6月15日 アイツら
相田「今日の練習なんだ?」
俺 「フォーメーション合わすんだって」
相田「そうなんか」
がっかりした様子に見えた。たしかに、やりたい練習は、人によって違う。特に、アイツら3人は好き勝手にしている象徴だった。
俺 「やりたい練習あった?」
相田「いや、アイツらが来るかによって変わるかな」
俺 「あぁ、アイツらね」
相田が誰を指しているかは検討がついた。相田のポジションは、前線に誰が入るのかによって大きく異なってしまう。それだけに、なんとも言えない。
相田「実際、来るのかな?」
俺 「聖淮戦?」
相田「そうそう」
たしかに、不透明だ。
俺 「今の状態だと、戦力にはなりそうにないけどな」
相田「だろ?」
俺 「みんなフルで試合に出られないと思うんだよな」
相田「そんな体力ないよな」
90分フルに出ることは不可能だ。
俺 「仕方ないけどな、それは」
相田「んー。どうかな?」
俺 「アイツらがいなくても勝てるように準備しないとな」
しかし、その案はない。
相田「でも、淮南の藤森は上手くねぇか?」
俺 「たしかに。アイツは、テクニックが凄いな」
相田「マークつけてもな、やられそうだよ」
沢田と同等のレベルだ。
俺 「藤森って、ワントップなの?」
相田「いや、2列目じゃねぇの?」
俺 「2列目なんだ」
いっそのこと、一番前にいてくれるた方が助かるんだけどな。
相田「絶対的エースがいるチームに俺たちが勝てるか?」
俺 「バラバラだからな」
相田「どうしたらいいだろうな?」
負けを覚悟の上で、何かできることがないか考えていた。
俺 「いっそのこと、全員でなんかして仲良くなるしかねぇな」
相田「おもしろそうだな」
俺 「まぁ、アイツらのことだから、来ることすらしないと思うけど」
そうだ。俺たちに、一致団結という言葉はなかった。
相田「それは、ありえるな」
俺 「とにかく勝つことは全員一緒なんだ。あとは、どうするかだな」
相田「あぁ、そうだな。期待してるぞ、副キャプテン」
名ばかりの副キャプテンだ。
俺 「うるせぇよ。お前も手伝え」
相田「嫌だよ」
俺たちにとっては、最後の"聖淮戦"だ。なんとか勝てないだろうか?
俺 「なんでだよ」
相田「めんどくせぇよ」
部室には、いつもの笑い声が響いていた。




