7月4日 聖淮戦XⅥ
結局、聖淮戦は、中途半端な形で終わってはしまったがまた新たなる目標ができた。それが俺の唯一の救いだった。俺は、あの時できた傷が治ってきているのを気づいたのだった。
ー6月19日ー
後半39分。ようやく、ラスト二人が入ってきた。アディショナルタイムが4分だから彼らのプレー時間は10分となる。再び、フォーメーションを変える。いつしか、俺はワントップになっていたのだ。ベンチを見ると、もうアップをしているものはいない。みんな俺たちの方を見つめている。後10分で1点。それができればな。
【フォーメーション】
唐沢(FW)
山﨑(FW) 依田(FW) 井川(FW)
中川(FW) 若井(MF) 小宮山(MF)
羽川(DF) 相田成(DF) 今田(DF)
相田瑛(GK)
工藤、沢田、宝来。千両役者が揃ったようにゴールを決めた。後は、脇役の俺たちがどれだけ頑張れるか。それだけにかかっていた。けど、もう中沢も辰巳もいない。頼みは、2列目の井川だけだった。他の選手には、悪いけどなかなかいいパスが回ってくるイメージはない。俺は、少し後ろ目にポジションをとることにした。すると、羽川から小宮山へとサイドチェンジとなる。このままいけば、俺のところにくる。小宮山から井川へのパスが繋がる。ここで俺のところにボールがこれば、シュートも狙える。攻撃を仕掛ける小宮山を見つめ、大きな声を出した。しかし、それに気づいた向こうのディフェンス選手が近づいてくる。俺は、ゴールとの距離をはかりながら、ボールを要求。小宮山から俺のもとへパスがきた。俺は、足元のボールに集中しながら体勢を整えた。すると、淮南の選手が一瞬の隙を突いて体がぶつかる。向こうの強靭な体に吹き飛ばされる。後ろ向きに倒れ込んでしまった。すぐさま、審判の審判の笛が響き渡る。
脇腹がいたい。思った通りにも立てない。なんとなく、俺は空を見つめることで精一杯だった。選手が手を差し伸べてくれるが立たそうにない。ヤバいな、俺がここで終わるわけにはいかない。すると、何やら声が聞こえる。また、誰かが怒っているみたいだ。声の主を聞くと、そこには宝来がいるようだ。それを、沢田と工藤で必死にとめる。仕方がないとは言え、まだ後半6分ほどあるのにプレーできないのはもどかしかった。俺は、痛みを堪えながらグラウンドの外に出て、治療をし始めた。




