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その3

私は宝くじ売り場の灯子 その3


私は宝くじ売り場の灯子(とうこ)

ここの、宝くじ売り場で働いている。

時給は安いが、ここから見える人たちを眺めているのが好きだ。


お客さん?、I

何やら、怪しいオッさんがうろついてる。

挙動不審。

どうやらお客ではないらしい。

宝くじを買ったお客さんに、声をかけている。

何をしている?

写真を見せているぞ、

パンパン、

お客さんが拝んでいる。

また、違うお客さんに写真を見せている。

パンパン、

また、拝んでいる。

宝くじを買った人、全員に声を掛けている。

怪しい!

双眼鏡用意!

唇も読む。(読唇術)

何なに、

「私は、宝くじ1等が当たった事があります。これが証拠の写真です」

「私を拝めば、1等が当たりますよ!」

「お布施は気持ちで十分です」

何、そんな商売をしているのか、

これは、本部に通報だ。

レスキュー、レスキュー、


本部の人が来た。

怒られている。

ペコペコしている。

荷物をまとめて帰って行く。

意外と素直だ。


世の中、いろんな人がいる。しかし、あの人は本当に1等が当たったのか?

今となっては不明だ…


お客さんJ

黒塗りの車がゆっくりと止まる。

庶民の憧れ、ベンツだ。

運転手がドアを開ける。

品の良さそうな紳士が出て来た。

運転手を静止して、一人で売り場にやって来た。

「ジャンボ連番100枚」

大口のお客様、御来店〜(心の声)

しかし、あんな高級車に乗って、運転手付き。どこの社長だ?

宝くじなんて要らないんじゃないのか?背広も高そうだし。

お金持ちは、宝くじを買わないという伝説。まあ、あの人にとっては3万円なんて、はした金だろう。

大事そうに持って帰る。

運転手がドアを閉める。

ゆっくり発進するベンツ。

安全運転。


後日の新聞、

おおっ、

あの時の社長だ、

新聞にデカデカと載っていた。

「人生と宝くじ」宝くじファン社長。

「思いついた時、その場で、すぐ宝くじを買う、人生もそうだ!」

「必ず100枚買う、それがジンクス!」

凄い、くじマニア社長、奥が深い。

拍手!


お客さんU

「縦バラ下さい〜」

こやつ、

なぜ、縦バラを知っている?(心の声)

縦バラとは、複数セット購入する時、セットごとの番号が連番になるように購入する方法だ。

つまり、縦バラで宝くじを購入すると、

①当たりやすいバラの買い方。

②高額当せんを狙える連番の買い方。

その両方を楽しむことが出来るのだ。

一部のマニアしか知らない裏技!

只者じゃないな、こやつ。

「どうしようかな〜」

「じゃ、特バラも」

なぬ、と、特バラ!(心の声)

特バラとは、100枚中、組数01組~100組すべて1枚ずつ入り、さらに下2ケタ00~99すべて1枚ずつ入るという超マニアックな購入方法だ!

同業者か?

どう見ても、ただの兄ちゃんだ。

特連、特縦バラ、

あと残っているレア購入は、二つだけだ。

言わない…

やった、

知らないんだ、

私の勝ちだ。

「ありがとうございましたー」(私)

「ああ、今度は〜」

「特連、特縦バラを買うから」

何者だー


お客さんS

ブルルルーン、キキーッ、

郵便配達のバイクが止まった。

シャア アズナブルさんだ(私が名付けた)

白ヘルメットにサングラス、

赤いボディーのバイク、

ナンバープレートは006。

まさに、赤い彗星!

通常の3倍のスピードで買いに来る。(笑)

「ロト7、」(サイド7ではない)

声も池田秀一似だ。

以前、シャアさんが配達しているところを偶然見かけた。

的確に、ポストに郵便物を入れている。

無駄な動きは一切ない。

もっと凄いことは、ポストを見る前に、指から郵便物が離れている!

「見えるぞ、私もポストが見えるぞ」

と、言ったかどうか。

まさに、先読みのシャア!

ガッシャーン、

少年がシャアさんのバイクにぶつかった。

トリコロール色(赤 青 白)のBMXだ。(RX78では無い)

「痛たたっ、」

シャアさんが、少年に手を差し伸べた。

「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを」

「?」

「ごめんなさい、まだ慣れてなくて」(少年)

ほこりを払ってやるシャアさん。

「坊やだからさ…」

「?」

「お客様、クジ全部ハズレてました」(私)

「私も、よくよく運のない男だな」

「……」

「はい、新しいロト7です」(私)

さっそうとバイクにまたがるシャアさん。

「チャンスは最大限に生かす、それが私の主義だ」

ブロロロローン

颯爽たるシャアさんは、去って行った。


こら、仕事中に宝くじ買うなよ!


私は宝くじ売り場の灯子、

今日も宝くじを売る。そこ!

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