6月20日 聖淮戦Ⅱ
昨日の熱戦から一夜が明けたはずなのに、なかなか切り替えることはできなかった。あんな試合をしたのに、すぐ様新しいようには絶対できなかった。反省も多かったけど、同時に収穫も多いと思っていた。今日は、休みだったから、ボールを蹴りながら自分の課題を考えていた。
ー6月19日ー
試合は、俺たちボールで始まった。試合開始直後、中沢、辰巳、工藤とボールをつなぐ。ボールをもった工藤は颯爽とドリブルしていく。さすが、工藤。中盤から、見つめていた。相手の選手がボールを取りに行くがまったく気にしない。次の瞬間、鋭いシュートが放たれた。ボールは、バーの上を超えていく。ゴールに入りはしなかったが、沢田は、大きな拍手を送り、ナイスシュートと声を張り上げた。たしかに、久々の実戦復帰にしては素晴らしかった。
開始3分でこれだけやれたら、十分だ。自分たちの攻撃に自信をもった。一方、淮南高校は、ゆっくり落ち着いている。エース藤森は、ラインを下げ、後ろめにポジションをとっている。彼は、県内でも5本の指に入るほどのストライカーだ。そんなことを考えていると、藤森にボールが回った。気をつけろよ!大きな声をかけた。一瞬のスキをついたかのように、ドリブルをしかけてくる。ボールを藤森とは反対方向に走っていた玉波にボールを預けた。ディフェンス陣の野木、富山、相田たちが控える。
俺も中盤から下がり、ディフェンスの方へ駆け寄る。藤森は、どこだ?必死に探すが見つからない。一瞬、胸の鼓動が高鳴る。クソ、あんなとこいやがる。藤森!!マークだ。相田に声を出す。しかし、玉波のドリブルに翻弄されている。玉波は、山根にボールを渡し、富山をかわすように、すぐさま狩野にわたる。フリーになった狩野は、豪快に右足を蹴り上げた。ボールは、バー直撃。しかし、歓声がため息に変わることはなかった。誰よりも早く反応したのは、あの男だった。ネットの中に吸い込まれていくボールは、待ってましたと言わんばかりだった。俺は、まだ、ボールに触れていない。クソォ、こんなんでいいのか?俺たちは。前線から動いていない、沢田、宝来、工藤。やっぱり、早くメンバーを変えた方がいいのだろうか?ベンチメンバーの井川にアップの準備を示唆した。完全にペースが向こうにもっていかれている。ゴールを決めた藤森は、野球部に向かってゴールパフォーマンスを行い、大盛り上がりだった。




