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ヴァリ・カヴァリエーレ〜色彩ノ騎士タチヘ〜  作者: 春風邪 日陰
第一話 鎧染!喋ル剣と紅キ鎧
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PART1

閲覧感謝です!

貴重なお時間にお邪魔します……。


あらすじ

誘善町へと引っ越してきた瑛人は突如町を襲う魔獣と呼ばれる化け物に襲われる。

絶対絶命の危機に現れたのは一本の喋る剣だった。そして瑛人は剣の力で鎧を纏った戦士〈アカキキシ〉へと変化を遂げ戦う力を手に入れる。


「くそッ!!……離しやがれ!このデカ鳥!!」


巨大な鳥の化け物に掴まれながら空を飛ぶ1人の男。

男は恐る恐る下を見て絶叫する。


「っ、今の撤回!!やっぱり離すな!……おい聞いてんのかよ!?」


「ギャアァァァァーーー!!!」


化け物は男の声に答えるように絶許すると男を易々と手放した。


「マジかよ!ちょっ、冗談だろーーー!」


男はビルよりも高い上空から速度を増しながら降下していく。


「なんで、なんでいつもこうなるんだよ……」


どうしてこうなった。なんでこんな所で死ななきゃならない。

俺はただ新しい一歩を踏み出したかっただけなのに。


時は約30分前まで遡る。


「やっとついたーー!!」


俺は今日からこの町<誘善町>に引っ越してきた。


「これから始まるんだ。新しい俺の人生が!」


引っ越してきた理由は2つ。


1つは自分自身の何かを変えたかったから。

今までの俺は仕事も彼女とも上手く行かないままやりたい事も夢もないままただただ生きていた。そんな生き方をしていたら仕事も彼女も失い挙げ句の果てに貯金は底をついた。

このままじゃいけない。何か変わらなくては!そう思った俺は残りの少ない金を使ってでも引っ越すことを決めた。

それだけで何かが変わるとは思ってない。それでも何かきっかけが欲しかったんだ。きっかけさえはあれば俺はきっと変われる。そう信じて。


そして2つ目。

これが1番大事。何故貯金の底がついた俺が思いつきで引っ越す事が出来たのか。

それは新居の家賃が怖いほど格安だったからだ。

これから俺が住むことになるマンションの広さは2LDK。めちゃくちゃ広い。一人の独身男が住むには勿体無いくらいだ。

それで家賃は月々2万5000円。しかも敷金礼金などの手数料も無料だって言うんだから怪しさ満点だ。

極端な話その部屋で事件や事故が起きてたって安すぎるくらいだ。

でもそんなの今の俺には関係なかった。安ければそれでいい。

それで何かが変われる可能性があるのなら俺は喜んで幽霊とだって一緒に住んでやる。


だけど今考えたらやっぱり怪しい。最初にそう思った時点でやめときゃよかったんだ。

安いのにはそれ相応以上の訳が必ずあるんだから。



「ん?そこの兄ちゃんここら辺じゃ見ない顔だね。旅行かい?」


引っ越し作業がひと段落して、俺は近くの商店街に顔を出すと惣菜屋の店主に声をかけられた。


「いえ。今日引っ越してきたんです」


「えっ!?」


「え、」


正直驚かれた意味が分からなかった。余りにも大袈裟に驚かれたことで期待は不安に変わってしまった。


「へーー、兄ちゃん随分変わってるんだねー。見た目と違って結構な物好きと見た」


「ど、どういうことですか?…」


「だってそうだろ?普通はこんな町に引っ越す奴なんて滅多にいないんだ。そこに引っ越すんだから変わり者に決まってる」


「は?……」


「それともまさか、知らずにこの町に引っ越してきたのかい?」


「あの、さっきから言ってる意味が…どういうことですか?」


俺の返答に思わず頭を抱える店主。


「あの、」


「だったら悪いことは言わない。何も知らないならさっさっともう一回荷物を纏めてこの町から引っ越しな!」


メンチカツをお土産に帰れと急かす店主。


「いやいや、いきなりそんなこと言われても無理ですよ。意味分かんないですし。もしかしてこの町ってそんなに治安でも悪いんですか?…」


「いや、治安は悪くない。寧ろいいくらいだ。人だっていい奴ばっかだしな。それはこの町にずっと住んでる俺が保証する」


「じゃあなんで、」


「その内分かるさ。だけど分かったからじゃもう遅いんだ。ここは騙されたと思ってさっさと、」


すると突然大音量の警報音が町に鳴り響く。


「な、なんだ?地震か?」


「違う!っ、遅かったか…」


「ー魔獣の出現を確認しました。町の皆さんは直ちに不用な外出は避け安全な場所に対比してください。繰り返します」


「ど、どういうことだ?…外出を避けろって言ってみたり、安全な場所に避難しろって言ってみたり。ってか魔獣ってなんだよ!」


すると次々と商店街の店が慌ててシャッターを下ろし始める。


「1人で呑気に突っ込んでる場合か!安全な場所なんてないからな。黙って家で待ってろって事だ」


「だから何が起きてるんですか?」


「いいからお前も店に入れ!暫くの間は匿ってやるから。急げ!」


