頑張らない4
「……ぐすっ。たまには連絡してね!」
「ああ。色々と世話になった。君の事は絶対に忘れないよ」
「今度、あなたの娘ちゃんに会いに行くわ。『私が新しいお母さんよ』でもやってみようかしら」
「それは良いな。きっと娘も喜ぶ」
「じゃあ、名残惜しいけど……」
「今生の別れでもないんだ。また連絡するよ」
「うん♪」
ヤバい。
見知らぬオネエとの別れがこんなに辛いものになるなんて誰が予想出来ただろうか……
まあ、良いか。
また会いたくなったら会いに来よう。
いつまでも手を振るオネエの姿は美しかった。
しんみりとした空気も一瞬だけ。
俺は気持ちも新たに次の目的地へと向かった。
次は熊本だ!
くまモン!くまモン!くまモンモン!
くーーーまモンモン!
圧倒的なご当地癒しゆるキャラの名を欲しいがままにする黒い悪魔だ。
俺の気が動転するのも仕方がないだろう。
取り敢えず、くまモンのグッズを大量に買い込んで娘に送ってやった。
これで娘もくまモン信者になるはずだ。
熊本と言えば……
米焼酎『白岳しろ』
異論は認める!
そして、つまみは馬刺し……
もう最高だよ!こんちくしょう!!!
その夜に奇妙な夢を見た。
某スマホアプリゲーム『ウマ姑』のガチャで大爆死する夢だった。
絶望しながらデイリーを消化していると、普段は温厚で優しい姑達が代わる代わる俺をいびってくる。
「俺のジュエルを返せ!!」
俺は叫んで飛び起きた。
身体中から汗が出てインナーが濡れていた。
まさか、うなされていたのか?
課金は程々にしようと心に誓った……
つぐのひ……
さあ、どんどん北上するぞ!
新幹線に乗って……福岡県へ。
あれ?佐賀は?
その日は寝違えて首を痛めており、後ろを振り向く事が出来なかった。
進行方向にしか進めなくなる恐怖を味わった。
体調も悪かったので、大人しくホテルでスピリタスを飲んで体内を清めた。
翌朝はすっかり体調も元に戻った。
やっぱり体調が悪いときはアルコールが一番効くな。
ウマ姑……馬が擬人化した可愛い姑達と同居生活をおくるアドベンチャーゲーム。
最終目標である『別居』を目指して、数多の嫁姑問題を乗り越えた先にあるものとは?
つぐのひ……左にしか進めないホラーゲーム。怖い。