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6月13日 PK戦Ⅸ

 俺は、いつものように宿題を解き終え、スマホを触っていた。スマホを使う時は、大体SNSがほとんどだった。自分が何かを発信しているというわけではない。人の投稿を見ているだけだ。特別、楽しいかといわれるとなんとも言えない。


 ー6月5日ー


 キッカー沢田の宣誓にキーパーの宝来は、驚きとともに苛立ちを覚えているみたいだった。そらそうだろう。アイツの性格からして、あんなの許せるわけがない。まるで、煽っているとしかとれない行動なのだから。沢田は、指差した右手を引っこめ、助走をつけて走り出した。

 運命の3本目。あの二人の考えていることは全然違う。昔からそうだった。いつも意見が違ったのは、沢田、宝来、工藤の三人だ。それぞれ、別の方向に進んでいくから俺たちサッカー部はバラバラになってしまうのだった。俺は、そんな三人がいつか一つにまとまれば何か変わるんじゃないかと期待していた。

 なんとなく、昔のことが蘇る。俺たちは入部してすぐ、沢田のスター性に惹かれた。一年であんな上手いやつがいることを知った俺たち。しかも、性格もいいし頭もいい。沢田がみんなに知れ渡るのも時間の問題だった。そこに現れたのが、問題児の宝来と工藤だった。宝来は、圧倒的サッカーセンスで俺たちを魅了させた。誰がなんと言おうと自分のスタイルを変えない。そんな宝来の姿についていこうと思った生徒も少なくない。

 そして、もう一人が工藤だった。コイツは、コーナーキックやフリーキックの名手だった。ピンチの時、何度助けられたことか。結果が全てという名言のもと、1年生から結果を出し続けた。しかし、こんな3人がいると、まとまるものもまとまらない。後にサッカー部が崩壊してしまうのだった。

 沢田が、ボールを蹴ろうとした瞬間、宝来は右に飛び込んだ。無理だろ!!!心の中で叫んだが、キーパーの宝来は、真っ直ぐ飛び込んでしまっていた。俺はいつの間にか、負けてる宝来を応援してしまっていた。自分でもなんでかわからない。宝来は、飛び込んだが、まだがまだ、ボールはきてなかった。どういうことだろうか?

 俺は、視線をキッカーにうつした。キッカーの沢田はまだ蹴っていなかったのだ。そして、宝来がワンテンポずらして、ボールを蹴った。誰もが想定したタイミングと異なって蹴り出した。意表をつかれたことに気づいた頃には、ゆっくりとしたボールがネットに吸い込まれていたのだった。

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