俺は意味が分からないまま店主の勢いに負けて店内にお邪魔する。


「あの、色々と急すぎてついていけないんですけど……」


「外見てろ。すぐに意味がわかる」


「外ですか」


「だけど何を見たって絶対に大きい声を出すなよ。絶対だぞ!言っとくけどフリじゃないからな。いいな!」


「あ、はい……(一体何が見えるっていうんだ)」


俺は恐る恐る店内の窓から外を覗く。


「な!……」


そこから見えたのは翼竜のようにも見える巨大な鳥の化け物が空を飛ぶ姿だった。


「な、なんなんだよアレは……」


「見ての通りのバケモンだ。俺達はああいう化け物を魔獣って呼んでる」


「魔獣。ってなんでそんな冷静にいられるんですか!?」


「慣れてんだよ。この町に住んでたらこんな事はしょっちゅうだからな」


お茶を啜りながら呑気に時間潰している店主。


「……あ、そうだ。警察はこんな時何してるんですか!それとも自衛隊!?あ、こっちから通報した方がいい感じですか?」


「落ち着け!」


慌てふためく俺にお茶を強引に飲ませた事で気管に入り咽せてしまう。


「な、何するんですか!……」


「兄ちゃんだって漫画やドラマくらいは見るだろ」


「え、」


「怪獣や怪人相手に民間の警察が挑んで勝ったシーンを見たことがあるか?大体すぐにやられて相手にならないのがよくある展開だろう」


言われてみれば確かに。妙に納得してしまった。


「それはそうかもしれませんけど、」


「安心しろ。ドラマや漫画にヒーローがいるようにこの町にもそういう奴がいる。待ってればきっとソイツがいつものようになんとかしてくれるさ」


だからこんなに落ち着いてられるのか。でも一体どんな奴なんだ?


「ギャァァァァァ!!」


魔獣が大きな声を上げると次々と建物を破壊し出した。


「ちょっと大丈夫なんですか!?」


「多分な。奴らは物を壊したり俺達に嫌がらせはするが俺達を食べたり殺したりはしない。今の所はな…」


「今の所はって。じゃあアイツらは何が目的で町を襲うんですか?」


「知るか。俺は怪物じゃねえんだ。そんな気になるなら怪物に聞けよ」


またもっともな事を言われてしまった。


「ギャァァァ!!」


付近の物をある程度壊し切ると満足したのか魔獣は声を上げ空へ飛び立つ。


「待てよ。ちょっとアイツが向かってる方向って、まさか!」


「お、おい!」


俺は慌てて外へ飛び出し魔獣の行く手を見る。


「嘘だろマジかよ!」


「おい外へ出るな!いくら奴らが俺達を殺さないからって何もしてこない訳じゃないんだぞ。それにいつどうなるか……」


「アイツが行った方向これから俺が住む新居があるんです!」


「仕方ない、諦めろ。家なら他にもあるだろ」


ようやく手に入れた変われるチャンスなんだ。そんな簡単にこんなところで終わってたまるかよ。それに、


「俺はここに住むってそうやって決めてここに来たんです。だからもうこの町は俺の町でもあるんだ。あんな意味のわからない化け物にこれ以上好き勝手されるのは納得できない!」


「おいっ!!」


俺は店主の説得を振り切り魔獣が向かった新居の方角へ向かった。


「おい帰ってこい!何があっても俺は知らねえぞ。俺は止めたからなー!!ったく、最近の若いもんは…」


「どうしたのおじさん。騒いじゃって」


「ん?、お!翼ちゃん」


翼と呼ばれる少女は何かのコスプレとしか思えないようなゴスロリチックなドレスを身に纏い背中にはパンパンに詰まったリュックを軽々と背負っている。


「こんな時でも相変わらず派手な格好してるねー。荷物もそんなに詰め込んじゃって一体何が入ってるんだい?」


「派手な格好は私の個性。詰め込まれた荷物は私の仕事道具っていつも言ってるでしょ」


「仕事道具ねー。前から思ってたけど翼ちゃんはなんの仕事してるんだい?」


「それはね……秘密♡」


店主の耳元で囁くと店主は腰砕けになる。


「で、どうしたの。こんな時にあんな大声出してたら魔獣に見つかって食べられちゃうわよ」


「あ、そうだ!」


翼の冗談めかした一言で店主はすぐに冷静さを取り戻す。


「さっき新しくこの町に引っ越して来たって奴が魔獣が言った方向へ走って行ったんだ」


「えぇ!?何それ本当…?」


「ああ。もしかしたら既に今頃……」


「どこのどいつか知らないけど一体何考えてんのよ……ごめんおじさん私行くね!」


「え!行くってどこに?」


「仕事!!」


そう言い残すと翼は全速力で瑛人を追いかけに行った。


ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


よろしければブックマーク、評価を頂けると、とても励みになります!


次回もお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

勝手に祈ってお待ちしております。

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