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その6

私は宝くじ売り場の灯子 その6


私は宝くじ売り場の灯子(とうこ)

ここの、宝くじ売り場で働いている。

時給は安いが、ここから見える人たちを眺めているのが好きだ。


お客さんV

今日は、休みの日なので海に来た。

夏の海は気持ちがいい!

ふふふ、

私の赤いビキニは、メンズの視線の的だ。

爽やかな潮風が、南国リゾートをかもし出すぜー!(心の声)

「ちくしょう、ばかやろう、こんちくしょう、」

「?」

「ちくしょう、ばかやろう、こんちくしょう、」

うん?この耳障りな呪文は、

お客さんAだ!

まさか、こんな所で、(汗)

似合わないぞ、

あの負のオーラは、真夏のビーチには似合わないぞ。回りの人々を真冬にする。

モクモクモク…

突然、天気も悪くなってきた。

せっかくのバカンスが台無しだ。

せめて、気付かれませんように、

おおっ!彼女だ、

お客さんAに、彼女がいる!

どこに惚れたんだ!

目が悪いのか、

変わりなの者か、

不幸好きか、

早く逃げろ!

負のオーラにやられるぞ、

エスケープ、エスケープ、

ええっ、

オイルを塗っているぞ、

彼女がお客さんAにオイルを塗っている。

触れてはいけない!負のオーラがー

デインジャー、caution、caution!

ああっ?!

お客さんAの負のオーラが消えていく。

彼女の陽のオーラが負のオーラを消していく。

凄いぞ、みるみる消えていく。

顔色が変わった!

背筋が伸びた!

笑顔が爽やかだ。

「こんにちは、やったね、ありがとう」

「こんにちは、やったね、ありがとう」

呪文も変わっている。

イケてるお兄さんに変身だ!

お客さんAからお客さんVictoryに変身だ!

彼女をお姫様抱っこしている。

ピースサインだ、

回っている。

笑っている。

ツキが満ち溢れているー

天気も快晴だー、

何かが起こるぞ、

来週の来店時に、何かが起こるぞ!

しかし、あの彼女、何者?


女神W

今日は、宝くじの女神が来る日だ。

あのぐらい…

私も、ちょっと化粧をすればできる。

ちょっと高いハイヒールを履いたら負けない。

大した事はない。

しかし、

お客さんたちは、女神の回りに集まっていく。

にやけている。

たかがティッシュじゃないか!

私も配っているぞ、

「はい、どうぞ、ティッシュ」(私)

「さっきもらったから」(お客さん)

「なにー」(私→怒)

私のティッシュと女神のティッシュが違うのかー(心の声)

ムカつく、

超ムカつく!

あっ、頭に血が昇ったら鼻血が、

「どうぞ、」

女神がティッシュをくれた。

「あ、ありがとうございます」

女神、結構、優しい。

一緒に頑張ろう!


お客さんX

何やら、ペンライトを持った挙動不審な外人さんがやって来た。

「私は、FBIのモルダー捜査官だ」

「ええっ、」

「Xファイルの捜査をしている」

「スカリー捜査官を見かけなかったか?」

「み、見ません」

「どうやら、宇宙人に誘拐されたらしい」

「ええっ、」

「この数字に見覚えはないか?」

462

「これは、今週のナンバーズ3の当選番号です」

「何!」

「462を足すと12だぞ、何故知っている?」

「きさま、マジュスティック12だな」

拳銃を向けるモルダー。

「わ、私はただの宝くじの売り子です」

手を上げる灯子。

「本当か、違うのか?」

「そうです」

「すまん、何か、Xファイルの情報があったら連絡してくれ」

「わ、解りました」

「さらば、」

パーパーパーパーパーパーパパー

知っているかな?


お客さんY

「ヨウ、ヨウ、ヨウ、」(お客さん)

「チキバン、チキバン、チキバン、チキバン、チキバン、バンバンバンー」

「おいらは、ラッパー、ラップでバトル、

チキバン、バンバンバンー」

「よう、よう、よう、」(私)

「私も、ラップで、宝くじを売る、ラッパーバイヤーだ」

「よう、よう、よう、」

「ジャンボの宝くじ、バラと連番、どっちを、買いますかー」

「ヨウ、ヨウ、ヨウ、」

「おいらは、ラッパー、ラップは連番、10枚売ってくれー」

「よう、よう、よう、」

「ガッテン承知、ジャンボの連番、ホイきた、こちらですー」

「ヨウ、ヨウ、ヨウ、」

「番号、組番、ラッキーナンバー、ありがと、ご苦労さん」

「よう、よう、よう、」

「いえ、いえ、どうか、ラッキーナンバー、当たりますようにー」

「ヨウ、ヨウ、ヨウ、」

「グッバイ、ガール、アイルビーバック、ターミネーターやって来る」


…疲れた。


お客さんたちZ

長い間ありがとうございました。

今月で、この当宝くじ売り場は閉店することになりました。

駅西前広場の再開発により無くなることになりました。

私も高校を卒業して、ちょっと遊んで、ここに勤めたが、とうとう卒業する時がきた。

寿退社を考えていたが、間に合わなかった。

いろいろな事があった…

面白いお客さん、凄いお客さん、不思議なお客さん…

楽しかった思い出が走馬灯のように蘇る。

さらば、売り場、

さらば、お客さん、

さらば、宝くじ、

私は普通のギャルに戻ります。

万感の想いを乗せて汽車は旅立つ、

さらば、青春の日々、

さらば、銀河鉄道 銀座線…


なーんちゃって、


反対側に移転しまーす!

NEW宝くじ売り場で、待ってまーす。

まだまだ続くぜ!

またな、


私は宝くじ売り場の灯子、

今日も宝くじを売る。

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