7月17日 ミーティング(機能)
大会まで残り12日。3つのフォーメーションをどうすれば機能するのか。1つ目のフォーメーションは、安定したメンバーではあるが、得点力に欠ける。引いて守られたら得点が取れない可能性がある。2つ目は、工藤と宝来が出場することもありゲームが安定性に欠け攻守の切り替えが難しい。3つ目は、個々の能力は高いがチームとして機能することが難しいため、相手の作戦によっては大量得点を許してしまうかもしれないのだ。
ー7月13日ー
中沢の笛とともに、工藤は助走をつけ始める。もう、どっちか考えている暇はなかった。とりあえず、俺は左に絞る。しかし、飛び込むのは右。もう、あとは神様に祈るしかなかった。工藤が勢いよく走り出した瞬間、左に来ることは確信した。想定通り右に飛び込みボールが逆方向へと飛んでいくのを横目で確認する。ボールはゴールネットへと吸い込まれ、再び大きな声が聞こえてくる。
相田「今の止めれてただろ」
俺 「知らねぇよ」
どうやら、左にボールがくると思っていたのは、俺だけじゃなかった様だ。でも、これで工藤を騙すことはできたかもしれない。次に俺が決めることができれば流れも変わるんじゃないだろうか。
相田「次、決めろよ」
俺 「わかってるよ」
ちょうど近くに来たボールを拾い、俺はキッカーのもとへと歩き出す。ちょうど向こうからは工藤がやってくる。工藤はいつものような明るさはない。何か考えているのか?それとも何か嫌なことでもあむたのか?
工藤「お前、左だってわかってないのダサすぎるだろ?」
俺 「は?」
ちょうどスレ違う俺たちに向かって工藤は話しかけてきた。コイツ、何を言いたいのだろうか?
工藤「お前が勝つ気ないならさっさと終わらせるぞ?」
俺 「上等だよ」
俺の方を見向きもせず真っ直ぐ進み続けた。俺の前には、中沢が仁王立ちをしている。なんだか、さえない表情をしているけど、どうしたのだろう?
中沢「おい!」
俺 「ん?」
中沢の話を聞きながら、ボールをセットしどこを狙おうか考えていた。
中沢「お前、このままやればまた負けるぞ」
俺 「またとか言うなよ」
中沢「宝来の時もあるしさ」
俺 「知らねぇよ。そんなこと」
現に宝来は俺たちのイザコザに入ってこず、ただ見ているだけだった。正直、この先のことなんてわかんない。でも、俺が勝つこと、それだけは確信していた。




