるものも勝てない。分かってる。分かってるけど、だけどこのままじゃダメだ。ダメなんだ。なんとかしないと!……。
頭では分かってる。今の俺じゃ奴には勝てない。
だとしても感情と行動が言うことを聞こうとしない。
「ザンバ!!」
「?…」
「もっとだ。もっと全力をよこせ!!」
「何を言ってる!?」
「今のままじゃ勝てない。…だったらこの場で更に強くなるしかないだろうが!!黙って力貸せ!」
ザンバの意思とは別に刀身が紅く輝き、アカキキシの体を真っ赤な炎が包み込む。
「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」
こうなったら無茶だろうがなんだろうが知ったこっちゃ無い。
「(まさかこの土壇場で無理矢理オレのリミッターを解除するつもりか!?こんなの無茶に決まってる)よせエイト!」
瑛人の感情に共鳴するように炎は激しく燃えあがり止まるところ知らない。
「哀れな奴め……」
「はあああああああっ!!」
今の俺にはこうするしかないんだ。勝つ為なら死んでも構わない。その覚悟、見せてやるよ!
「……ダメだエイト。止めるんだ。やめてくれ……やめろォォォォ!!」
――――――――――――
無茶と無謀は希望と絶望くらい意味が違う。
痛い目に遭わなきゃ大事な事にも人は気づけない。やっぱり人間ってのは本当に面倒でうざったい。
次回 双刃〜俺とオレ〜
されど、無茶と絶望の先にしか本当の希望は見えてこない。
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勝手に祈ってお待ちしております。