6月25日 聖淮戦Ⅶ
相田と話し合ってみた結果、まだまだやれることがあるんじゃないかと思えたのはとてもよかった。
ー6月19日ー
これで1対2。ベンチにいた井川にウォーミングアップをしてほしい選手を指示した。FWの山﨑、MFの山岸、DFの古山たちがアップを始めた。ゴールを決めた工藤の周りには、聖徳高校の選手でいっぱいだった。しかし、このままではダメだ。前半になんとか追いつきたいのが本音だった。そのためには、ここで仕掛けるのがいい。そう判断した。アップしていた井川を呼び選手交代を告げた。
俺 「工藤、交代だ!」
工藤「えっ?まじか」
怒りもせず俺の方を向いた。すぐさま反応したのが沢田だった。
沢田「あまりにも、早くないか?」
その通りだ。けど、ここしかない。
俺 「いや、このタイミングだ」
沢田「でも、、、」
全員で戦うとは言ったけど、踏ん切りがつかないのは当たり前だ。けど、それをやるのが俺の仕事。
工藤「気にするな。ずっと、中にいた唐沢が判断したんだ。俺は従うよ」
あの『fours』の工藤だ。いつケンカになってもおかしくない。それでも、やるしかなかった。今、この判断ができるのは俺しかいない。
俺 「悪いな」
前半28分。工藤に変わり、井川が投入されたのだった。これにより、フォーメーションも宝来の1トップに。トップ下に沢田と井川が入ることになる。
【フォーメーション】
宝来(FW)
沢田(FW) 井川(FW)
中沢(MF) 唐沢(MF) 辰巳(MF)
富山(DF) 相田(DF) 野木(DF) 原田(DF)
川上(GK)
このフォーメーションでどうなるのか?自分自身でもよくわからなかった。
中沢「宝来を1トップにするのか?」
俺 「ああ。沢田と井川をトップ下でいく」
中沢「おっけー。じゃあ、辰巳に右に動いてもらうよ」
俺の考えをすぐに理解してくれた。
俺 「ああ。ラインだけ下げずにいきたい」
中沢「わかった。相田に伝えとくよ」
俺 「ありがとう。あと、前半にもう1点とりたいんだ」
中沢「もう1点かぁ。何か狙いはあるのか?」
狙い。それはある。
俺 「ああ。俺が前にいく」
中沢「どういうことだ?」
ある意味かけに出たのだった。
俺 「基本的には、3枚目になるけど、途中で沢田たちのラインまで上がるからパスをくれ」
中沢「強気だな、お前も」
俺 「このままだと負けるからな」
1点を取り返したことで、俺も強気になっていた。




