6月16日 ポジション
あと3日。俺は、必死に勝つ手段を探していた。
俺 「どんなフォーメーションでいくの?」
中沢「俺も、まったくわかんないんだよ」
俺 「まじかよ」
中沢で知らないなら、他の誰も知らないじゃないか。フツフツと怒りがこみあげてくる。ムカつくな。それは。
中沢「沢田が何をしてるのか気になるけどな」
俺 「会ってないの?」
中沢「今日は、会ってないな」
沢田は、自由人だから、常に何をしているかわからない奴なんだ。それがいいところでも、あるんだろうけど宝来や工藤と対立してしまうところなんだろう。
俺 「まぁ、決まってるポジションはあるだろうけど」
中沢「そうだな。ゴールキーパーの川上、ディフェンダーの相田は確定だろうな」
この2人は、確定だろう。
俺 「そうだな。あとは、富山も決まってるだろ」
富山もよっぽどのことがない限りレギュラーだ。
中沢「たしかに。となると、後はあの3人の回復次第で変わるってことだろうな」
俺 「そう思うな。俺も」
沢田、工藤、宝来。コイツらがどんなコンディションなのか。それは、蓋を開けてみるまではわからないのだ。
中沢「工藤が戻ってきたら、おそらく3トップだろうな」
もっともやりたかったフォーメーションだ。けど、それが達成する確率は、30%くらいだろう。
俺 「だな。お前と沢田の三人で。攻撃的サッカーやるだろうな。でも、工藤が出れないってなったら、変わってくるな」
俺も上がるかもしれないし下がるかもしれない。ホントに迷惑だ。アイツらは。
中沢「ああ。宝来の1トップもありえるな」
俺 「ありえるか?」
意外だった。宝来を1トップにすると、完全に王様状態になってしまう。俺は、絶対にないと思っていた。
中沢「ああ。沢田なら、考えそうだよ」
たしかに、一理あると思ってしまう。アイツなら、ゼロではないかも。
俺 「俺と辰巳は、アイツら次第ってところだな」
中沢「そうだな。でも、おそらく全員来ると思うからそれを期待するしかないな」
ホントにそれしかない。来ることを願って練習する以外、俺たちにできることなんてない気がしていた。
俺 「なんで、そんなに来ると思ってるんだ?」
中沢「うーん。なんとなく?」
俺 「そんなのでいいのかよ」
アイツらが抜けてから、俺たち二人で引っ張ってきたんだ。こんなところで負けたくない。強い思いが溢れていた。




