5月8日 定本健太郎
今日は、オフということもあり中沢たちと工藤探しを始めていた。そして、その第一歩として、ニクドナルドに来ている。
俺 「何時に来るって言ってんだ?」
中沢「17時半かな」
もう17時40分。集合時間は、とっくに過ぎていた。俺も、急に来てもらうから、あまり強くは言えない。それでも、何か行動せずにはいられなかった。
俺 「早くこねぇかな」
中沢「焦んなよ」
昨日、中沢が同じクラスの定本と会う約束を立ててくれた。俺は、そこに便乗して工藤の居場所を知っている野球部の後輩を探すことにした。
定本「うぃーす」
中沢「おせぇーぞ」
定本は、私服だ。相変わらず、野球部の私服は独特だ。
定本「わりぃ」
俺 「今日、わざわざありがとうな」
あまり話したことがなかったけど、頭を下げた。
定本「全然。工藤、探してんだろう?」
そうだ。全ては工藤のため。サッカー部のためだ。
俺 「ああ。早速で悪りぃけど、心当たりあるか?」
定本は、スマホを取り出した。
定本「何人かはな。後輩だと、向井、安田、小川、村上あたりだったら知ってると思うんだよな」
たしか、安田や小川は2年にして既に野球部のレギュラーとかだった気がする。
俺 「そん中で、八代西っているか?」
定本「八代西だったら、村上だな」
言われてもピンとこない。
俺 「村上?どんなやつ?」
定本「えーっと。背は小さいけどヤンチャなやつだ」
ヤンチャかぁ。野球部は、みんな問題児だからな。
俺 「電話かけれるか?」
定本「あぁ。じゃあ、今からかけるわ」
俺 「サンキュー」
すると、定本は、スマホから電話をかけ始めた。コールが鳴ったと同時くらいにスピーカーに設定をしてくれた。しかし、3.4.5コールと続くが全然出てこない。10ゴール目くらいで定本は諦めた。
定本「また、電話きたら言うわ」
俺 「悪いな」
定本「大丈夫だよ」
あまり話したことがない俺に対して、優しく話してくれた。
中沢「今日、何してたんだよ?」
定本「今日は、おばあちゃん家に来てたんだよ」
中沢「えっ、まじ?戻ってきたの?」
わざわざ、このためだけに来てくれたのか?
定本「ああ。また、今日戻るけど」
中沢「まじかぁ。ごめんな」
定本「おごれよ」
定本の笑顔がどこか嬉しかった。




