頑張らない3
次の日は、水族館や首里城などの観光スポットを回った。
「綺麗……」
「確かに……」
様々な魚達に魅了された後は、歴史を感じさせるその存在感に圧倒される。
闇雲に頑張っていた日々の中では想像もつかない感情だった。
「お父さん。今までごめんなさい。これからはもっと良い子になるから」
急に娘がそんな事を言い出した。
「別に謝らくていい。俺が頑張るのを止めただけだ。それに、お前が言う『良い子』の基準が分からん。今更感も強いし」
「……そうだよね。ずっと無視して酷い言葉遣いで……。なのにお父さんはずっと構ってくれてたのに……」
娘が泣き出した。
だから今更感が強いんだって……
まだ俺が頑張ってる途中だったら感動して貰い泣きしたかもしれないが、今は期待もしてないから『そうか……』としかならない。
「お前が変わりたいなら変われば良い。俺ももう自分を元に戻すつもりも無いし」
「うん。今のお父さん凄くカッコいい」
「顔も体型も全く変わってないけどな」
「雰囲気かな?」
「雰囲気だろ?」
「あ、あれ?」
「……学校はちゃんと行った方が良さそうだな」
「……分かった。来週からちゃんと行くね」
「取り敢えず防犯グッズを家に送っておくか。あと、何かあったらすぐに連絡しろ」
「うん。ありがと」
こうして、娘と別れた。
……よし!次は何処に行くかな?
フェリー揺られて鹿児島に降り立つ。
やっぱり鹿児島と言えば芋焼酎!
芋焼酎と言えば『黒霧島』だろう!(偏った知識)
異論は認める……
一升瓶で買ったので、ホテルの部屋で宅飲みだ。
水割り、お湯割り、ロック、何でもござれだ。
かぁ〜!美味え!!
体に染み渡りやがる。
その日は、さつま揚げをつまみにしこたま飲んだ。
翌日、起きたら全く知らない家に居て、全く知らないオネエと添い寝していた。
…………???
一体何が起こった?
キングクリムゾンにしては規模が大き過ぎる。
考えても記憶は無いので思考を放棄した。
最早誰が隣で寝ていようが関係ない。
俺は自分の睡眠を優先するぞ!
「ちょっと、起きてってば!」
「う……ん。何だ朝か?」
「朝か?じゃないわよ。昨日の夜は楽しかったけど、今から仕事なの。帰って頂戴」
「朝からこんな美人の顔を拝めるなんて俺は幸せ者だな」
「そ、そんな、美人だなんて!あなたお世辞が上手いわね♪」
「お世辞なんかじゃない!君は俺の運命の人だ!」
「……う、嬉しい!」
オネエと抱き合った。
完全にただのお世辞だが、相手のノリが良いから困る……
きっと、昨晩もこんな感じだったんだろうな。
「冗談はさておき、仕事行ってくるからちゃんと留守番しててね♡」
「すまん。俺はさすらいのプータローなんだ」
「ふふ♪じゃあ、プーちゃんね。プーちゃん、いってきます♪」
「ああ、いってらっしゃい……」
それからオネエのアパートに一週間程滞在した。
おかしい?こんな筈では……